藤堂先生と陽菜の愛④ 小田先生×難攻不落
──どうやって藤堂先生とお近づきになろうかしら。NICU病棟にはもう行けないわね。あの師長の縄張りだわ。最悪! ちょっと待って、分娩室で誘ったからダメだったのかしら? さすがに職場に恋愛は持ち込まない人なのね。わかったわ。どうしようかしら。
──あっ、そうだわ! 帰り時間の偶然を装えば良いのよ。それでお食事に行って……その後は。ふふっ。大人のお付き合いよね。藤堂先生くらいの人なら、ホテルは一流のところかしら? いやいや、それとも藤堂先生のご自宅かしら? 楽しみだわ。そうと決まれば。
職員通用口が見渡せる、外の死角になっている外灯の柱の後ろに隠れるようにして藤堂先生を待つことにした。
──遅いわね。急変でもあったのかしら。嫌味のような高級腕時計をチラッと見て時間を確認する。この私を四十五分も待たせるの?
──あっ、藤堂先生だ。偶然を装うのよ。頑張れ私!
一歩前へ出たところで藤堂先生の横に誰か居ることに気がついた。
──誰? あの女。通用口から一緒に出てきたってことは、医療従事者って事? いや、妹って事もあるわね。
「あら、藤堂先生。お疲れ様です。今、お帰りですか?」
「どちら様です? 勤務外なので失礼します」
「えっ? 産科医の小田です」
「そうですか。それでは」
──横にいる女の腰に手を添えエスコート? 妹じゃないわね。まずあの女にその場所を退いてもらわなくちゃいけないわね。あの雰囲気からしたらどうせ看護師程度でしょ。
──わざわざ私の貴重な休みを活用し、張り込んだり見張ったりしてようやくあの女の尻尾を掴んだわ。病棟の看護師で矢崎陽菜。恥をかかされたお礼はさせてもらうから。そしてあの場所は譲ってもらうわよ。
──メモは置いてきたし。私のお願い聞いてくれるわよね。矢崎さん!?
「さぁ、私も仕事に行こうかな。ふふっ、楽しみねぇ。藤堂先生、お迎え来てくださいね」




