陽菜×解読不能の指示書
「真智先輩、この指示書なんですけど……」
解読不能の指示書を真智先輩に確認してもらう。
「誰からの?」
「岩崎先生です」
私の手から指示書を奪うように取り上げ、確認すると同時に、ナースステーションを後にする真智先輩。医局だなと察知する。
「陽菜ちゃん」
弥生先輩の呼ぶ声がして振り返る。
「なんか凄い勢いでどっか行ったね」
「岩崎先生からの指示書が解読不能で真智先輩に見てもらったんです」
「あ〜、岩崎先生ご愁傷様で〜す」
弥生先輩の声に釣られて、引き寄せられるかのように来る悟。
「弥生先輩と陽菜先輩、楽しそうなお話してませんか。僕もまぜまぜしてください」
悟のお尻のしっぽ千切れるんじゃない? ってくらい振り振りしてるのが見える気がする。
「悟、沙恵ちゃんのミルクの時間じゃない? お腹空かせてるかもよぉ〜」
「えっ、それは大変! さえちゃ〜ん、悟君が今行くよぉ〜。まっててねぇ」
──相変わらずだなぁ。まぁ、素直なんだけどね。頑張れ〜。
背中にエールを送っておく。
「陽菜ちゃ〜ん、直してきたよぉ〜。今度はバッチリだよぉ〜」
──何? 騒がしいなぁ。真智先輩にしっかり怒られたんだろうなぁ。懲りないなぁ岩崎先生。笑えてきた。あはは……。
「陽菜ちゃん、何笑ってるの? 楽しい事あったの? 教えて教えて!」
あなたのことですよ。岩崎先生。
「指示書ください。何をするんだったんですか?」
「むっちゃんの採血だよ」
「岩崎先生、どう見たらコレが採血の指示書なんですか? 説明してもらえますか!」
「あれ? どこですり替わったの? むっちゃんの採血の指示書〜。どこ行ったぁぁ〜」
その時、ナースステーションの入り口から。
「ここにありますけど!」
真智先輩が、1枚の紙をヒラヒラさせながら岩崎先生を睨んでいる。
「そんなところに。陽菜ちゃん、坂倉さんからもらっておいてね。それじゃあ、戻るね」
怒られるのを察知したのか、脱兎の如く医局へ戻って行った岩崎先生だった。




