周産期男性陣×男子会
「さと君、今日は参加してくれてありがとう。豪君も急だったのに来てくれてありがとう」
「岩崎先生、良かったんですか?この集まり医局員の慰労会でしょ?」
「豪君、そんな心配は要らないよ。今日は楽しもうね男子会」
「えぇ! 男子会ってなんですか?聞いてないんですけど……」
さと君、驚すぎじゃないかな。 もうすぐ医局長とか鴻上先生、藤堂先生、松山先生とか来るんだよね。楽しみだなぁ。そんな事を思っていると
「遅くなって申し訳なかったね」
声がしてそちらを見る。さと君と豪君が一斉に立ち上がり
「お疲れ様です」
そう言って頭を下げた。
「仕事じゃないんだからそんなに固くなる事ないよ。今日は急だったのに参加してくれてありがとう。楽しんでね」
医局長の言葉に、さと君も豪君が揃ってお礼を伝えていた。
「ありがとうございます」
そんなやりとりを見ていたら、鴻上先生が僕に
「岩崎先生、のんびりしていますね。歳下のナースさん達はしっかり挨拶してるのに」
「まぁまぁ、鴻上先生。そろそろ始めましょうか。好きなもの注文してくださいね。乾杯しましょうか」
そんなこんなで料理や飲み物を注文して飲み物が届くまで、雑談が始まった。
「藤堂先生、陽菜ちゃん呼びたいんじゃないんですか?」
ん?鴻上先生、藤堂先生に聞かずに僕に言ってくださいよ。声かけたのに。お間違いさんだなぁ。と内心思っていると
「こんな集まりには参加させませんよ。色んな意味で危なっかしいですからね」
「藤堂先生って意外と過保護なんですね」
「そうですか?普通ですよ。鴻上先生ならこの場に呼びますか? 橘さんでしたっけ産科の」
「いや、呼ばんな」
「ほらぁ。でしょ。呼ばないですよ」
そんな話をしていると
「笹井君、一人前になってしばらく経つが、どうかな?」
医局長が、さと君に話し始めた。
「陽菜先輩が色々とフォローして下さるのでのびのび頑張れてます」
「あはは、そうかね。これからも期待してるよ。前田君は、矢崎さんと同期だったね。君もそろそろ指導看護師の研修受けたりしてみたらどうかな」
「依元師長から打診はありました。指導する看護師の調整を考えるよと仰ってました」
「うんうん。ステップアップしていってくださいね。期待してるよ」
医局長の話が落ち着いた頃、飲み物が届いた。各々の前に注文品が揃い、鴻上先生が声をかけた。
「今日のこの会が産科とNICUの男性スタッフの親睦を深める良い機会になりますよう願って乾杯」
かんぱ〜い
それぞれ席の近くの者同士で会話に花が咲く。僕の目の前で産科の松山先生と藤堂先生が盛り上がっている。
「藤堂先生、陽菜ちゃんとどうです?」
松山先生、どうですってどうです? 難しい質問だなぁ。藤堂先生、大変だなぁと思って見守っていると
「先日ウチの母親と姉が陽菜の帰りを通用口で待ち伏せしててデートの邪魔されましたよ。でもまぁ、陽菜を気に入ってくれたみたいなんで安心はしましたけどね」
「積極的ですね。母親と姉ってそんなもんですよね。興味持ったら息子の意見なんて関係なしにゴリ押ししてきますから」
「松山先生もご経験が?」
「真智を部屋に呼んで、これからって時に母親と妹が乗り込んできました」
「うわ、キツイですね」
何やら穏やかではない話が繰り広げられている。さと君をみると
「前田先輩、これ美味しいですね。追加しちゃいましょうよ。先生方、追加あったら教えてくださ〜い。僕オーダー打ち込みます」
そう言いながら既にタブレットに手を伸ばし操作している。そして周りに飲み物の追加など聞き追加している。さと君、凄いなぁ。みんなの様子を捉えてこの場を仕切っているようにみえる。
「笹井君、ありがとう。ビールお願い」
「レモン酎ハイ」「ハイボール」
次々言われる追加をタブレットにどんどん打ち込んでいる。しっかり自分の飲み物を忘れずに打ち込んで送信ボタンをポチッと押して空いた皿などを一角に集めていた。
「岩崎先生、ぼーっと見ていないで、それをしなくちゃいけないのは岩崎先生だよ」
そう声をかけてきたのが鴻上先生だった。
「ほえっ? さと君のスムーズさに見惚れてました」
「発案が医局員だったんだから、笹井君のしている事は岩崎先生が本来ならばしなくちゃいけないんだよ。周りをよく見て動いてみて」
「はい!頑張ります!」
「藤堂先生、大丈夫でしょうかね?」
「鴻上先生、わかってないような気もしますが。…………ご苦労様です」
「岩崎先生と一緒にいると笹井君も似たような感覚を受けていたけど、今日の笹井君は別人みたいだね」
「陽菜の教え子ですから」
「藤堂先生、惚気ないでください」
「いやいや、真実をお伝えしただけです」
この男子会で、悟は先生方から信頼を勝ち取ったようです。一方で岩崎先生は……。




