藤堂先生×母親
朝からスマホが鳴り響き、諦める気配がない。画面を確認すると『母』の表示。スルーしようと心に決めて無視を決め込む。
しばらくしてまたスマホが鳴った。画面を確認すると今度は『姉』の表示。これは絶対に一緒にいて何かを企んでいるに違いない。今日は日勤終わりの陽菜をデートに連れ出そうと思い、約束をしている。邪魔をされるわけにいかない。そんな事を考えていると、スマホにメッセージが届いた事を知らせる音が鳴った。
──あっ、陽菜からだ。休憩中かな?
そう思い若干にやけてる自覚はあるが気にしないでおこう。早速、陽菜からのメッセージを確認する。
『大ちゃん、のんびりしてる? ちゃんと身体を休めてよ。それから……ひとつお知らせがあるんだけど。今日のデートにお母様とお姉様が一緒についてくるって。職員通用口で待ってるからねぇ。って言って帰っていったよ』
──はっ? どういう事? 陽菜に速攻で返事を打ち込む。
『まさか、病棟に来たの?』
『うん。来たよ。大ちゃんに電話しても無視されるから、こっちに来ちゃったって言ってたよ』
──やられた……ってか、ついてくるってどういう事だよ。文句言ってやらないと。
速攻で母に連絡を入れる。
「もしもし、大雅。今頃なに? 電話無視してたくせに」
「忙しかったんだよ。ってか、ついてくるって何? 邪魔しないで欲しいんだけど」
「女子会しましょうってお誘いしておいたから、大雅は来なくていいわよ」
「はぁ? デートの邪魔するなよ」
「大雅はいつでも会えるから良いじゃない。今日は私に譲りなさいよ」
「そんなこと言われてわかったなんて言うわけないだろ。いい加減にしてくれ」
「妥協案は、大雅がどうしてもって言うなら女子会に参加しても良いわよ」
もうどう言っても諦めない母親に。
「俺も行くから」
「女子会の邪魔しないでよ」
「何が女子会だよ」
早めに連れ出そうと心に決め電話を切ると、今度は陽菜に連絡を入れた。
「陽菜、急にこんなことになってごめん」
「大ちゃんも一緒なら大丈夫だよ」
「ありがとう。面倒くさいのが居るけど楽しもうな。抜け出せるようなら抜け出そうな」
「ふふっ、デートはお預けだね」
可愛いことを言ってくれる陽菜に感謝をし、陽菜の仕事を終わるのを待つ。




