表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/173

NICU×星座占い

 周産期医療センターの待合室では、お決まりのテレビ番組が流れている。その一部のコーナーの星座占いが最近のNICU病棟で流行っている事のひとつでもある。ランキングやラッキーカラー、ラッキーフード、ラッキーアイテムやパワースポットなどを盛り込んで楽しく発表をしている。


 占いなど、良いことだけ信じてる子が多く、例え最下位だったとしても流している子がほとんどだ。ただし、ひとりを除いて……。


 朝の慌ただしい時間が過ぎ、急変がない限り比較的のんびりした時が流れる病棟に、待合室のテレビの音声が聞こえてきた。


【それでは今日のラッキーな星座の方は……いつものように1位と最下位は残して、第2位から発表していきましょう。


【第2位は、魚座の方です。ラッキーカラーは白です。そして社会人の方は社員食堂。学生の方は学生食堂を利用してみましょう。のんびりした時間を過ごせそうです】


──魚座かぁ。誰かいたっけ?


「私、魚座だわ! ふぅ〜ん、今日は職員食堂でご飯食べよう」 


「真智先輩、ラッキーカラーは白だそうですから、全身白の白衣を着てるし、良いことだらけですね」


【それでは第3位は、射手座の方です。ラッキーカラーは黄色です。小さな優しさが大きな幸せになって、あなたの元へ来るでしょう】


「射手座って誰かいましたっけ?」


 辺りを見渡すけど誰もいなさそう。その時だった。


「射手座がどうかしました? 俺、射手座ですよ」


 鴻上先生が、笑いながら教えてくれた。


「星座占いで射手座が第3位みたいです。そしてラッキーカラーが黄色らしいですよ」


「黄色って……何もないわ」


 あはは。明るい笑い声が響く病棟。


【続いて第4位は双子座の方です。ラッキーカラーは赤です。双子に出会えたら幸せな時があなたを包んでくれるでしょう】


 すると、真智先輩が。


「誰か居る? 双子座の人」


「あっ、私、双子座です」


「陽菜、双子座なの? ほら早速、双子くん達の顔見てらっしゃいよ。そしたら藤堂先生が陽菜を包んでくれるらしいわよ」


「真智先輩、なんかごっちゃになってませんか?」


 そう返事をすると、横から弥生先輩や瑠璃先輩も話に参加してきた。


「陽菜ちゃん、ほら見ておいでよ。双子くん達」


「そうだよ。そしたら藤堂先生と幸せな時間だよ」


──先輩たち、違う楽しみ方してませんか?


【残すは1位と最下位ですね。蟹座と乙女座。どちらが素敵なラッキーデーを過ごすのか……それでは第1位は、蟹座の方です。ラッキーカラーは青で、異性と庭園などでゆったり過ごすと心穏やかな午後が過ごせそうです】


──大ちゃん、1位だ。ふふっ。ラッキーカラーは青かぁ。その時、自分のポケットを見ると、キャラクターの描かれた青いボールペンが挿さっていた。こっそりポケットに挿してあげようかなぁと考えていた。


「蟹座って誰かいる?」


 真智先輩の質問に鴻上先生の後方から藤堂先生が現れた。


「蟹座ですけど、何かありました?」


 真智先輩が速攻で。


「藤堂先生! お昼は陽菜貸しますので、ふたりで中庭でランチしてくださいね。絶対に中庭でですよ! それと陽菜! 陽菜は、速攻で双子くん達のお世話してからね!」


 藤堂先生は、私に視線を向け「どした?」と口パクで言っているような気がしたので私も「後で……」と返事をした。その後、真智先輩の視線を感じ、双子くん達の看護に向かった。私は藤堂先生の横をさりげなく通ると、白衣のポケットにラッキーカラーの青いボールペンを挿した。


──よし。先輩達はまだ盛り上がっていて気付いていない。


【ごめんなさい。今日の最下位は乙女座の方。ラッキーカラーは緑です。思わぬ怪我に注意です。あなたのツキを回復させるラッキーメニューはクロワッサンです。それでは午後からも張り切っていきましょう】


 すかさず真智先輩が一言。


「ねぇ、悟って乙女座って言ってたよね」


「あぁ、僕ピチピチの乙女座ですぅ〜って自己紹介してましたよね」


「みんなで大笑いしましたよね」


 先輩たちが盛り上がっている。


「昨日の怪我、悪化させてないと良いね」


「悟だよ。なんかやらかしてそうじゃない?」


「今頃、鼻血出してるかもね。大騒ぎして救急車呼ばないでよ。ウチら笑い物になる」


「そこまでお子ちゃまじゃないでしょ。一応国家試験合格してる子だよ!?」


「いやいや、弥生ちゃん、さとるんだよ?」


「真智先輩……そうでした。悟ですものね。やりそうで怖いです」


──随分、言われてるなぁ。双子くん達のオムツ替えて、休憩になったら悟にメッセージ入れておこうかな。


 優しい先輩達の計らいで、藤堂先生とランチできそうなので感謝する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ