第三十話 晴れぬ空
ナハトの渾身の一撃の痕には煙と共に焼けこげた臭いが充満している……
「フハハッ……私の魔法に自ら突っ込むなんて…結局一緒にくたばってりゃ世話ないねぇ……」と嘲り笑う。
しかし煙が晴れたその先には驚くべき光景が広がっていたのだった!ナハトは一瞬我が目を疑うことになる……
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「ふぅ…間一髪だったな…」と突如現れた翼の男がワタルとハウンを抱え、空から降り立った。
残りの2人も別の男に抱えられている。そしてワタルは見覚えのある人物だと気づいた……
「ワタルくん!おいらだよウィング。君たちパーティが依頼行ったまま帰られねぇって言うからさ……間に合って良かった」と笑顔を向ける。
ワタルがファングと仲違いしていた時に勇気づけてくれた恩人の1人だ。
「オラもいる。だから大丈夫。」とボンゾウ。「随分腕を上げたそうだな。面構えからよく分かる……」とリーダーのハルクが回復魔法をかけてくれた。
「ありがとうございます…助けてもらって…でも相当な強敵です。今すぐ逃げましょう」とワタルが言うと、「いいや、こいつを放置していくわけにもいかんだろう…」とハルクが答えた。
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(何…?あの攻撃から逃したっていうの…全く見えなかった…一体どこから現れた?)
ナハトは動揺していた。しかし、すぐに冷静さを取り戻す。
そして再び魔法を発動しようと構える……
「おいらが相手だ!」とウィングは翼を広げ、風を巻き起こす! その突風にナハトはバランスを崩しそうになるが、必死に踏みとどまった。しかしそこへボンゾウの巨大な斧が振り下ろされた!彼女は間一髪でそれを避けたが、頬に傷がついた。
「なかなかの実力だねぇ!ちょっとは楽しめそうじゃないか!」とナハトが楽しそうに笑う。
そして素早く魔法を繰り出す!
「生憎、私は鳥を撃ち落とすのは得意なのさ!」と指を鳴らす。
すると、雨雲から雷がウィングに降り注ぐ。
彼は避けようとするが、追尾してくる雷魔法に直撃してしまい身体が痺れてしまう。
その隙を狙ってナハトは一気に距離を詰める!そして電気を纏った強烈な蹴りを繰り出した。
ウィングは避けられず、咄嗟に翼を丸め身体へのダメージを軽減するしかなかった。
そのまま地面に叩きつけられてしまうが、風を背に受けてすぐに立ち上がり反撃に出る。ナハトの顔を殴りつけ岩肌へ叩きつける!
うぐっという呻き声が聞こえたが、すぐに体勢を整えられてしまう。
お互い手の内を探り探りの攻防が続く……
激しい戦闘のために、ワタル達はおろか、他のパーティメンバーすら手を出す隙がないようだった。
「本当に強いよ君は!だけれどその自慢の翼はもう限界みたいじゃないか?そろそろ私の勝ちが近づいてきたようだね」とナハトが笑う。
「隙あり!加勢するぞ!」とボンゾウがナハトの背後から斧を振り下ろす!それが彼女の身体を掠めた! 肩から赤い血が滲む。だが彼女は意に介さず、蹴りで二回りほど大きな彼を蹴りで吹き飛ばした。
そして再びナハトの指先が光り出す。
解き放たれた閃光は、ハルクの盾によって弾かれる。
今度は爆発音が鳴り響くと同時に、眩い光は空へと吸い込まれていった。
仕留め損なったとナハトは舌打ちをする。
「ふんっ…私がここまで追い詰められるとは……しかし、まだ勝負はついていないよ!」
ナハトが叫ぶと同時に、彼女の指先に再び雷光が灯った!そしてそれを天へと掲げる。
すると空が急に曇り始めた。ゴロゴロと音を立て始める。
次の瞬間、激しい閃光と共に空から無数の雷が降り注ぐ!!その威力の前にハルクの盾も砕け散ってしまった! ワタル達は慌てて回避するが、避けきれずにダメージを受けてしまう。
さらに追い打ちをかけるように、ナハトは魔法を放った!
青白い光の奔流が空を駆け抜けていく。
その光は真っ直ぐにハルクに向かっていった。
激しい火花が飛び散り、辺り一面が白く染まる……そして光が収まった時そこには膝をつくハルクの姿があった。
彼の身体からは煙が上がり、肩で息をしていた……
ナハトはニヤリと笑い再び魔法を放とうとする。
「はぁ…はぁ…流石に私も張り切りすぎたようだよ…」と脚に電気を纏わせる。
そこにハルクが立ち塞がる!彼はナハトの攻撃に備えて守りを固めているようだ。
電気を纏った蹴りでトドメを刺しにかかるが、ハルクはその攻撃を受け止める。
激しい音が響き渡る!ナハトは上空に舞い上がる! 彼女は雷魔法を唱え始めるが、ハルクは隙を見逃さなかった!剣を握りしめ飛び上がり、彼女の脳天めがけて振り下ろす!! そして遂に攻撃は命中した……地面に墜落するナハト。しかしすぐに立ち上がり再び魔法を繰り出す構えを取る。その指先には光が集まりつつあった……
ワタル達も助けに行きたいが、先程の凄まじい雷魔法の余波を受けて身体が思うように動かない……。
ボンゾウは魔法を受け続けた影響で意識を失ってしまっているようだ。ウィングも立ち上がるのがやっとの様子だった……
それでもファングが立ち上がった。彼は双剣を手に持ち、構えを取るとナハトに向かって突進し始めた! それに呼応するようにハルクも剣を振りかぶり走り出す……2人は同時に攻撃を繰り出した! 激しい金属音が響き渡ると同時に、火花が飛び散る!2人とも渾身の力を込めた一撃だったが、防がれてしまったようだ。ナハトの指先からはまだ閃光が残っている。そしてそれを空へ打ち上げ再び雷雲を呼び出そうとするのだ!!だがその魔法を放つ前にファングの剣がナハトの腕を切りつけた! 彼女は慌てて後方へ飛び退き、距離を取る。
しかしファングの攻撃はまだ終わっていなかった!彼はそのまま追撃をかけるように距離を詰めると双剣で連続攻撃を仕掛けた! その速さにナハトも対応できず攻撃を受け続ける。
だが、彼女も負けじと反撃に出る。彼女の指先からは雷光が放たれる! それはファングの身体に命中するが、彼の勢いは止まらない。そして遂にナハトの懐に飛び込んだ!! 渾身の一撃が彼女を襲う! それはナハトの鳩尾に直撃し、そのまま突き飛ばした!地面に倒れるナハト……
しかしすぐに立ち上がると魔法を放つ準備をする。彼女の指先は徐々に光を帯びていく。ファングもまた剣を構え、迎え撃つ態勢を整える! そしてお互い同時に攻撃を繰り出した!!激しい衝撃音と共に火花が飛び散る! 2人とも息を切らしながら睨み合いを続けていた。
だが遂に限界を迎えたのか、ナハトはそのまま倒れてしまった。





