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76話 豪雨のいらん副産物のこと

遅くなりました。

またお付き合いください。

「ガアアアアアアアアッ!!」


 肌が灰色になった男のゾンビが、片方しかない腕を伸ばして突進してくる。

ああ、コイツ泥で汚れたんじゃなくて……『黒』になりかけってことか!

動きが微妙に速い!


「ふぅう――」


 踏み込みつつ、兜割の切っ先を後方に逃がす!


「っしぃいあ!!」「エゲッ」


 踏み込みの勢いを乗せた切り上げで、片腕の肘を砕きながら跳ね上げる。


「――うぅあっ!!」「ッギ!?」


 切り上げた兜割を反転させ、さらに踏み込みながら脳天に振り下ろす。

ゾンビの額が陥没し、両目が飛び出る。


 後ろに跳び、今まさに倒れ込んだゾンビを観察……しつつ、周囲に気を配る。


「ちぇい、さー」「ァアゴ!?」


 ……ひどく気の抜けた掛け声と、重い打撃音。

ちょいと向こうで、後藤倫パイセンのハイキックが女ゾンビの首をへし折った瞬間だった。

完全に折れた首は背中側に倒れ、どう見ても即死? した。


「そっちはどうすかー」


「これで最後。つまんない上に疲れた」


 マイペースなパイセンは、肩を軽く回してストレッチ。

よく見ればその周囲には、首が折れたり顔面が陥没したりしたゾンビの成れの果てが転がっている。

俺の周囲も同じような感じではあるが。


「こっちは終わりか……ふぅ」


 流れてきた汗をぬぐう。

畜生、雨が降ったかと思えば次はカンカン照りかよ。


「向こうは大丈夫っすかね」


「むしろ大丈夫じゃない理由がなくない? ななっちいるし」


「まあ、それはそう」


 この地域全域を襲ったとんでもない豪雨は、結局3日間降り続いた。

用水路は溢れ、魚は田んぼに逃げ出し、近所の川は氾濫した。

まあ、高柳運送にこれといった被害が無かったのは幸いだ。

魚は半分くらい逃げちまったが、仕方ない。


 だが……それ以上の脅威というか面倒ごとも持ち上がった。


 それは、この豪雨の間に硲谷方面からゾンビが大移動してきたってことだ。

朝起きて屋上から見てびっくりしたぜ、マジで。

高柳運送の周辺にある田んぼや道に、ゾンビ共がワンサカいたからな。


「電撃カプセルのお陰でちょいと楽はできたがな……」


 雨が上がっても、ゾンビ共はびしょ濡れだし道も同じ。

神崎さんたち自衛隊が備蓄していたカプセルの効果は絶大で、それで周辺のゾンビは半分くらいは対処できた。

できたんだが……田んぼに点在するゾンビ共はこうして殴り倒す必要があったんだ。

見たところ全部ノーマルか『なりかけ』だったから、貴重な銃弾は温存して南雲流で対処することにした。

エマさんとキャシディさんは、スタン槍で援護してくれたけどな。

アニーさん? 寝てるよ。


「こっちゃあ、片付いたで~……!」


 反対側を担当していた七塚原先輩の声。

あっちも問題なくやれたみたいだな……


「む」


 重いエンジン音が聞こえる。

目をやると……向こうの方からショベルカーがやってきた。

運転席に座っているのは……神崎さんか。

持つべきものは特殊大型免許持ちの自衛官ですなあ……

ちなみにここ原野にある建設会社から拝借してきたものだ。

従業員は全員ゾンビになってたから、レンタル料は無料。

ガソリンは消費するけどな。


「神田川のおかげで無限穴掘りは回避できたね、田中」


「自衛隊様々ですねえ。あと、感謝してんならちゃんと名前呼んだげてください」


「前向きに検討する……じゃ、帰って寝る」


 マイペースなパイセンは、大きく伸びをして歩き出す。

あの人はもう……


「田中野さん! お疲れ様です!」


「どーも! ありがとうございます~!」


 運転席から身を乗り出す神崎さんに、俺は大きく手を振った。



・・☆・・



「やーれ、しわい(疲れた)。いくら雑魚でも数が多いとのう……」


 南雲流プラスアルファによる一般ゾンビ駆除作戦は、だいたい昼前まで続いた。

ノーマルとはいえ、数が多い。

だが、奴らを田んぼに誘い込むことで比較的楽に成仏させることはできた。

いくら人外のゾンビでも、豪雨によって沼みたいになった田んぼには勝てないらしい。

何体かは足を取られて転び、そのまま泥水の中で勝手に死んでくれたしな。


「何体やりました?」


「いちいち数なんぞ数えとりゃせんわい。あいつらが腐るんじゃったら、ええ畑の肥料になるんじゃがのう」


 揺れる水面に顔を突っ込んで、洗う。


「ぷは……とりあえず場所決めて埋めてますけど、処分どうしましょっかね」


「知らん。どっちにせえ、超高温で焼かにゃあいけんのじゃろ? わしらの手には余るで」


「ですよねえ……」


 俺は、七塚原先輩と一緒に水風呂に入っている。

馬房の隣にあるプールのやつだ。


「ひひん」


 俺たちは汗だくになったから風呂の代わりだが、ゾンちゃんは外からざぶざぶと顔を突っ込んで遊んでいる。


「ヴッフ、フシュ」


「飲むな飲むな、腹壊しても知らねえぞ」


 ヴィルヴァルゲは、普通の顔をして俺の横から水をガボガボ飲んでいる。

一応は井戸水だからいいのか……?


 女性陣は沸かした風呂、男性陣はここだ。

夏がそこまで来ているので、これくらいでちょうどいい。


「おじちゃーん」「わふ、わう!」


 葵ちゃんが、お盆を持ってやってきた。

足元にはサクラがちょろついている。

上に載ってるのは……ペットボトルか。


「すぽどりよー、どうぞ~」


「おお、すまんのう葵ちゃん」


 先輩がニコニコしながら受け取っている。

俺ももら……うわっ!?


「わふ!」


 サクラが飛び込んで来た……コイツも泳ぐの好きだもんなあ。

後で一緒に拭いてやろう。


「サクラちゃん、泳ぐのじょうず、ね~?」


「犬の世界水泳があったらいいとこまでいくかもな……ありがと」


 俺も受け取って、そのまま飲む。

う~……カラカラになった体に沁み込む!

スーパーから大量に回収したからな、賞味期限も長いしまだまだある。

粉タイプもあるし、水さえありゃいくらでも作れる。

サバイバルにはもってこいだ。


「ヴィルママ~、はぐ、はぐ~!」


「ブルル」


 葵ちゃんは、ヴィルヴァルゲの鼻面に嬉しそうに抱き着いている。

抱き着かれてる方も、慈愛に満ちた目をしてるな……馬がこれほど表情豊かとは知らんかった。

ゾンちゃんはまだ水と格闘している……変な子だな、将来大物になるぞ。


「はふわふ」


 高速犬かきで突っ込んできたサクラを捕獲し、俺はそう思った。



・・☆・・



「本日早朝より作戦は再開されたとのことであります。連日の豪雨でゾンビ共がビッシャビシャですので、電撃がもう笑っちゃうほど効果的……だそうでありますよ」


「ほほう」


 水風呂から上がって体を拭き、着替えてマットの上に寝転んでいると式部さんがやって来た。

そっか……ゾンビはほっときゃそのまま乾くまでは何もせんからな。

濡れてる分電気の通りも大層いいだろうし、こいつは作戦も早く終わりそうだ。


 ちなみに先輩は馬と一緒に放牧へ出た。

サクラもついて行ったから急に静かになっちまったな……


「『レッドキャップ』とか鍛冶屋敷が横槍入れてきませんかね……」


「さて、それは未知数でありますが……三等陸佐なら当然念頭に入れて動いていると思われるであります」


 素人の俺でも考えつくようなことだしなあ……そりゃそうか。


「作戦の方は置いておいて、今回の豪雨で畑の一部が崩壊した方が問題でありますな~。自分が一生懸命植えたトウモロコシが……およよ……」


 高柳運送内部の畑は無事だったが、外の畑を流用していた所がゾンビ行進で破壊されたらしい。

可哀そうなトウモロコシ……

そして許すまじ、ゾンビ!!


「それと、先程偵察して参りましたが……道に沿ってゾンビが点在しているのであります。昨日までに硲谷方面からやってきたようでありますよ」


「うわ……折角先輩が掃除したのに、また来たんですか……コイツは困ったな」


 原野には俺たちしかいない。

ゾンビがいない状況ならいいが、こうなってしまうと俺達が駆除しないといつまでも居つかれちまうな。

暇を見て成仏させた方がいい……黒にでもなられたら余計面倒臭いし。


「じゃあ、落ち着いたら駆除に行ってきますよ」


「ああ、それでしたら心配ないかと。先程アニーさんたちが軽トラで出ていきましたので」


 あ、さっき俺の軽トラ借りてったのはそれか。

悪いなあ……


「一朗太さんはお仕事をとっても頑張りましたので、もう今日は休憩された方がいいのであります。見張りと警邏は自分がやりますので!」


 ビシ! と敬礼した式部さんは、そのまま綺麗な立ち姿で歩き去っていく。

うーん、正中線がブレてなくて流石としか言えない……


「バウ! バウワウ!」「んぎゃっ!?」


 ああ! なーちゃんの良質タックルが炸裂してしまった!


「こ、こら~! 悪戯っ子であります~!」


「ヘッハッハッハッハ!」


 式部さんはアスリート顔負けのダッシュフォームでなーちゃんを追い、社屋へ消えていった。 

……あの人も、結構面白いよな。


「あ、水風呂もといプールの水抜かんとな……」


 立ち上がって排水栓の方へ行く。

水を気にせんと使い放題なの、マジで有難い環境だぜ……井戸ってチートだわ。


「お、ソラじゃん。今日は暑くなるぞ、大丈夫か?」


「みぃい~やぁあ~!」


 『無理~!』みたいな声を出しているのは、浅瀬に浮かんでいるソラ。

ここの動物たちはみんな水が好きで変わってるよな……普通、猫なんて水大嫌いなのに。


「栓抜いていいか?」


「フシャー! みぃい!!」


 まだ入っていたいらしい。

見た感じ猫の水死体一歩手前なんだが。


「あっそ、んじゃしばらく水を楽しめよ」


「みゃお!」

 

 じゃあ……豪雨に耐え抜いたヒヨコちゃんの様子を見に行こうかな。

一応朝一で見た時は元気そうだったが……確認は何度してもいいって多分古事記にも書いてあるし。



「元気そうだな」


「ピピヨ」


 七塚原先輩が丹精込めて作った鳥小屋は、やっぱり豪雨にもビクともしていない。

地面からちょっと高い……高床式? になっているからな。

小屋から外に出る時は、スロープ的なパーツを接続することになっている。

今はみんな小屋の中で、農協の廃墟から回収したペレットを一生懸命食べている。

うまいこと病気もせずにスクスク育ってるな……いいこと、いいこと。


「金網も大丈夫だな」


 まだイタチは見たことがないが、この近所にはキツネもタヌキもいる。

わざわざここにヒヨコを食いに来るとは思えないが……用心しとかんとな。

まあ、人間が減って縄張りも広がったし、食うものなんか山ほどあるだろ。


「あら、田中野さん」


「あ、どうも」


 振り返ると、斑鳩さんがバケツを持って立っていた。

中身は……ああ、雨で流れた土の補填か。


「凄い雨でしたね。私もこの県に来て長いですけど、こんな豪雨は経験したことがありません」


「俺もそうですよ。ゾンビなんかが出るから驚きませんけどね、もう」


 立って歩く死体に比べたら、異常気象なんかまだ優しいもんだよ。

厳密に言うとあいつら死体じゃないけど。

その方がより悪いわ。


「でも、ちょっとここに初めて来た時を思い出しました」


「さすが母娘。璃子ちゃんも前に同じこと言ってましたよ」


 あの日も結構な雨だったなあ……これだけ付き合いが長くなるとは思わんかった。

っていうか、これだけ抱え込む人間が増えるとは思わなかったとも言える。

俺のワガママの結果だから、別にどうということはないが。


「田中野さんのお陰で、ここはとっても平和です。外にゾンビがいるなんて信じられませんね」


「いやあ、それほどでも……元々田舎ですしね、ここ」


 過疎化バンザイって奴だ。

平時に言ったらぶん殴られるだろうが、この状況なら人自体がいない地域は安全だからな。


「あ、ママとおじさんだ! ヒヨコちゃん元気~?」


 斑鳩さんと談笑していると、璃子ちゃんが走って来た。

後ろには子供たちもいる……世話をしに来たのか。

はー、なんとも勤勉な子供たちだよ。

在庫は死ぬほどあるが、外に出たらまたお菓子をたんまり探してきてやろうか。


「おう、今日も元気だぞ」


「よかった~! じゃあみんな、ヒヨコちゃんを外に出して小屋の掃除しよ~!」


「「「はーい!」」」


 返す返すも、良い子供たちだ。

守りがいがあるなあ……


「おじさんも手伝って~! ケイフンは肥料にサイテキなんだからね~!」


「あいよ、頑張りま~す」


 たぶん世界中ゾンビまみれで、そこかしこでヤバい連中が暴れてるんだろう。

だけど、璃子ちゃんみたいな子供もいる。

……地球の未来ってやつは、意外と明るいかもな。


「ふみゅ……なーに? 私のミリョクにメロメロなんかな~?」


 寄って来た璃子ちゃんの頭を撫でる。

この性格、斑鳩さんに似てねえなあ……


「はいはい、すごいね」


「むきー! なにその目! バカにしてるの~!!」


 トマトの親戚くらい真っ赤になった璃子ちゃんを、もう一度撫でた。



・・☆・・



「戻ったぞイチロー!」


「ちょっ……俺の愛車がァ!?」


 璃子ちゃんに纏わりつかれながら鳥小屋の掃除をして、昼飯を食って……腹がいっぱいになったサクラが膝の上で眠って、しばらく。

正門が開いて、外に出ていたアニーさんたちが帰って来た。


 ――貸し出していた俺の愛車は、ちょっと直視できないくらいにフロント部分が真っ赤に染まっていっる。

正確に言えば赤黒い。


「何があったんですか!?」


 ダッシュで近付いていくと、惨状がより分かりやすい。

大木くんがカスタムして頑丈になったフロントスポーク。

そこに、血液らしきものと細かく描写したくないような物体が張り付いている。

骨片とか、内臓とか色々だ。


「まあ待て、慌てるとベッドでも失敗するぞ? リン! ホースの準備を頼む! 子供は見ちゃ駄目だぞ!」


 倉庫前にはいつの間にか神崎さんがスタンバイしている。

式部さんは……遊んでいた子供たちを社屋に避難させている。

俺の膝でスヤスヤしていたサクラは抱っこされてる……いつの間に。


「アニーさん! こちらへ!」


 神崎さんが誘導しているのは、駐車場の端。

少し傾斜が付いていて、流れた水は水路に落ちるようになっている場所だ。


「タダーイマ、イチロ~」


「おわわわ」


 荷台から飛び降りてきたエマさんが、体当たりするように抱き着いてきた。

キャシディさんは荷台に座ったままこちらへ投げキッス。

相変わらず映画女優みたいにポーズが決まっている。


「あの、怪我してません?」


「ダイジョブ~、ムテキ、ムテキ!」


 一応聞いたけど、こんだけ抱き着ければそりゃそうだろうな。

汗だくな以外は元気そうだ。

……水風呂、まだ水抜かなくてよかった。


 ともかく、エマさんと一緒に軽トラと追いかけることにした。



「随分、派手にやりましたね」


 運転席から下りたアニーさんが煙草を吸っている。

ケガはしていないようだ、安心。


「車体の損傷はないぞ。オーキはいいエンジニアだ」


 たしかに、損傷とかはない。


「ゾンビですか、これ……?」


「いいや違う、まあ順を追って話そう」


 吸いかけの煙草を俺に押し付け、アニーさんは紫煙を吐いた。

……喫えってか? とりあえず持っておこう。


「ここを出て南下しつつゾンビを狩っていたいたんだが……ちょっと楽しくなりすぎてな、ハザマダニまで足を伸ばしたんだ」


「『まるで鴨撃ちね! あ、小口径弾薬しか使ってないからね~?』」


 キャシディさんがなんか補足してるけど皆目わからん。


「それで……休憩がてら小規模なマーケットに寄ったんだ。後ろに戦利品があるぞ」


 あ、ほんとだ。

コンテナぎっしりになんか菓子類とか保存食が詰め込まれてる!

助かるなあ……


「とまあ、そこまではよかったんだがね……おっとリン、貸したまえ。汚したのは私だからこっちでやろう」


 神崎さんからホースを受け取り、アニーさんはおもむろに車を洗い始める。

車体にこびりついたアレやコレが、傾斜にそって用水路へと消えていった。

……アレ食ってデカくなったブラックバスはあんまり食いたくねえな……贅沢は言ってられないけど。


「女学生さながらに喜びながら戦利品を積み込んでいるとだな、下品なペイントのバンが3台やってきてな……」


「あっ……」


 ゾンビの次に多いチンピラか……


「……どうなりました?」


 神崎さんが、わかりきってるけど……みたいな顔で聞いた。


「ンフフ、いやあ……いい的だったよ、とてもね。女をモノとしか思っていないのが丸分かりの連中だったのでな、なんの罪悪感もなく――BANG! だ」


「『わっかりやすいスケベ顔してたもんね~?』」


「『何人かはもう『臨戦態勢』だったわよ、ウゲ~』」


「しょっ!? しょ、そうですか……それは唾棄すべき奴らですね!」


 エマさんが舌を出している。

神崎さんの顔が真っ赤なんだが?


「恐らく全員なんらかのドラッグでトんでいたからな。こちらが銃を構えて警告しているのに、日本語でも英語でもないよくわからんスラングを喚きながら突撃してきた」


「案の定、蔓延してやがるな……麻薬」


 それどころじゃないだろうに、世紀末世界で非合法なお薬かよ……救えない連中だな。

ああいや、世紀末だとこっちが正常なんか……? まあ、俺はそっちに転ぶつもりもないが。


「ああいったドラッグは痛覚を鈍らせる。小口径の猟銃しかなかったので、即死させられず車に縋りつかれてな……それで、イチローの愛車がああなったわけだ」


「成程……そりゃ、仕方ないですね」


 ベキベキになったんだろうなあ……同情はせんが。


「今回は迂闊だった、今度からは外出の際に必ず大口径の何かを必ず1丁は持っていかねばならんな」


「最近物騒ですねえ……」


「いえ、田中野さん……ずっと物騒ですよ?」


 神崎さんからのツッコミが優しい。

彼女も丸くなったものだ……すいません嘘です! 睨まないで!

あと俺の心を読まないでいただけますかね!?


「ようし、これで元通りのいい男になった。いやあ……疲れた、今日はよく眠れそうだな」


「あ、先に汗を流したいんならまだ水風呂がそのまま残ってますよ」


 排水しなくてよかった……井戸水を注ぎ続けてるから水も綺麗だろうし。

ソラもサクラもお利巧だから、中でトイレとかせんしな。


「ジャ、ハイル~!」


「ワタシモ~!」


 ちょっとォ!? ここで、ここで脱がないで!?


「田中野さん、駄目ですよ!」


「これに関しては俺って無罪じゃないスか!?」


 即座に俺の目を塞いだ神崎さんに抗議したけど、俺はそのまま社屋まで連行される羽目になったのだった。


「リン、別にこれくらい気にしないが~?」


「駄目です! 駄目です!」


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お薬のおかげで、アホタレが更にアホタレになったからヤリやすくなってヨシ。
モリモリくるゾンビは一体どこから… この麻薬、レッドキャップが関わってそう。
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