70話 だけれども高柳運送にはあんまり関係ないこと。
発令、『詩谷駐屯地奪還作戦』……とは言ったものの、俺が何かをすることはない。
俺もそうだが、南雲流という面々は大人数での作戦行動にクソ程不向きなのだ。
こういう場面においては、組織的な行動力のある自衛隊にお任せする他ないのである。
なんたって向こうには万を超えるゾンビがいるとか。
兜割でチマチマ殴ってたら日が暮れるどころか年が変わっちまうわ。
「できたか~?」
「んしょ……うんっ!」
おお、なにやら襟足が涼しい。
「上手にできたなあ、葵ちゃん」
「えへへぇ、がんばったよ!」
というわけなので……神崎さんからの報告を聞いた翌日。
俺はいつものように高柳運送で過ごしている。
「切ってもよかったんだがな……これでもいいか」
「そのときは、葵がきったげる~!」
場所は屋上で……何故か葵ちゃんに髪をゴムでまとめてもらってるんだ。
後ろ毛を切ろうかどうしようか……なんて考えてたら、こういうことになった。
この騒動からこっち、散髪に行く暇もなかった気がする。
いや、しようと思っても恐らくどこも絶賛休店中だろうし。
この状況下で髪切ろうかな……って床屋に行くやつなんかおらんからな。
「おじちゃん、これつかって~」
む、これは……カチューシャか。
これで前髪を上げろとかそういうことだろうか。
伸ばしっぱなしなせいで、前髪が下駄履いた妖怪小僧くらいになってるもんなあ、俺。
「でもさ、葵ちゃん。おいちゃんこれ使うと傷丸見えになるんだけど……怖くない?」
我ながら迫力あるぞ、顔面。
「なんで~? 葵、おじちゃんのおかおすきだよ~? 璃子おねーちゃんも、凛おねーさんもすきだっていってたよ~?」
心底不思議そうな葵ちゃんである。
……よく考えたら、ここの子たちは七塚原パイセンのライオンフェイスを見慣れてるんだよなあ……
そんならまあ、いいかね?
……神崎さんにまで気を遣わせて、悪いけども。
受け取ったカチューシャを使って、前髪を上げる。
おお、なんか新感覚。
「似合うか?」
「えへ~、とっても!」
かわいいことを言う葵ちゃんを抱え上げる。
「わはー」
「うーし、葵ちゃんのお陰でよりイケメンが加速しちまったし……一緒にニワトリさんの家を綺麗にすっか」
今日の当番は俺じゃないが、まあいいだろ。
「やる~!」
やる気満々な葵ちゃんを肩車し、朝の仕事に行くことにした。
今日も素敵な一日になるといいなあ。
・・☆・・
「イメチェンおじさんじゃん!」
葵ちゃんと鶏小屋を掃除していると、本来の当番である璃子ちゃんがバケツ片手にやってきた。
「あはは! 後ろが三つ編みになってる~! かわい~!」
「葵ちゃんがやってくれたんだよ。この子は将来カリスマ美容師になるかもしれんな」
俺がやると可愛いと言うより、中国の拳法家みたいになるが。
どっちかというと後藤倫パイセンだな、ジャンルは。
「前髪もスッキリしたじゃん! ね、ね! このまま三つ編み残して坊主にしちゃおうよ!」
「嫌だよ……とっても嫌だよ……」
この子の美的センスが心配……っていうかそれじゃあ本当にカンフー映画の主人公だろう……
「ごはんよ~、いっぱいたべるのよ~」
当の葵ちゃんは俺達の話よりも、ニワトリちゃんのエサやりに夢中だ。
いかんいかん、掃除だけでもしっかりやらんと。
しかし葵ちゃん、本当に一生懸命お世話してんな。
動物が好きなんだろうなあ。
「おっきくなったら、おっきいタマゴをうむのよ~?」
……逞しくておおいに結構!
これからの地球には必要な貪欲さだ!
俺も見習おう!
「それにしてもおじさん、前髪ないとインショー変わるねえ」
そんなに伸びていない草を引き抜きながら、璃子ちゃんが言ってきた。
「お、イケメンか?」
「超強そう!」
……傷剥き出しだからね、納得。
我ながら迫力満点だと思うわ。
「にーいちゃん、にいちゃ~ん?」
おや、朝霞じゃないか。
こんな朝早くに珍しいことだ。
今日は俺のベッドにおらんかったから……子供たちと一緒に寝てたんだろうな。
「おう、どしたー?」
立ち上がると、倉庫方面から歩いてくる朝霞が見えた。
あいてて……どんなに鍛えても腰痛はなくならん……謎だ……
「カンザキサンが探してた……ふわー! イケメン!!」
「そうかあ?」
さっき璃子ちゃんにはああいったが、俺はコイツの将来と性癖が心配だよ。
「いつものにいちゃんもいいけど、こっちもいいね! わー! 三つ編みかーいい!かーいいし!」
朝からテンションの高い朝霞は、俺の前まで走ってきて小刻みにジャンプしている。
カワイイ要素、あるか?
「んで、神崎さんが呼んでるってどういうこと……おいおい巻き付くな巻き付くな」
油断するとこれだ……こいつを牙島のアナコンダと命名してもいいかもしれん。
「んへへぇ、シンセンでいいね! なんかね~、ウタヤ基地のことだってさ~」
先日始まった奪還作戦のことだろうか?
ひょっとして、なんかすごくヤバいゾンビでも出て壊滅状態とか?
いやでも、俺に言われてもどうにもできんしな……ま、とにかく行ってみるか。
「はいよ、サンキュ。すまんがニワトリちゃんと幼女2人を頼む」
「うやぁん……はーい、まかして~」
「ちょっと!私は幼女じゃないんだからねっ!!」
ぷりぷり怒る璃子ちゃんを残し、神崎さんがいる社屋へと向かった。
・・☆・・
「神崎さん、用事ってなんです……式部さんもおはようございます」
社屋1階のオフィス部分。
動くことないPCデスクが密集しているそこに、神崎さんと式部さんはいた。
なにやらタブレットを真剣な顔で見つめている。
「一朗太さん! おはようございまひゅッ!?!?!?」
微笑んだ式部さんが俺を見て絶句。
「田中野さん、朝から申し訳ありまひぇん!?」
続いて神崎さんも、唐突に噛んだ。
なんなんすか、いきなり……あ。
カチューシャ付けっぱだった。
そりゃあびっくりするわな……
「なんかすいません、今取りま――」
「ノウ! ノウでありますっ!!」
式部さんの食いつきが凄い……と、とりあえずこのままにしとくか。
何が気に入ったんだろうか。
「そのままで結構で!結構であります……あ、失礼いたします」
式部さんは何処からか取り出したデジカメで素早く撮影。
なんたる早業……無駄な能力!
「……ええっと、あの、用事ってのは?」
「ああ! 申し訳ありません……アニーさんたちも呼んでいますので、しばしお待ちを」
駐留軍陣営もか。
こりゃ、ちょっと大事なんだろうかね?
「(後でデータをいただきたいのですが)」
「(しゃーなしでありますよ~?)」
この2人、なんだかんだで仲良くなったみたいだな。
いいこと、いいこと。
「すまない、遅くなった……おやイチロー、今日は涼しげだな」
「カワイイ!」「ルッキングーッド!」
そして駐留軍サイドもやってきた。
可愛い要素はないんですけど?
「それでは、こちらをご覧ください。先程本隊の連絡要員から届けられたデータです」
若干のワチャワチャはあったが、仕切り直し。
さっき神崎さんが持ってたタブレットを、俺たちは全員で見ている。
「連絡要員……いつの間に」
「古保利三等陸佐の部下であります。いつもコッソリ来ているのでありますよ」
……全然気づかんかった。
恐るべし、現代ニンジャ。
「昨日行われた奪還作戦の映像です。我々にも情報共有を……とのことで」
そして、神崎さんがディスプレイをタップ。
映像が流れ出した。
……視点がむっちゃ高いってことは、ドローンの映像かな?
「うお……なんじゃこりゃ」
「フムン……想定していたよりも数が多いな」
何故か、何故か俺の膝に乗っているアニーさんが呟いたように……詩谷駐屯地と思しき場所は、ライブでもやっているかのように黒山の人だかり。
これは……全部ゾンビか。
自衛隊っぽいのから一般市民っぽいのまで、多種多様なゾンビたちが敷地内にぎっしり詰まっている。
……これをどうこうするのって、無理じゃないのか?
弾丸とか足りるのか? 100や200じゃないぞ。
「そろそろ始まるであります」
始まる……? と思ったら、画面に動きがあった。
駐屯地の厳重なゲートに、赤い何かが見える。
「消防車……?」
音声は聞こえないが、絶対に轟音だろう。
豪快に門とフェンスを突き破りながら、何台もの消防車が敷地に突撃していく。
一体どこからかき集めたんだ。
「(フーン、考えたもんね)」
何故か、何故か俺の肩に顎を乗せているキャシディさんが英語で言う。
くすぐったいし恥ずかしいんですが!?
ゾンビの群れが、乱入者に気付いたのか……吠えるような動作をしつつ、一斉に消防車に向かって走り出した。
その瞬間、消防車からこちらも一斉に放水。
アレだ、消防車の上に砲台みたいなのが付いてるやつだ、アレ。
ビルとかの消火に使う奴。
濁流のような放水が、走り寄ろうとしていたゾンビ共をなぎ倒す。
ふえー、すごい圧力だな……でも、水だけで殺せるわけじゃないだろ。
ゾンビは泳げないけど、溺れるくらいの水量を出すのは無理だと思うが……
「アレは海水だな、リン」
「ええ、そうです」
海水……そんなもんで何を?
画面の中のゾンビ共はまだ元気いっぱいにもがいている。
先頭がなぎ倒されたので、進むに進めないみたいだが……
「イチロー、簡単なサイエンスの問題だ。海水は電気をよく通す」
……電気?
あ、それって……!
「前にアニーさんたちがゾンビに使ってた新兵器……?」
「ンフフ、よくできました。褒美をくれてやるから夜にベッドに来い」
「行きませんが???」
この人はもう……とにかく、画面にまた動きがあった。
いつの間にか消防車の上に登っていた駐留軍の兵士たちが、グレネードランチャーを構えて発射。
何かが飛んでいき……その何かが直撃したゾンビは、周囲を巻き込んで出鱈目なダンスみたいな痙攣をしている。
あれだけの量の海水なら、通る範囲も広いってことか。
「画面外ですが、後方に発電機を搭載したトラックが控えているのであります」
式部さんがそう言うか言わないかってあたりで、なんか合羽みたいなものを着込んだ人たちが……消防車の後ろから一斉に走り出す。
太いケーブルを持つ何人かと、それを護衛するようにマシンガンを構えた何人かのグループだ。
「海水の放水によってゾンビを足止めし、小規模な電撃兵器で釘付けにしつつ……本命です」
神崎さんの説明にかぶせるように、ケーブルを持った人たちが痙攣しているゾンビ集団に到達。
ケーブルの端を金具で地面に固定し、それをマシンガン持ちが援護。
ゾンビたちは吠えつつも、先に成仏した先頭集団に邪魔されて中々近付けないようだ。
「絶縁体装備によって高圧電流ケーブルを運び……」
固定が終わった人たちが、素早く離脱。
援護射撃を続けながら、マシンガン持ちたちも離脱していく。
それをさらに援護するように、土砂降りの雨くらいの放水。
一塊になったゾンビの群れの隅々まで、海水が降り注いでいく。
あ、なんか警察の放水車みたいなのもいる。
「しかるのち、全力放電であります」
「うおっ!?」
画面では何の光も見えないけど、さっきよりも広い範囲のゾンビが一斉に仰け反った。
今まさに、大電流が流されたんだろう。
「ノーマルタイプはこれでほぼ即死です、ですが特異個体にはまだ……」
画面の奥から黒ゾンビが走ってくる。
たしかに、びくびく痙攣しているけど即死はしていない。
「『ワオ、ここで使うわけね』」
何故か俺の左腕を抱き寄せているエマさんが言うように、駐留軍の装甲兵が消防車を守るように展開。
手には、例の電極付きのでっかいシールドを持っている。
「海水によって通電効果は倍増していますので、この装備で完全に殺しきります」
ダッシュから早歩き、そしてヨタヨタ歩行まで弱った黒ゾンビたちが、盾に接触した瞬間に倒れ込んでいる。
なるほど……二重三重の構えで当たれば、問題なく対処できるってことか。
流石軍隊……数の力って奴だ。
電気は発電所が確保できてるし、海水なんてそれこそ無限にある。
は~……科学の力ってすげえな~。
でも、画面上のゾンビはまだ全滅していない。
画面外からお代わりゾンビがウジャウジャ現れるんだ。
「多いですねえ、ゾンビ」
「ドローンで確認できるだけでも、詩谷駐屯地には1万体以上のゾンビがいます。この布陣で何日かかけて殲滅しきるつもりのようです」
ああ、なるほど。
そういうことね。
そこで映像は終わった。
「現状はこの状況であります。イレギュラーが発生しない限り、今週中には基地を奪還できる予定だとのことでありますよ」
ふむん……イレギュラー……嫌だな、絶対に発生しないでほしい。
「なるほど……あの、皆さん終わったんで離れません?」
「ンフフ、もう少し」「モスコシ」「アトニジカン」
駐留軍サイドさあ……(うち1名は除隊済み)
あの!キャシディさんは匂い嗅がないでくれませんか!?
朝霞の亜種かよ!!
やめてくださいよ!
ホラ見て! 自衛官2人が無茶苦茶怖い目をしてるから見て!!
って! なんで俺が睨まれてるんですか!!
拙者は! 拙者は無罪です~!!
・・☆・・
「わふ! わん!」
「ほーれ、取ってこーい」
キラキラお目目のサクラが、俺の投げた軟球を追って駐車場を走って行く。
おー、早い早い……あっという間に追いついて……なーちゃんに軟球を掻っ攫われた。
「ぎゃおん! わうぅ! おーん!!」
「バフフ!」
『許さねえぞお前ェ!!』って感じで興奮したサクラは、なーちゃんを猛然と追う。
なーちゃんは楽しそうにトップスピードで逃げ続け……何故かゾンちゃんが彼女らを追いかける。
なんか、ボール投げじゃない謎の無限鬼ごっこが始まった。
まあ、楽しそうだからいいか……
「ブルル」
俺の後ろからやってきたヴィルヴァルゲは、そんな娘たちを見ながらご機嫌そう。
「平和だなあ、おかあちゃん。なんか別の所じゃあ鉄火場らしいぞ?」
「フシュ」
聞いているのかいないのか、彼女は俺の後ろ毛である三つ編みを噛んでは引っ張る。
やめろォ!ハゲたらどうすんだお前!!
「キュ~ケ~」
三つ編みを取り戻そうと悪戦苦闘していると、さっきまで洗濯物を干していたキャシディさんがやってきた。
この人も良く働くなあ……別にゆっくりしてていいのに。
「『傷、大丈夫ですか?』」
「ダイジョブ、モウゲンキ!『だけど例の作戦終わりまでここにいられるし、その後もいたいわね~』」
足は完全に治ったし、海辺でのケガもすっかりよさそうだ……だけど、傷が残っちゃったな。
女性の体に……ううむ、俺がやったわけではないが申し訳ない。
「『ヴィルちゃん、今日もいい毛並みね! 日本人は黒い方が好きなのかしら……アタシも染めようかな』」
「ヴルル、ヒヒン」
ニコニコしながらヴィルヴァルゲを撫でるキャシディさん。
すっかりここに馴染んだな、この人。
子供たちも懐いてるし、好きなだけいて欲しい所だ。
防衛力も増えるしな。
「イチロー、キャシー、よく冷えたコーヒーは如何かな?」
アニーさんがポットを抱えて歩いてくる。
おー、素晴らしい。
「ありがとうございます……それにしても、奪還作戦は大丈夫ですかねえ」
カップを受け取る……冷えてる!最高!
「さて、なるようにしかならんが……あのコホリが後ろに控えているのだ、大丈夫だろう。大丈夫でなくても、我々には何もできんしな」
まあ、そりゃそうか。
「『アニー、アタシここの子になりたい~』」
「『ええい、引っ付くな鬱陶しい。私にそのケはないぞ軍曹……その母性はイチローに押し付けていろ』」
「ハーイ」
なんで抱き着いてくるんすか!?
やめて!アイスコーヒーが死んじゃうから!!
「ま、なんにせよ今後は注視せねばらなん。例の連中が動き出すやもしれんしな」
……レッドキャップに、鍛治屋敷か。
そいつは……望むところだ。
「こーら、これだからサムライは……いい機会だから言っておくとするか」
「あで」
デコピンをくれたアニーさんは、俺の頭をそのまま両手でつかんだ。
そうして、真正面から真っ直ぐ俺を見つめてきた。
「いつかは連中とぶつかるだろう……それはいい。それはいいが……死ぬことは許さんぞ、イチロー」
いつものようなからかい半分じゃなく、真剣な目だった。
「キミはいささか自分の命を軽視しがちだからな……」
「いっ!?」
かと思えば、彼女は素早く顔を寄せてきて……俺の首を軽く噛んだ。
「んなっ!? な、なにを……」
「――いいかイチロー。お前が死んだら私も……いや、この方がいいな。お前が死んだら私が一緒に死んでやる」
抗議しようとすると、彼女はとんでもないことを言ってきた。
「これはお前だけの戦いじゃあないんだ、いいな? お優しいサムライのイチローは……私が死ぬのが嫌なら、精々命を大事にすることだ」
「ひえっ!?」
アニーさんは俺の鼻の頭に素早くキスをして……いつものニヤニヤ顔に戻って体を離す。
そして、アホ面を晒している俺の胸ポッケから煙草を1本抜き取ると咥えて歩き去った。
……勝てない。
あの人には、絶対に勝てないなあ……
「『半分くらいはアタシにもわかったわ! アタシだって一緒に死んであげるんだからね!』」
「ウワーッ!? いっだ!?」
キャシディさんは、ちょっとだけ真剣な顔で俺の耳を齧ってやはり煙草をかすめ取っていった。
今何言ったの……? 勘弁してくれ、アメリカ語はサッパリなんだよ。
しかし……はあ、ままならんなあ。
そりゃあ死ぬ気はないけどさ……それでも、これは迂闊に死ねなくなったぞ。
嫌じゃないしがらみだけが増えていくのは……いいことなんだろうか?
「――自分もでありますよ、一朗太さん」
気配を感じさせずにいつの間にか後ろにいた式部さんも、それだけ言って社屋に消えていった。
……はは、は。
「……花田さんにも、神崎さんの件で約束しちゃってるしなあ……しっかり稽古、するか~……」
立ち上がってケツをはたき、木刀を掴んで駐車場へ歩く。
とにもかくにも稽古、稽古だ。
平和な時に、悔いが残らんように鍛えておかんとなぁ……
・・☆・・
「凛おねーさん、どしたの? 顔が真っ赤だけど?」
「……なんでもないわ璃子ちゃん、なんでもないわ、ええ」
「わ、わかった! わかったから! 顔! 顔がコワイ~!!」




