60話 外はカリカリ、中はフワフワのこと
外はカリカリ、中はフワフワのこと
「やりすぎた……かな?」
「いっぱい!!」
『1号溜池』の近くに停めた愛車の軽トラ。
そこで、俺は腕を組んで考えていた。
隣に立つ美玖ちゃんは、テンションがやけに高い。
「半分は生かしておくとして……さらに干物と燻製で半分って感じ……かなあ?」
俺達の目の前には、持ち込んだクソデカクーラーボックス。
その中には、ミチミチに詰まったブラックバスたちの姿があった。
「いっぱい釣れたね!いちろーおじさん!」
「美玖ちゃんは釣りの才能があるなあ……」
おかしい……1匹釣れたら交代のエンジョイ釣りルールでやっていたはずだ。
なぜこんなに釣れまくってしまったんだろうか。
「そりゃおめえ、この騒動からこっち釣り人なんていなかったからに決まってんだろ。なんだかんだで数カ月もこいつらは平和だったんだからなあ」
ワンボックスにクーラーを詰め込んだおっちゃんが戻ってきた。
あっちも4人でアホみたいに釣ってたからな……
「なるほどね、しかしこれ……高柳運送まで生かして連れ帰れるかしら」
まさかここまで爆釣するとは思わなかった。
いくらなんでも、酸素吸入器付きのクーラーボックスだけには入りきらんぞ。
こんなことならもっと大木くんに作ってもらうんだったかな……いや、今のアイツにこれ以上仕事を与えると『楽しんで過労死』しかねない。
何かしら作るのが楽しくてしょうがないみたいだしなァ……
「お前んとこの水路までか……アレならなんぼか引き取ってこっちで生かしといてやろうか?」
「おっちゃんとこって池あったっけ?」
あの庭には井戸と畑しかないハズなんだが。
「道挟んだ向こうの筋によ、でっけえ池付きの家があんだよ」
「あー、あの武家屋敷みたいな。でも住んでる人は?」
あったあった。
いかにも田舎の豪邸って感じのお家が。
高い塀もあって、昔は庄屋的な感じだったんだろうなってヤツ。
「婆さんだけ住んでたんだが、5年前に施設に行っちまったよ。死んだ旦那さんが飼ってた鯉は前に処分したが、池自体は山水がまだ張ってあったから……あのまま使えると思うぜ」
「マジか!」
田舎最高!
「どっちにせよこっちもかなり釣っちまったからな、あそこを使わせてもらうつもりだったんだ。本当なら外来魚を生かしたまま移動させるのはご法度なんだが、今は……なぁ?」
「法度がお亡くなりになってらっしゃるから……ねぇ?」
「「へへへへ……」」
2人で顔を見合わせ、ニヤニヤ笑う。
「おじーちゃんにおじちゃん、楽しそう……」
「見習っちゃ駄目な顔してる……」
こちらへやってきた由紀子ちゃんが、美玖ちゃんの目をそっと塞いだ。
そんなに悪い顔してる!?
まあとにかく、いい生け簀が近所にあるなら乗っからせてもらおう。
ここは視界が開けていて安全だが、毎度毎度ここまで来るのはちょっと骨が折れるからな!
「うっし、じゃあバスくんたちが死ぬ前にとっとと帰ろうぜ」
「帰りも美玖、おじさんの車に乗る~!」
「どうぞどうぞ」
美玖ちゃんは賢いから、明らかにヤバいスイッチとかには触らないもんな。
いや、全部大木くんが『危険』とか『感電』とか書いてくれてるし。
・・☆・・
「田中野さん、これで最後です」
「どうも……おらァ!!」
小鳥遊さんから受け取ったクーラーボックスを、勢いよく裏返す。
ちょっと緑色の水と一緒に、何匹かのブラックバスが池に消えていった。
「よし……心なしか喜んでいる、気がする!」
「本当に広い池ですね、ここなら長い事生かして保存できそうです!」
小鳥遊さんが言う通り、そこは広大な池だった。
溜池から戻り、おっちゃんが言っていた空き家……『岸山』さん宅へそのままやってきた。
中を見ると、たしかに広い広い庭と池があった。
この騒動前から空き家なので庭木も雑草もボウボウだったが、池はなみなみと水が張っていた。
ここ、おっちゃんの家もそうだが井戸や山水が豊富な地域だからな……普段は田舎だが、ゾンビ騒動下においてはチート立地である。
「ついでに草刈りもしちまうかな。小鳥遊さん、俺はもうちょいここで作業してますから」
「はい、じゃあ私は一旦家に戻りますね。冷やしたお茶を持ってきますから」
「うわー、ありがとうございます!」
おっちゃんの家にもいつの間にかポータブル冷蔵庫や製氷機が設置されている。
詩谷や秋月から回収してきたらしい。
発電機もあるし、ここも住みやすくなってるなあ……
「さて」
岸山さんの庭には、手入れ用の器具を入れておく小屋があった。
そこから鎌を借りて、少し運動しておこう。
あんまり藪が多いとマムシとかも出るかもしれんしな……あとやぶ蚊も。
これから暑くなるからなあ……せめて玄関から池までは綺麗にしておこう。
草刈り機もあるけど……燃料は無駄にできんからな、人力で十分だ。
「ふい~……」
草刈りを終え、水分補給を済ませた俺は……おっちゃん宅の庭に戻ってきた。
「ぎゃう!ぎゃぁう!」
「おう、そうだな生臭いな」
縁側に腰かけて、じゃれてくるレオンくんに対応。
今はおばちゃんがバスを捌いてくれているからな……いいって言ったのに高柳運送の分まで。
「……なんか毛並みもよくなったけど、お前ちょっとデカくなってねえ?」
「きゅるるるるぅ……!」
膝に乗ってきたレオンくんが、明らかに重い。
雄だから妊娠でもないし……ここでいいもんいっぱい貰ってんだろうなあ。
「平和を享受してんな、お互いに」
「きゃぁう!」
俺の質問に、レオンくんは楽しそうにレッサーパンチを顔面に放つのだった。
痛い!なんでだよお前!!
武道の達人か何かか!!予備動作もナシに!!
「一太ぁ、お疲れ」
レオンくんのパンチを躱す遊びをしていたら、美沙姉がやってきた。
持っているお盆の上には……おお!トマトが!
「畑で獲れたトマトだよ、食べていきな」
「ありがてえ……」
受け取って齧る。
井戸水か何かでよく冷やしたトマトは……控え目に言って超美味い。
瑞々しいし、口いっぱいに芳醇な香りが広がる!
「しみじみ美味いなあ……」
「んね、こうして野菜齧ってると……ゾンビがいるとはとても思えないよね!」
隣に腰かけた美沙姉もトマトを齧っている。
「ぎゃぁう!きゅるぅ!」
「はーいはい、どうぞ~」
そしてレオンくんは……美沙姉の差し出したキュウリを器用に抱えて齧り始めた。
キュウリ食うんだ……レッサーパンダ……
笹よりも柔らかくて食いやすいんだろうけど。
「ただアレね、刺激が少ないっていうか情報に飢えるわね~!せめて月額の動画配信サービスとか復活しないかな~」
「それは超思う」
俺も、2社ほど契約していたんだ。
「こんなことになるんなら、完結するまで待つんじゃなくてシーズン追いかけるんだった……ってドラマがいくつかあるよ」
「あるある!アタシもねぇ……あ~!犯人気になる~!ってヤツがあるわ……」
美沙姉はぐでっと項垂れている。
あー……サスペンス系はキツイよなあ、ネタバラシは基本的に最終話だし。
「――で、なんか面白いことない?」
「キラーパスやめてくんない?」
こんな状況でそうそう面白い事なんて起こるワケ……あ。
「面白いかどうかわからんけど、この前ヘリ飛んできたよ。八剱から」
「うっそ!?隣の県から!?」
ここの人員はチンピラとのつながりは零だし、別に話してもいいだろ。
情報漏洩の心配もないし。
「そそそ、ビックリしたぜ~?モクモク煙出しながらさあ……なんとか着陸して、乗ってた人達は今御神楽にいるけどね」
「へぇ~!アンタが救助したの?」
「俺は運転手してただけだよ、アニーさんたちが有能だったからマジで何もしてない」
いてくれてよかった、マジで。
俺だけなら右往左往するだけだったかもしれん。
「アニーちゃんたちかあ……元軍医さん?だっけ」
「ああそうだよ、高柳運送は有能な方が多いなあ」
立地もチートなら、人員もチートだよ。
「ふうん、じゃあさ、向こうはどうなってんの?八剱の方は? アタシの同僚にそこら辺の出身者がいるんだよね~……」
「ああ……うん、実はねえ……」
あまり明るい話題ではないが、話のついでに現状も説明しておこうか……
・・☆・・
「にいちゃん!おっかえり~!!」
「おうただいま、お前足は大丈夫か?」
夕方近くになって高柳運送に帰ると、門が開いた所に朝霞がいた。
グネッた足には湿布が貼られていた。
「痛いけどだいじょぶ!あーしも釣り行きたかった~!」
「次の機会にな……まあ、お土産もあるから元気出せよ」
運転席越しに喋りながら、車を入れる。
そしてエンジンを切って、そのまま荷台へ。
「よっと……ホレ、見てみこれ」
「わーすっご!大漁じゃん!!」
4つあるクーラーボックスのうちの1つを開けると、そこには処理が済んだブラックバスがミチミチに詰まっている。
おばちゃんが全部三枚におろしてくれました。
あっちも今日はブラックバスパーティーだろう。
「ふふふ……あと1個に同じものが入っていて……そして残り2つには生きたままの個体が入ってる!」
あちらの池に放した残りだ。
元気がいいものを選抜したが、それでも20匹はいる。
水路に放して、緊急用の非常食にしよう。
なに?生態系の破壊……?
知らない言葉ですねえ!
それに、ここの水路は上流から入ることはできても下流に行く部分は網で仕切られているから無問題だ!
自然は大切だが、生きていくこともまた大切だからな!!
「マジぃ!?うはー、にいちゃんすっごいじゃん!!」
「はっはっは、褒めろ褒めろもっと褒めろウグーッ!?」
朝霞が巻き付いてきた。
巻き付けとは言っていない!!
「おやおや、賑やかなことだな」
社屋の方から、アニーさんがやってきた。
どうやら神崎さんたちはまだ帰っていないらしい。
「ぶるる」「わふ」「ヴァフ!」
おっと、サクラたちもだ。
ゾンちゃんは嗅ぎ馴れない匂いが気になるのか、荷台をしきりと嗅ぎまわっている。
「アニーさん、こっちの2つは処理済みです。半分は保存食にしましょ」
「ほほう……いいサイズばかりだな、これはいい酒のサカナになる」
クーラーを覗き、アニーさんは嬉しそうに笑った。
「とりあえず、俺はこっちを水路にぶち込んできます」
まずは1つ……うおお、結構重い。
水入りだからな……
「わふ!わん!」
サクラが足元をチョロついている。
中身が気になるんだろうか?
「もうちょい待ってろよ……っと」
クーラーを抱え、水路の上まで歩く。
そのまま蓋を開け、中身をざばーっと開けた。
「わん!わふん!おーん!!」
サクラがむっちゃ興奮してる。
そういえば、コイツ魚好きだったよな。
「ブラックバスって言うお魚さんだ。強そうだろ?」
あ、そういえばここの水路ってアマゴがいるんだった……どうしよ。
……まあアレだ!どっちも食える魚だから大丈夫だな!
本流には問題ないし!!
「平時は嫌われていたその類まれなる繁殖力を発揮するんだぞ……!」
「おさかな!」
「おっと」
サクラと同じくらいテンションの高い葵ちゃんがやってきた。
「どうだ葵ちゃん!リクエスト通り、山盛りのお魚を釣ってきたぞ~!」
「おじちゃん、すごーい!」
飛び跳ねる葵ちゃんを抱っこする。
『わたしも!わたしも!!』的な感じでサクラが跳ねているが……すまん、今は無理!
「もう1個のクーラーにも入ってるからな、一緒に放そうか」
「うん!あ、ソラくーん!おさかないっぱいだよ~!」
「めぇおう!みぃい!!」
心なしか、ソラのテンションも高い気がする。
「おさかな~♪ おさかな~♪」
「わぅう~うおん!わふ!」
「みぃい!んなぁおう!」
なんだこの可愛い集団。
日頃の(それほどでもない)疲れが消えていくようだ……
そんな気持ちを抱えつつ、もう1個のクーラーを取りに行くことにした。
なお、生きている魚を見たゾンちゃんは馬房まで逃げ去った。
そして、ヴィルヴァルゲの影から出てくることはなかった。
生まれて初めて見た謎の生き物が怖かったらしい。
・・☆・・
「鍋ヨシ!油の温度たぶんヨシ!衣ヨシ!」
「もちろん魚もヨシ!だよ~!」
今はすっかり夜。
倉庫の馬房横には竈が組まれ、その上にはデッカイ鍋が乗せられている。
俺の横にはキャンプ用のテーブルがあり、その上にはブラックバスの切り身が大量に乗っている。
さらに、大木くんが回収してきた小麦粉も。
「いつでもいいよ、おじさん!」
「よっしゃ来い!」
俺の声に、璃子ちゃんが切り身を取って小麦粉をまぶす。
そして、そいつを俺の持つ皿へ。
「オラーッ!!」
油に放り込むと、ジューっと食欲をそそる音がする。
あ~……これだよこれ!音だけで美味そう!!
「音だけで美味しそう~!」
璃子ちゃんも同じ感想のようだ。
フィッシュフライなんてこの生活始まって以来だからな!テンション上がるのもわかるぞ!
どんどんと切り身をぶち込んでいく。
うほほ、テンションがストップ高だ!
「……ブルル!」「ひぃん」
お隣の馬房から母娘の視線が突き刺さる。
スマンな、お前らは食えないんだよ……いや、聞き馴れない音に警戒しているだけか?
「まだかな~」「おなかすいたねえ」「いいにおいする~!」
倉庫の前には、トレーを持った子供たちがワクワクしながら待っている。
「川のお魚はしっかり火を入れないと駄目だからもうちょい待てよ~?だけど無茶苦茶あるからな!」
「「「わ~い!!」」」
まずは子供たちの分。
大人は後だ。
「は~い、ソースができましたよ~♪」
巴さんがボウルを抱えてやってきた。
斑鳩さんとの合作ソース、絶対に美味いぞ。
「おじさん!まだかな~?」
璃子ちゃん、よだれが零れそうだぞ。
「むっさいい匂いする~!アガる~!!」
朝霞に至ってはもう零れてる。
子供たちの教育に大変悪い。
「……よし第一陣上がりッ!みんな、熱いから気を付けろよ~!」
そんなことをしていると火が通ったので、菜箸で金属トレーに出来立てのフライを置いていく。
うおお……衣がパチパチいっててむっちゃ美味そう!
香ばしくていい匂いもする!!
「大きい骨は取ったけど、小骨と火傷に気を付けろよ~!」
「「「は~いっ!!」」」
うん、いいお返事。
フライ第一陣は子供たち全員に行き渡った。
朝霞と璃子ちゃんにもだ。
「ふーっ、ふーっ……あふ、あふあふ……んぐ!ん~~~~~~~っ!!おいひい!!!」
璃子ちゃんの顔を見るに、どうやら味もいいようだ。
朝霞も勢いよく、ご飯と一緒にかき込んでいる。
あー、美味そう。
「おいし!」「ぱりぱり~!」「あふっ!おいひい!」
子供たちにも評判は上々のようだ。
「きゅ~ん!わふ!わふ!!」「ヴォン!バフ!!」「んにぃい~~~~!!!」
動物3匹の要求が激しい。
待ってろ待ってろ……お前らの分は今横で焼いてるから。
油で揚げるのはちょっと健康的にアレだしな。
あと超熱いし。
「イチロー!マダ!?」「マダ~!?」
食いしん坊の駐留軍2人の目線が痛い。
待ってくださいよ……
「まだ?」
後藤倫先輩まで……
「ン……私は最後でいいぞイチロー?」
優雅にワインを傾けるアニーさんが有難いよ……じゃない!なんでボトルを直に呷ってるんですか!!
そこはワイングラス使ってくださいよまったく!ここにもあるんですから!!
「んっま!泥臭さとか全然わからん……美味すぎ!!」
全員にフライが行き渡ったので、俺も揚げたてを齧る。
ちょいと酸味の効いたソースがアクセントになって、無茶苦茶美味い。
ブラックバスは不味いなんて聞いていたが……この白身の甘さときたらどうだ?
この騒動始まってから食ってないし、そのせいもあってより美味く感じるのかもしれんなあ!
「『ん~!まさか日本でまたフィッシュバーガーが食べられるなんて!』」「『イチローに感謝ね!感謝!もーう、なんでもしてあげちゃうっ!!』」
キャシディさんとエマさんは、自家製のパンに挟んだ即席フィッシュバーガーが気に入ったようだ。
「ソラ、美味いか?」
「んみゃ、んみゃ、んなぁ!」
焼いて冷ました切り身を頬張るソラは、『美味しい!』とでも言うように鳴いた。
ははは、そうかそうか。
サクラもなーちゃんも、尻尾を振りながら喜んで食べている。
2匹とも魚が好きなんて変な犬だなあ。
まあ、いいけど。
「ンフフ……白身の魚は白ワインがよく合う……ンフフフ」
すっかり酔っぱらったアニーさんも上機嫌だ。
それ2本目ですよね?知らねえぞ二日酔いになっても!
「にいちゃん!どんどん揚げよどんどん!」
「応よ!第三陣がそろそろ出来上がるからな~!お代わりが欲しい人は集合しろ~!!」
子供たちが何人かやってくる。
食え食え、好きなだけ食って大きくなるんだぞ~!
「田中野さん!美味いッスねえ~!ここの水路だけじゃなく、将来的には学校のプールを生け簀にしましょうよ~!!」
フライに舌鼓を打つ大木くんが上機嫌だ。
冗談めかして言ってるけど、コイツはいつか作りそうで怖い。
いや、いいんだけど過労死には本当に気を付けろよな。
この世界でその死因は笑いものになるぞ。
「おじちゃんも食べてる~?」
「おう、葵ちゃんはどうだ?おいしいか?」
「うん!もうおなか、いっぱい~!」
言葉通りにお腹をぽんぽこにした葵ちゃんが、笑って抱き着いてきた。
いい笑顔だ、やっぱり子供には笑顔が一番だなあ!
「おじちゃん、なんでもできるねえ!すごい!」
「なんでもはできないよ、できることだけ」
「それでも、すごいよ~!わたしも、大きくなったらおじちゃんみたいなひとになりたいな~!」
……それは、うん、どうだろうか?
キミはもうちょっとこう、ね?俺みたいなネジ外れヒューマンにならないようにしような!
その方がきっと幸せだぞ?
「はははは……そっかあ」
だが、流石にこの状況でそれは言えないので頭を撫でることにした。
「えへ~」
葵ちゃんが、いや……ここの子たちがいつまでも幸せでいられればいいなあ……
そんなことを、俺はいるかもわからない神サマ的なアレに祈るのだった。




