49話 ハイブリッドのこと
ハイブリッドのこと
「グゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
白黒模様の上に、黒い装甲を纏ったゾンビ・・・ハイブリッドが吠える。
そのまま、足元の土を吹き飛ばしてこちらへ跳躍。
手に持ったデカい斧が、重さを感じさせないほどの速度で大上段から振り下ろされた。
冷静に間合いを見極め、軽く後ろへ下がる。
目の前を通過した斧が、地響きを立てて地面に突き刺さった。
「っふ!」
斧がめり込んだ瞬間、その先端を踏みつけて跳ぶ。
跳躍の最中に、腰だめにした兜割を突きの形で放つ。
狙いは、目!
「っしゃあ!!」
最短距離を突き進んだ兜割の先端が、ハイブリッドの右目に突き刺さ―――らない!
「ガアアアアッ!!」
奴は頭を振って切っ先を回避。
兜割は頬の装甲に接触して火花を散らし、後方へ逸れる。
そのまま、奴は斧を地面に突き刺したまま俺に向かって踏み込む。
装甲板に包まれた肩が、風を纏って迫る。
「舐める、なァ!」
逸れた兜割を強引に横薙ぎへ変える。
それが奴の首を叩く反動で、体勢を変える。
「っはぁ!!」
空中で引き戻した足を、ハイブリッドの肩に叩き込んで後方へ跳躍。
着地し、下段に構える。
「グォルルル・・・!!」
ハイブリッドは刺さった斧を引き抜き、また構えた。
仕切り直し、か。
・・・コイツは、ヤバい。
今までに出会った白黒よりも、格段に『体の使い方』が上手い。
それに、自分への攻撃に対して無頓着じゃない。
あの反射神経・・・侮れない。
「ふぅう・・・!」
兜割を正眼に構える。
目は半眼、肩の力を抜く。
・・・コイツはゾンビっていうよりも、人間サイドの動きだな。
ゾンビと同じだと思い込んで、危うく反撃を喰らいかけた。
「ガアアアアアアアアアアアアアッ!!」
ハイブリッドが再び吠え、俺に向かって来る。
よォし、第二ラウンドだ!
今度は前みたいな不手際は晒さんz―――
「アアアッ!?!?!?」
重々しい銃声と同時に、ハイブリッドの顔面が仰け反った。
装甲の破片が宙に舞う。
「行け!」「―――はぁいっ!!」
頼れる守護天使だよ、本当に!!
イイお膳立てだ!
「っしぃい・・・!!!」
顔を仰け反らせたままのハイブリッドに向かって踏み込む。
その勢いを全て乗せた兜割を、奴の腹目掛けて突く。
「おおおっ!!!」
兜割の先端が装甲に突き刺さり、破壊しつつ内部へ侵入。
刀身の三分の一がめり込んだ。
「ッギ!?イィイイイイ!!!!」「ぬゥっ!?」
腹筋が規格外の力で収束し、兜割の動きが止まった。
引くも押すもできん・・・ならっ!!
兜割から手を離し、『魂喰』に手を沿える。
居合の体勢で、すかさず抜刀。
「しゃあっ!!」「ゲゥッ!?!?!」
抜け出た『魂喰』の柄頭で、ハイブリッドに突き刺さったままの兜割の柄頭を叩く。
その衝撃で、兜割の刀身がさらにめり込んだ。
南雲流剣術、『骸貫』
人間相手にはオーバーキル気味だが、コイツら相手じゃキルすらできんか!
「ガアアッ!!アアアアアアアアアアアアッ!!!」
腹に兜割が突き刺さっているが、ハイブリッドはまだ元気だ。
異物に構うことなく、斧を握ってこちらへ走り出す。
「ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」
今度の振りは、横薙ぎの軌道。
直撃したら、この着込みでも真っ二つだろうな!
直撃、すればだが!!
「っしぃい・・・ああぁっ!!」
踏み込み、恐ろしい風鳴りを立てる斧を潜る。
潜りながら、膝を折る。
踏み込みの勢いと、体移動の力を横方向へ変換。
「ギィイイイイイアッ!?!?!?」
鋭い横回転によって加速した『魂喰』の刃が、流麗な風切り音を響かせながらハイブリッドの右足首を薙ぐ。
まばらに存在する装甲板の隙間を縫い、中の肉体を半ばまで斬りつけて抜ける。
さすが妖刀、凄まじい切れ味!
南雲流剣術、『草薙』
「ギャオオオオオッ!!ッガ!?ギャアアウウウゥウ!?!?」
後ろへ抜けた俺を追おうとして、ハイブリッドが強引に振り返る。
今までの五体満足な体なら問題なく出来たろうが、今のお前は足首半分を刻まれてんだぞ?
足首からぶちぶちと嫌な音を立てながら、ハイブリッドが片膝をついて姿勢を崩す。
普通なら攻め時なんだろうな、普通なら。
「やっぱり、な!」
踏み込む素振りを見せたら、俺の予測進路を斧が薙いだ。
うわ、すげえ勢い。
手で振っただけなのに、出鱈目な力だ。
「イチロー!横へ跳べ!!『エマ!斉射!!』」「アイアイ!」
横へ跳ぶと、重なり合った銃声。
「ッガ!?ガギャア!?ッギッギギイイイ!?!?」
アニーさんのリボルバーとエマさんのライフルが火を吹き、ハイブリッドの装甲板が削げていく。
的確に弱い部分を狙っているようだ。
「『反撃が来る!左右に展開!!』」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
焦れたハイブリッドが斧で地面を薙ぐ。
土とコンクリートが砕け散って吹き飛ぶが、その着弾地点に2人はいない。
素早い、さすがだ!
「余所見とは余裕だな!!」
背を向けたハイブリッドに向けて、地面を蹴る。
後ろ腰から脇差を右手で抜刀、そのまま前に放る。
「―――っし!!」
その柄尻を、『魂喰』の柄尻で弾いて飛ばす。
陽光を反射し、脇差が飛ぶ。
「ッカ!?」
狙った通り、脇差は装甲板が少ない延髄に突き刺さった。
南雲流剣術、奥伝ノ一『飛燕・春雷』
「カッハ!?ア、アア!?ガガ、ガガガ!?」
なにがしかの重要器官が損傷したのか、ハイブリッドが目に見えてバグった挙動を見せる。
この機を、逃すか!
「ッギ、ギィイ!」
ゆるゆると、ハイブリッドがこちらに振り向く。
斧を振ろうと、その片手が動く。
踏み込むと同時に腰を回す。
足先から、上半身まで。
―――発生する勢いを、余すことなく『魂喰』の斬撃へ乗せる!
「ガア!?!?」
加速した刀身がハイブリッドの首に食い込む。
装甲板を切断し、肉をも斬り裂く。
「―――お、オオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
空気すら焦がすほどの勢いで、『魂喰』が首の肉を半分以上斬り裂いて抜けた。
手応えでは、確実に骨も断っただろう。
跳び下がり、下段に構える。
「ガ、ガ・・・ガ、ッギィ、ッギ・・・」
呻くハイブリッドの首から、盛大に真っ黒な体液が噴き出た。
心臓も動いてないのに、なんでああも出るんだろうか。
「ア・・・ガ、ガ・・・ガ・・・」
人間なら明らかに致死量ぶっちぎりの量の出血?をしてもなお、ハイブリッドは倒れない。
奴は、その状態でも俺をまだ睨みつけている。
「―――悪いが、この世にキミの居場所はないんだ。とっととくたばってくれ」
ハイブリッドの注意が俺に向いている隙。
それを逃さなかったアニーさんが音も立てずに走り寄り、いまだに体液を噴出し続ける首元に何かをねじ込む。
彼女はすぐに跳び下がり、手元でリモコンのようなものを操作。
ばじ、と何かが弾けるような音が聞こえた。
「ッガ!?!?!?ア、ァ、ア・・・ァ・・・」
ハイブリッドは仰け反って痙攣し、地響きを立てて倒れ込んだ。
「ワン、トゥー、スリ・・・」
痙攣を続けるハイブリッドを見ながら、アニーさんが何度も何度もリモコンを操作する。
その度にハイブリッドがひときわ大きく痙攣する。
だが、その痙攣も徐々に小さく、弱くなっていった。
「・・・よし、耐久力は通常のマーブルと同じだな。動きにはヒヤリとしたが、キバシマの個体よりはマシか」
ハイブリッドが完全に動きを停めた後もしばし残心。
確実に無力化できたのを確認して、血振りをしつつ納刀した。
「今回も鮮やかな手並みだったな、イチロー」
「・・・いやいや、初手でミスりました。存外に頭がよくって面食らいましたよ」
「私にはとてもファンタスティックな戦闘に見えたがね。サムライとはストイックなのだな」
ストイックかどうかはさておき、ノーマル以上のゾンビの攻撃力は脅威だ。
油断は即死に繋がる危険性を持っている。
人間相手なら斬られても殴られてもそうそう即死することはないが、こいつらの『虫』に感染したら即『詰み』だ。
用心に越したことはないだろう。
「オツカレ!カッコヨカッタ!」
「せんきゅうせんきゅう」
エマさんもライフル片手にやってきた。
アニーさんも含めて、ハイブリッドの攻撃で負傷はしていないようだ。
「そういえばアニーさん、さっきリモコンみたいなので操作してたのは・・・?」
「ああ、アレか。イチローも『転化防止装置』は知っているだろう?ゾンビに噛まれたら肉体に刺して使用するものだ・・・アレはそれを改良してな、リモコンで放電をさせるんだ」
あー・・・式部さんから渡されてるな、そういえば。
コンセントの基部みたいな形のアレだ。
なるほどね、そういうことか。
どんなに変わってもゾンビに電気は有効。
こうかはばつぐんだ!ってやつだな。
「フムン・・・どうやら完全に無効化できたようだな。最後に頭を吹き飛ばしてジ・エンドだ」
アニーさんが背負っていた背嚢を下ろし、中からもはや見慣れつつある粘土状の爆弾を取り出した。
一応、仕掛ける前に首を刺しておくかな。
念には念を入れないと。
・・☆・・
「見ろイチロー!宝の山だな!」
「ガッポガッポ!」
「予想はしてたけど改めて見ると・・・すげえ」
特にかわいそうでもないハイブリッドの頭を吹き飛ばし、おかわりがないのを再度確認した俺達は店内の物色を開始した。
店舗部分はビルの1階で、2・3階は倉庫と住居スペースのようだ。
とりあえず、店舗部分に足を踏み入れたのだが・・・
「あの行列を見るに、そうだろうとは思っていたが・・・ふふふ、『ヨリドリミドリ』というやつだ」
店内は全くの手付かず。
恐らく、このゾンビ騒動が始まってから変化はしていない様子だった。
壁に揃ってぐるりと配置されたガラスケースの内部には、『新品』や『中古』の表記と共に数多くのライフルが並んでいる。
その他にも銃に取りつける各種オプション品や、レジの後ろにある鍵付きの棚には弾薬の箱らしきものが見える。
この状況じゃあ、とんでもない宝の山だ。
「ショットガンにライフル・・・ふむ、ここの棚はエアライフルか。この国では望外の品揃えだな」
「『ワオ!レミントン!こっちでも人気なのねェ』」
アニーさん達は銃を見つつ何やら話し込んでいる。
俺?俺はまず散弾銃とライフルの違いもよく分からん男だ。
『はえー・・・てっぽうがいっぱいあるなー』という感想しか出てこない。
「アニーさん、どうします?」
「この周囲に生存者はゼロだ。置いておいてアウトローに持っていかれてもつまらん・・・ので!銃と弾丸は全品持ち帰りだ!」
「タダ、サイコー!」
エマさんの言う通りだ。
100%オフって素敵。
「じゃ、運び出しますか」
いつもなら警報装置が作動するところだろうが、あいにく電気さんはお休みになっている。
豪快にガラスをぶっ壊そうか。
ハイブリッドから引っこ抜いた兜割を、ガラスに叩きつけようとした瞬間だった。
『―――お昼の試験放送です。お昼の試験放送です』
店の外から、スピーカーで拡大された放送が響く。
俺は動きを止め、アニーさん達も拳銃を引き寄せて沈黙。
『これは、試験放送です。ご協力、ありがとうございます・・・試験放送を終了します』
最後に、ポーンという電子音を立てて放送は終了した。
・・・しばしそのまま、動かない。
耳に痛い沈黙が過ぎ、何もないのを確認してかアニーさんが口を開く。
「・・・なるほど、周囲にあれ程ゾンビ共がいた原因はアレか」
「そういえば、屋根にソーラーパネルがあったのを思い出しましたよ」
ああやって定期的に音声を流してたのか。
それで、周辺に散らばっていたゾンビが集まって来ていたてことね。
「今は大丈夫だが、いつかは同じように集団が形成されるな。ああいった装置を無人地帯で作動させるのもいいアイディアだ」
あ、確かにそうかも。
定期的にデカい音が鳴るように設定しておけば、ノーマルゾンビを誘引することは可能かもしれん。
・・・まあ、ネオとかは吠えてゾンビを呼ぶし白黒は頭がいいから万能ってわけでもないだろうけど。
「俺達みたいに探索している連中がいるかもしれません。嗅ぎつけられる前に撤収しましょうか」
「そうだな、手早く済ませよう」
まず弾薬に手を伸ばすアニーさん達を見つつ、俺は再び兜割を振り上げた。
・・☆・・
「イチロー、コレサイゴ!」
「よっと・・・了解。ふぅ・・・壮観だな」
エマさんが持ってきたライフルを受け取り、荷台へ置く。
何故か荷台のボックスに常備されていた毛布の端っこにそれを包み。クルクルと巻いてひもで縛る。
よし、これでおしまいっと。
「銃が全部で35丁か、ちょっとした戦争ができそうだ」
銃を梱包した毛布と、ボックスにギチギチに詰め込んだ弾薬。
それに俺にはよくわからんパーツや高級そうな皮手袋、弾薬を携行できるベストなどなど・・・
かなりの数になったな。
今店内に戻れば、ほぼすっからかんになったのがよくわかると思う。
倉庫の方も根こそぎ回収したし。
あ、そういえばハイブリッドの使っていたクソデカ斧も回収した。
武器としては重すぎて微妙だが、他の何かに使えるかもしれんし。
七塚原先輩なら使えるだろうけど、あの八尺棒の方が使い慣れているだろうし。
残念ながら我が南雲流には斧術は存在しないのだ。
・・・槍術なら流用できるかもしれんけど、六帖先輩もいらないだろうしなあ。
困ったら敦さんに伐採用にでもプレゼントしようかな?
「でもアニーさん、エアライフルって空気銃でしょ?それも持っていくんですか?」
エアライフル、総数6丁。
これもいるのかね?
人間相手にもゾンビ相手にも効かなさそうだけども。
「これでも鳥や小動物には十分だし、弾丸が小さいからかなり回収できるからな」
あっ、そういうことか。
俺としたことが、完全に戦闘脳になっていた。
そうね・・・日本において銃は基本的に狩猟に使用するものですもんね。
殺伐としているなあ、今の日常。
「何にでも実弾を使用するのは不経済だ。節約できるところはしっかり節約せねばな」
しっかりしていらっしゃるなあ。
これは・・・
「『いい奥さんになる』か?フフン、やめてくれよイチロー?こんな明るいうちから誘うのは」
・・・考えを読まれたよ、オイ。
そして誘ってはいません、決して。
「『イチャついてないのー!ホラホラ、こんな血生臭い所からとっとと逃げるわよ』」
呆れたような顔のエマさんがアニーさんのケツをぶっ叩いた。
すごくいい音がする。
「んにっ!?『・・・私の黄金のヒップが腫れたらどうしてくれる!?』」
「『ふふ、もう一回りくらい大きくなってもイチローは興奮するんじゃないの?』」
「『・・・一理あるな。コイツは尻派だし』」
・・・なんか2人して悪い顔をしている。
放っておいて撤収準備をするか。
首を突っ込んでもロクなことにならん気がする。
「さーて、帰りは遠回りしてスーパーに寄りますよ~」
運転席に乗り込み、スマホを取り出して地図を起動した。
ごめんよ璃子ちゃん、めちゃカワ散弾銃はなかったよ。
でも、女性用の狩猟ベストとかは回収したから許してくれないか。
・・・後でポテチも探そうか。
いまだに荷台付近でニヤニヤしながら話す2人をミラーで確認しつつ、煙草を口に咥えた。
・・☆・・
我が県においてよく見かけるスーパーマーケット、『オーガマート』
ニッコニコで武器を振り上げるオーガのマスコットでお馴染みの、安くて人気のある店舗だ。
「・・・トゥーダウン。クリア」
その駐車場をウロついていたゾンビ2体は、アニーさんの狙撃によってしめやかに成仏した。
田舎の店舗だけあって、駐車している車もほぼない。
ゾンビ発生の時間は10時前後。
11時開店のこのスーパーには、店員以外の人間はいなかったんだろう。
「さてさて、荷台の残りスペースを埋めてしまおうか」
「ラーメン、ラーメン~♪」
アニーさんに続き、エマさんがスキップしながら歩き出す。
最近はラーメンがマイブームらしい。
いつかは小麦から麺を自作するのが夢だとか。
・・・平和になったらラーメン屋を始めるつもりかもしれない。
「行くぞ、素敵な荷物持ちさん」
「はーい」
兜割を肩に乗せ、後に続く。
見た感じ手付かずのようだし、結構いいものがあるかもな。
「ギイィイイイイ!!」
「っしぃ!!」
突き出した兜割が、ゾンビの喉に突き刺さる。
鋭利な切っ先は、喉を半ば貫通しながら破壊。
ノーマルゾンビは痙攣して動きを止めた。
「お仕事、ご苦労様でーす」
『店長』という名札のかかった初老のノーマルゾンビに声をかける。
店内のゾンビはこれで12体目・・・最後かな?
田舎特有の広い店内をフルに使い、問題なく処理することができた。
なんたってこっちには凄腕の駐留軍兵士(1人は元だが)がいる。
油断もしていないし、今更ノーマルゾンビごときに苦戦はしない。
視界も確保されてるしな。
なお、店内に入ってからのゾンビ戦は俺含め全員近接戦闘だ。
『たまには運動しないとな』というアニーさんはデッカイナイフで。
『ヨラバキール!』とやる気満々なエマさんは大木式スタン警棒で戦っていた。
なんか、いつも銃撃ってるから忘れかけていたけど2人とも接近戦が苦手ってわけじゃない。
エリート兵士だもんな。
「トンコツ~♪トンコツ~♪」
エマさんはニコニコで豚骨ラーメンの入った段ボールを肩に乗せている。
・・・搬入業者みたいになってる。
「フムン、白か。イシカワのヒモノがより美味くなるな」
アニーさんはウキウキでワインを物色している。
生き生きしてるなあ、2人とも。
まあ、それは俺もなんだけども。
今回は日持ちのする乾燥野菜やドライフルーツなんかをまず回収。
もちろん、璃子ちゃんリクエストのポテチも回収。
さすが干菓子、賞味期限は余裕で大丈夫だ。
ここは何度も来るような場所じゃないし、在庫を空にしてやるぞ~!
「雄々しいイチローもいいが、私はそういうキミの方が好ましいよ」
「『子供みたいでかーわいい!キュンキュンしちゃう!』」
よくわからん褒め方をされたが、まあいいか!
楽しいんだからな!
こんな探索なら毎日だって大歓迎だ!




