表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
283/387

36話 平和な海辺と不吉な衝撃のこと

平和な海辺と不吉な衝撃のこと




「ステイステイ・・・オッケー、ゴーッ!!」


「バウ!!」


青空に向かって、掛け声と共にフリスビーが飛ぶ。

それを追って、なーちゃんが砂浜を蹴って走り出す。

いつもの緩んだ表情とは違い、精悍な顔で前を見つめて。


「ナイスキャッチ!!カモン!!!」


疾走したなーちゃんは瞬く間にフリスビーに追いつき、砂を蹴って跳躍。

見事にキャッチして綺麗に着地した。


「オーウ!グッガール!グッガール!!ハハハ!!!」


「バウ!ワウ!」


そして、帰ってきたなーちゃんを体ごと受け止めてその頭をガシガシ撫でているのは・・・そう、ライアンさんである。

鍛え上げた体をラフな格好・・・というか朝霞の兄貴シャツと短パンという簡単な服装だ。

ちなみに胸には『 武 士 道 』と書いてある。

見た瞬間にライアンさんは気に入ったようだ。

うん、そうだと思ったよ。


「オジョーズオジョーズ!!ワンモア?ワンモア?」


「ヘッハッハッハッハ!!」


ライアンさんの問いかけに『もっともっと!!』とでも言うように返すなーちゃん。

その目はキラキラと輝いている。

まさに、目は口程に物を言うってやつだな。


「オッケー!!ステイステイステイ・・・ゴーッ!!」


「ワウゥ!!!」


再びフリスビーが空を舞い、なーちゃんは嬉しそうに走り出した。


「うーん、平和だ」


俺は、それを見ながら砂浜に寝転んで煙草に火を点けた。

さて、今日は何をしようか。




「オハヨウゴザイマス!センセーッ!!」


庭で神崎さんたちが、雨にもかかわらず楽しそうに鹿を捌いているのをぼうっと眺めていると玄関の方からデッカイ声がした。

懐かしい声だなあ・・・

昨日の晩も思ったけど、ライアンさんも元気そうでよかった。


「あらあら、元気なお客さんねえ」


「あ、いいよねえちゃん。俺の前からの知り合いだから出るわ・・・上がってもらってもいい?むっちゃいい人なんだけど」


「いいに決まってるじゃないの!いっくんの友達なら安心だわあ」


俺への信頼度がバグりつつあるねえちゃんを残し、玄関へ向かう。

そして何故か朝霞もついてきた。


「にいちゃん、ガイジンさんと知り合いなんだねえ・・・い、いんくれでぃぶる?」


「・・・インターナショナルかなんかと間違えてんな、お前」


ツッコミながらも玄関へ。

すりガラス越しに、デッカイ体が見えている。

っていうか枠から余裕ではみ出てるな。

・・・石川さんよりデカいもんな、ライアンさん。


ちなみに身近な所での身長差であるが。


俺 < アニーさん < 石川さん < ライアンさん = 七塚原先輩 < オブライエンさん


とまあ、こうなっている。

こうして考えると七塚原先輩本当にデカいな・・・あ、敦さんもおんなじくらいね。

・・・俺ももう少し背が欲しいなあ。

いやまあ、この国の平均身長よりは大分あるけども。


もう一つちなみにではあるが、身近な女性陣はというと。


後藤倫先輩 < 式部さん < 朝霞 < 斑鳩さん < 神崎さん < 巴さん


と、こんな感じだ。

美沙姉は朝霞くらいで、璃子ちゃんや美玖ちゃんは後藤倫パイセンより下って感じ。

元バレー選手だけあって巴さんもデカいからなあ・・・俺とそんなに違いないし。



「今開けまーす」


しょうもないことを考えながら玄関を開ける。


「昨晩ぶりですね、ライアンさん・・・お元気でしたか?」


「ハーイ!ゲンキデス!!センセイモ・・・オカワリ、ナク?」


「おーいえす、あいむふぁいん、てんきゅう」


何故疑問文になるのか、コレガワカラナイ。

そんなに始終大怪我ばっかりしてると思われているんだろうか。

今はちゃんと服を着ているから傷はわからんと思うけども。


「んな、ないすとぅ、みーちゅう?」


俺の後ろから顔を出した朝霞が、おっかなびっくり挨拶している。

おや、いつもよりおとなしいな・・・ああ、ライアンさんいい人だけど厳ついもんなあ。


「オーウ!ベッピンサンデスネ!!」


「せ、せんきゅう!へへへ、にいちゃん!べっぴんさんだって!!」


朝霞は嬉しそうに俺のシャツを引っ張り・・・首が締まる。

やめてくれないか、シャツがべろんべろんになっちゃう。

あと気付いてる?日本語通じてるからねこの人。


「まいねーむいず、あさか!あらかわ!!」


「ワタシハ、ライアンデス!ライアン・ギブソン、イイマス!」


ほへー、ライアンさんの苗字初めて聞いた気がする。

なんかカッコいいな。


「よろしくおねしゃー!うーわ!でっか!手ェでっか!!」


「HAHAHA!!」


・・・目を離した隙にガッチリ握手しとる!!

朝霞はコミュ力のお化けか何か?

やはりギャル・・・特に光のギャルは牙島にて最強・・・!


「朝から元気ねえ~、いっくん、入ってもらいなさい。その人に朝ご飯食べていってもらいましょ」


騒ぎを聞きつけてきたねえちゃんによって、恐縮するライアンさんは居間へ連行された。

彼はダイジョウブ!ダイジョウブデス!!と主張していたがそれは聞き入れられず・・・

気が付いたら干物をモリモリ食っていた。

お箸の使い方が上手だなあ・・・さすが駐留軍、なのか?


結局荒川家の食事はとても口に合ったようだ。

まあ、合わない方がおかしいか。

その結果、ライアンさんは『オイシイ!オイシイ!!』しか喋らなくなった。

ねえちゃんは心から嬉しそうにバンバンおかわりを持ってきてあげていた。


いくらその体でもそんなに入るのか・・・という量の食事を平らげたライアンさん。

食後のお茶が終わるのを待って、今日の訪問の目的を聞いてみた。

すると、彼の口から語られたのは・・・


「なるほど、連絡要員・・・メッセンジャーってことですか」


「ハイ!」


というわけだ。

自衛隊からの連絡要員兼護衛は、神崎さんと式部さん。

駐留軍からはライアンさん・・・ってことね。

よかった、正直駐留軍の皆さんにライアンさん以外で親しい人いないんだよね。

何度か稽古もどきをしたから、向こうは俺の顔くらいは知ってる人もいるかもしれんけど。

なんにせよ、気心の知れた友人が増えたのはありがたいねえ。

・・・本人は『弟子』を自称しているが。


「そういえば、御神楽での英会話教室ってどうなったんですか?」


「オー・・・避難シテキタ人ノ中ニ、小学校ノセンセイ、イマシテ・・・オヤクゴメンデス」


ライアンさんはちょっとションボリしている。

お役御免かあ。

避難民の中に教師がいたのか。

受け入れてるってことは、御神楽の内情も充実してきてるんだろう。

でもエネルギー問題とか・・・あ、ダム経由の電気が使えてるのか。

それはよかったな。


「デモ、子供イッパイ増エマシタ!毎日ミンナゲンキ!ニギヤカ!!」


「そいつはよかった。子供が元気なのは何よりです」


これからの世代が育っていかないと絶滅不可避だもんな。

産めよ増やせよでいいんだ、うん。


・・・あ、そういえば石平先生が面倒見てた妊婦さん、どうなったかなあ。

元気な赤ちゃん産んでくれればいいんだけどなあ。


「そうでありますなあ、最近幼稚園に避難していた集団が合流しましたから。それで一気に小さな子が増えたであります!」


庭にいたはずの式部さんが、いつの間にか俺の横でお茶を啜っている。

えっ・・・鹿の解体・・・そう思って庭に目をやると、ドヤ顔でナイフを掃除しているアニーさんと目が合う。

神崎さんは肉のパーツを細かくしている。

・・・あ、終わってるんだ、早業すごいですね。


でも丁度いいや、聞いとこう。


「式部さん、石平先生ってご存じですか?」


「ああ、産婦人科の先生でありますね?ええ、奥さん共々子供たちに大人気でありますよ」


ダイキ達も元気にやってんのかなあ・・・

まあ、友愛以上の防御力だもん、大丈夫に違いない。

なんたって自衛隊・警察・駐留軍揃い踏みなんだからな。

凄まじい安定感だ。


「それじゃあお聞きしますけど・・・石平先生が診察してた妊婦さんってどうなりました?名前は・・・ちょっと忘れちゃったんですけど」


「ふむ、妊婦さん・・・ああ!ひょっとしてあの方でありますかな?」


しばし考え込んだ式部さんは、ぽんと手を叩いた。


「ちょっと前に出産して、母子ともに健康だと聞いております!」


「おー!そいつはめでたい!!」


そんな状況でよく産まれてくれたもんだ。

電気も薬も満足にないのに、石平先生頑張ったんだなあ。

もちろんあのお母さんも。


「難産だったそうで・・・産気づいてから明け方まで長引いたようですが」


「それは・・・大変ですね」


「オウ、オボエテマス!テツダイマシタ!!」


「そうでありました!聞くところ軍曹殿も大活躍でありましたなあ!」


・・・ライアンさんが!?

嘘でしょこの人もそれ系のスキル持ちなの!?


「オユヲ、バンバンワカシマシタ!ソレニタオルケットノ消毒モ!!チョウド暇、デシタノデ!!」


・・・お湯かあ、納得。

よく時代劇とかで『お湯沸かして!!』ってシーンは見たことあるけど、まさか現代でもそうだとは。

今は状況が状況だからなあ・・・


「ふふぅふ、それにしてもかわいらしい赤ちゃんでありましたなあ・・・元気な4つ子で」


「4つ子ォ!?」


・・・ふわあ。

あの妊婦さん、頑張ったんだなあ・・・すごく。

石平先生たちも大変だっただろう。


「そのうちの1人が出産後すぐに泣かなかったんでありますが・・・石平先生の奥さんがお尻をスパーン!と叩きまして・・・」


「おおう、そりゃ大変だ」


産まれてすぐ泣かないってのは、自発呼吸ができない・・・んだっけ?

そのままだと息ができずに亡くなってしまう。

だからお医者さんがお尻を叩いていたんだよな、昔は。


「『ほら!お願い!!頑張って!!みんなが待ってるのよ!!』って・・・はあ、凄い光景でありました」


「マイサン・・・息子ノコト、思イ出シマシタ。アノ子、小サイ時・・・トテモ体、弱イ、デシタ」


ライアンさんは何かを思い出すように、潤んだ瞳で天井を見上げた。

思い出してるんだろうなあ、家族のこと。

海外は遠いぜ・・・


・・・それにしてもほんと、大変だったんだなあ。


「今は母子ともにすっかり健康であります!その・・・避難民の中には子供を亡くされた方も多くいらっしゃいますので、あまり大っぴらには喜べませんが・・・」


ああ・・・うん。

難しい問題だ、それは。

どっちが正しいとかそういう問題でもないしなあ。


「しかし、子供の成育は国家のこの先にまで影響を及ぼすでありますから」


「ですね、いくらゾンビがいなくなっても子供がいなくちゃ国が滅びますから」


まあ、まずはゾンビをどうこうせんと駄目なんだがな。

ノーマルはともかく、黒・・・それに白黒、さらにネオはヤバい。

俺は1対1ならなんとかなるかもしれんが、白黒とネオはマジでヤバい。

あんなのが増殖したらどうにもならんぞ。

それこそ某ゾンビゲーよろしくクソデカ爆弾で街ごと・・・とかやらんといかん。

それは嫌だなあ。


「高柳運送も友愛もそうですけど、子供が元気だと空気まで平和になりますからね。いいことです」


スクスク大きくなれよ、4つ子ちゃん。

いつかサクラも会わせてやりたいもんだ。

あの子、子供大好きだしな。


「にいちゃん子供にやっさしい!あーし的にポイント高いよ~」


朝霞がお煎餅の詰め合わせをテーブルに置く。

おっと、これは・・・ミチヨさんお手製のものじゃな?

やったぜ。

これ美味いんだよなあ。


「・・・なに言ってんだよ。度を越えた糞餓鬼以外に優しくすんのは当たり前だろう」


子供は幼い。

育ち切った大人と比べるのは流石にかわいそうだろう?

これから大きくなっていくんだから。

え?大人?

・・・健康なら頑張ってなるべく自力で生きていってくれ!!

ご老人はまた別の話。


「・・・シキブサン、ね?えへへ、やばいっしょにいちゃん」


「ふふぅふ。で、ありますなあ・・・やはり一朗太さんは最高でありますよ」


朝霞と式部さんはなにやら見つめ合って煎餅を齧っている。

・・・ほんっとに仲良くなったねキミ達。

あとヤバいってなんだヤバいって。


「ライちゃんも食べてね~どんどん食べてね~」


「ハイ!ママサン!!」


その横ではねえちゃんによってライアンさんが餌付けされている。

・・・いつの間にかあだ名をつけられておる!?

荒川一家、コミュ力高い・・・


「田中野さん田中野さん!今日もおいしい燻製ができそうですよ!」


「おや、見慣れない筋肉がいるな。まあ、チエコさんがOKなら私は何にも言わんが」


神崎さんとアニーさんが庭から戻って来て、ますます賑やかになりそうだ。

俺は、煎餅を齧りながら平和も一緒に噛み締めていた。




・・・というのが今朝の話。

その後に雨が上がり、晴れてきた。

そうしたら庭のなーちゃんがテンションマックスだったので、散歩と洒落こんだのだ。

慣れるまでは時間がかかるけど、基本的に寂しがりで人間大好きだもんなこの子。


今日は任務がないというライアンさんがついて来ようとしたので、『その恰好じゃ不便でしょう』とねえちゃんが服を貸していた。

・・・ピッチピチだけど本人は楽しそうなので良しとする。

ある程度大柄な朝霞の兄貴も、さすがに規格外のライアンさんが相手ではな・・・


そうそう、ちなみにライアンさんを見たなーちゃんは30分くらいで撫でることを許していた。

どうやら彼女は、犬好きを見抜く才能があるらしい。

今では家から持ってきたフリスビーに夢中である。


「おやぁ、私にも1本あるのだろうな?」


乾いた砂に寝転がっていると、アニーさんが顔を覗き込んできた。

無言で煙草の箱を差し出すと、彼女はそこから1本取って咥えたままの俺の煙草で火を点ける。


「ふふ、ゴショーハンにあずかろう」


そのまま、横にゴロンと寝転がった。

うーん、自由人。


「イチローもライアン軍曹にナーチャンを押し付けて、いいご身分だなあ」


「て・・・適材、適材適所です」


煙を吹かして誤魔化す。

いいんだよ・・・代わってくれるって言ったんだから・・・


「しかし、いい男の周りにはいい男が集まるのだなあ。素晴らしい筋肉・・・眼福眼福、というやつだ」


アニーさんはニマニマしながらライアンさんたちを見ている。

俺の周りって筋肉フェチ多いな?


・・・俺がいい男なのは甚だ疑問ではあるが、ライアンさんについてはな。

デカいし、強いし、優しいし、男に必要な要素全部あるじゃん。

ニンニクマシマシヤサイカラメチョモランマ?じゃん。


「だが惜しい。妻子持ちとはなあ・・・残念だが諦めよう。私は家庭持ちにモーションをかけるほど恥知らずな女ではないのでな」


なんか恋が始まる前に終わっていた。

アニーさん・・・素晴らしい倫理観だすばらしい。


不倫なんかする奴の気が知れないね、俺も。

勤めてた会社にもいたなあ、不倫で首になった奴。

家庭持ちの上司と不倫したんだっけ?たしか。

ま、そんな倫理観が死んでるやつと一緒に仕事したくねえし。

・・・俺の部署以外は意外とマトモだったんだよな、うちの会社。

社長がアレなのによくもまあ・・・部下がしっかりしてたんだろうか。


「・・・おやおやぁ?こんな所に独身のいい男がいるじゃあないか」


「あひっやめてくださいあひひ」


脇腹をリズミカルにつついてくるアニーさん。

この突拍子のなさ・・・後藤倫パイセンに通じるものがある!

わかったところでどうにもならんのだがね!


「どうだね、イチロー・・・ここに熟れた体を持て余した美女がフリーなんだが・・・?」


「ちょっ顔が近い近い火傷しちゃう!!」


煙草を咥えたまま寄ってこないで!!

ほっぺに穴が開いちゃう!!


「あああああ~~~~!!!」


家の方から叫び声がする。

朝霞だろう。


「アニーちゃん!!アニーちゃん!!いちゃいちゃすんなし!!ずるいし!!!」


あっという間に声が近付いてくる。

朝霞は足が速いなあ。


「はっはは。何を言うかアサカ・・・キミも混ざればいいだろう?」


「は?何言っt」


「アニーちゃん天才~!!!!」


「あっず!?」


走った勢いのまま朝霞は俺の上へダイブ。

それによって思わず口から飛び出た煙草が首に落ちた。

肉の焼ける臭いがする!!!!!


「あああ!?ごめっ!ごめんねにいちゃあん!!!」


「待て待て待て舌を出すな何をする気だお前馬鹿!!!ステイ!!ハウス!!アサカハウス!!」


「あーし犬じゃないし!!じっとしててよお!ん~~~~~♡」


「ヤメロ!!ヤメローーーーーー!!!!!!」


舐めて消毒とかの発想がもうワンちゃんなんだよ!!!

くそっ・・・離れなさい!!離れ・・・凄い力だ!!!!


「ふふ。退屈しないなあ、ここにいると」


暴れる俺たちを尻目に、アニーさんは体を起こしてニヤニヤと笑っていた。

この野・・・女郎!!!

なにイイ感じの空気作ってんですか1人で!!

救いはないのですか!!!!!


「バウ!!ワゥン!!!」


あ!なーちゃん!!

救いの主よ!!!

この頭がちょっと茹だった朝霞をなんとかしてください!!!


「いっでえ!?」


フリスビーを咥えたまま猛ダッシュしてきたなーちゃんは、嬉しそうに朝霞に飛び掛かった。

・・・もみくちゃにされる相手が増えただけじゃねえか!!

神よてめえ!!!


「センセーイ!!ユアオーケー!?」


「ノオオオオオオオオウ!!エマージェンシーーーーーーー!!!海軍の支援を要求する!!!!!」


走ってくるライアンさんに叫んだ。



―――ちょうど、その瞬間だった。



ずん、と腹に響く衝撃。

俺じゃない。

地面が、揺れた。


これは、地震か!?


「にゃ!にいちゃん地震だし!タカダイに逃げないと!!」


「おう!ライアンさん!!アニーさん!!」


血相を変えて起きる朝霞に続く。

さすが漁師の家系だけあって、津波に対する反応が速い。

なーちゃんもさっきまでのアホ・・・かわいい面はどこへやら。

すぐさま体勢を低くして周囲の状況を探るような仕草をしている。


「アニーさんなにして・・・」


「shut up!!」


ところがアニーさんは反対に地面に伏せ、片耳をぴったりと砂に付けている。

なにをしているんだと聞きたいが、今めっちゃ怒られたから黙っていよう。


「・・・!」


ライアンさんも、片手を耳の後ろにマウントして音を聞いている様子だ。

・・・地震じゃない、のか?

確かに、揺れっていうか衝撃が短かったけど。


「っひゃう!?」


2度目の衝撃。

今度は続けて2つ感じた。

抱き着いてくる朝霞の頭を撫でつつ、俺も静かに音を聞く。


「・・・ッ!!」


3度目の衝撃。

今度はハッキリとわかった。

これは・・・地震の揺れじゃない。

遺憾ながら、この騒動で何度か経験した記憶のあるもの・・・だと思う。


その後、5度まで衝撃はあり・・・そして嘘のように静かになった。

しばらく待っても無音のままだったので、アニーさんが体を起こす。


「・・・アニーさん、今のって」


パンパンと体に付いている砂を落としながら、アニーさんは眉をひそめて吐き捨てた。



「―――爆発の衝撃だ。地下の・・・坑道で何かあったらしい」



俺は、平和がぐっと遠のいた気配を感じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 秋津さん私自身の経験で言うのですが! 一度家庭教育された人間の再教育は不可能ですよ? 戦後教育された者の除染は無理でした!朝鮮人の 子供は朝鮮人に育てられると朝鮮人ですよ? 家庭教育とは洗脳…
[一言] 私は基本左翼の言う事鵜呑みにしないので犯罪者は 後天的に作られると言う考えは賛成できないよ! 犯罪者のDNAは有ると思ってるよ、サイコパスは 先天的資質と思ってるよ? 凶暴な性質のDNAは有…
[一言] いかん!女性の順位胸部装甲の薄い順と思った! 後藤倫さんにバレるとどっかの骨が殺られるよな? トップが璃子ちゃんじゃないのが味噌だな!とうとう 倫先輩中学生の璃子ちゃんに負けたかと成長期怖い…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ