106話 接敵開始のこと
接敵開始のこと
「ギャバアアアアアアア!!!」「ウウウウウ!!!ウウウウウウウウウ!!!」「ゴオオオオオオオオアアアア!!!!」
「電撃は!?」「バッテリリロード・・・完了!」「よし!一斉射後交代っ!!」
銃声、怒号、悲鳴。
俺の眼前では、それらがないまぜになって繰り広げられている。
コミュニティセンターの地下へ続く地下通路を歩き、地下3階へ到達した俺たち。
そこで待っていたのは、ゾンビの波状攻撃めいた現実だった。
現在位置は地下1階だが・・・地下通路以外で生きた人間の姿は見ていない。
ゾンビまみれだ。
まるで津波のように、上階への階段付近からワラワラと湧くように突っ込んでくる。
ゾンビを片付けるためには撃たなければならない。
その音で新たなゾンビが釣られ、次々と接敵する。
ううむ、無間地獄かな?
「そんな顔をしなくても、いずれ出番はありますよ?」
どう勘違いしたのか、神崎さんが慰めてくる。
いやあの、別に戦えないから黙り込んでたわけじゃないんですけども・・・
とんだ戦闘狂だとでも思われているのやもしれん。
・・・そういうのは師匠とかにお任せしておきたい。
「暇」
ここにもいたよ、後藤倫先輩という戦闘狂が。
「わしらぁが手を出しつりゃあ、かえって邪魔になるけえな」
「そんなこと言ってさっき抜け駆けした癖に・・・」
「ぬ、じゃが白黒相手じゃったけえ・・・」
「次は私ね、ななっち」
「むう」
何の相談だ、何の。
先輩方が異次元過ぎる。
「どうせこの先嫌でも戦うことになりますよ。まだ信者が影も形もないですしね」
さっきからゾンビまみれだしな。
前もって信者の姿は確認されていたから、いつかは出てくるに違いない。
なにせ、ここは敵の本拠地なのだから。
「撃ち方やめっ!」「残敵、ナシ!」
見れば、階段から降りて来ていたゾンビの群れは掃討されている。
ううむ、電撃シールドのこうかはばつぐんだ!って感じ。
ノーマルゾンビなら即死、白黒でも大ダメージだ。
「前列!バッテリーの残数を確認しておけ!後列!接敵に備えろ!・・・前進っ!!」
古保利さんはキビキビと指示を出し、こちらへ向かって歩いてくる。
普段の様子とは違って迫力満点だあ・・・こうして見るとさすがに一角の指揮官って感じだなあ。
「うーん、予想してたよりゾンビが多いね。最後まで盾が使えるか微妙だなあ」
いつもの様子で話しかけてくるから混乱しちゃうなあ。
「そうなんですか?」
「うん、っていうか・・・たぶん『総数』は変わってないと思うんだよね」
「・・・信者からゾンビに変わった奴が多い、ってことです?」
「そういうこと。内ゲバか、それとも何らかのアクシデントか・・・内情はわかんないけどねえ」
古保利さんと会話しているうちに、先頭の隊員たちはゾンビにトドメを刺しながら階段を上り始めた。
あそこを上がれば、地上1階。
やっと地下から出られるなあ。
「1階からは手筈通りだけど・・・本当にいいのかい?何人かつけようか?」
「いや、それには及びませんよ・・・俺たちだけの方が動きやすいし、そっちが暴れてくれればより一層進みやすくなりますしね」
コミュニティセンターは、地上1階から階段が2つになる。
古保利さんたちは大きい方の階段。
俺たちは小さい方の階段を使って二手に分かれることになっているのだ。
このままついて行くよりそっちの方がいい。
小さい方では隊員たちも身動きが難しいだろうし。
それに、この布陣なら片方が全滅してもどちらかが辿り着ければいい・・・あいだだだ!?
・・・神崎さん、なんで抓るのさ。
わかったよ、わかりましたあいいいいいいい!?
後藤倫先輩まで!?
「ま、南雲流に心配は無用か・・・ところで、神崎二等陸曹」
「ハッ!」
古保利さんが、神崎さんを鋭く見つめて問いかけた。
花田さんにするように、彼女は瞬時に敬礼の体勢。
「・・・いいんだね?キミはそちらで」
「はいっ!相棒ですから!!」
神崎さんは、真っ直ぐ古保利さんを見返している。
「・・・そっかあ、いいねえ若くって・・・はは、ご馳走様ご馳走様」
顔をほころばせ、頭をかきかき隊員を追う古保利さん。
「では南雲流の皆さん、12階で会おう・・・先を越されても恨まないでよ」
そう言って、古保利さんは先頭集団に合流していった。
さてと、俺たちも腰を据えてかからなきゃな。
階段を上がった先・・・1階のエントランスはがらんとしている。
ゾンビも、人間もいない。
「カラフル」
後藤倫先輩の言う通り、生きている奴はいなかったが・・・カラフルである。
そこら中に落ちている人間のパーツ。
床や壁に飛び散った赤黒い液体。
開けた空間だというのに、空間全体がムッとするような血の臭いで満たされている。
「ここにいた奴らがさっきまで地下に攻めてきてたのか・・・?」
「わけがわからんのう、どがいなっとるんじゃ」
八尺棒を担ぐ七塚原先輩は、油断なく周囲を警戒している。
「外の部隊は、まだこっちへ来ていないようですね」
神崎さんの言う通り、割れた玄関の大きなガラス戸の向こうから銃声が絶え間なく聞こえてくる。
・・・銃撃戦、だな。
下にいた人間はあちらへ行っているのだろうか。
ライアンさんも元気だといいなあ。
・・・ま、あの鉄板アーマーはよほどのことがなけりゃ大丈夫だとは思うけども。
「えーと地図地図・・・あったあった」
血が飛び散ってカラフルになった壁に、地図を見つける。
「今更だけど、マジで12階にいんのかな・・・教主サマ」
「いるに決まってる、馬鹿と煙は高い所が大好き」
身もふたもない後藤倫先輩である。
いやまあ、俺もそう思うけどさ・・・
「途中で見つけたら、そこでぶち殺しゃあええじゃろうが」
・・・そうなんですけどねえ。
このまま10階までは、大体同じような間取りが続く。
小規模な会議室と、大き目の空間。
「5階、10階、それに12階・・・ですね。怪しい場所は」
神崎さんが地図を見ながら呟く。
その該当階には、それぞれ開けた空間がある。
5階は、『レクリエーションホール』という名前の・・・映画や舞台なんかを上演したりする場所が。
10階は、『大会議場』・・・サミットやなんかで全体会議に使われる場所が。
そして12階には・・・『展望会議場』という、階丸ごとが会議場になっている場所がある。
確かに、ああいう手合いが本拠地にしそうな広い空間である。
まさか教主サマともあろうお山の大将が、そこら辺の小会議室にふんぞり返っていることはあるまい。
形式やら格式を重視しそうな奴らほど、そういう場所に陣取るはずだ。
「ま、とりあえず行きましょうか・・・目下の目標は5階ですかね」
もう既に古保利さんたちは大階段へと消えていった。
俺たちも遊んでいるわけにはいかない。
とっとと動こう。
発電機のお陰か、電気は来ているようだがエレベーターは使えない。
『今から行きますよー』なんて言ってるようなもんだ。
扉が開いた瞬間に蜂の巣になっちまう。
「先ほどのゾンビが最初の守りなら・・・これからも油断はできませんね」
そう言って、神崎さんが俺たちの後方へ動く。
先頭は七塚原先輩、その後ろに俺と後藤倫先輩が横並びの体勢だ。
神崎さんは、俺の後ろ。
この陣形を臨機応変に変更するのが一番楽だ。
迫る小階段を見ながら、俺はまず拳銃を引き抜いた。
2階、3階、そして4階。
索敵をしながら階段を進んだが、今の所何の気配もない。
俺たちと、そして遠くの大階段から聞こえる古保利さんたちの足音以外は無音である。
ゾンビの声すら聞こえない。
まるでがらんどうだ。
・・・一体どうなってるんだ。
地下での様子から、地上階は敵まみれだと思っていたのに・・・
・・・いや、そうか。
「待ち伏せ、じゃのう」
「戦力の逐次投入は下策・・・ってわけですね」
5階へつながる階段。
そこから、人の気配が漂ってくる。
「ここで映画見たなあ、小学校の時に・・・」
なんか地雷で吹き飛ぶ犬の悲しいアニメだった気がする。
人が死ぬより悲しかったなあ。
俺たちの階段は、そのブロックの真後ろに。
古保利さんたちの大階段は、真正面に出る。
恐らく、向こうもそれに気づいているだろう。
「~~~!!~~~!!!!」
銃声と、何かがぶつかり合う音が聞こえた。
それと同時に、俺たちは階段を駆け上がった。
5階へ出ると、案の定大階段の方から喧騒が聞こえてくる。
これは・・・ゾンビ、か?
いや、どういうわけか消音されていない銃声も聞こえた!
「散弾銃の音です!」
神崎さんのお墨付き・・・ってことは。
ゾンビと信者の混成部隊か!!
からくりはわからんが・・・とにかく行くしかない!
「・・・来る!」
後藤倫先輩が、ホールの裏口に向かって走る。
一体何を・・・!?
「っせぇえい!」
踏み切った勢いを残らず乗せた跳び蹴りが、裏口ドアの中心を正確に射貫いて・・・ドアごと奥へ吹き飛ばす。
先輩は、蹴った勢いで空中でトンボを切ってまたこちらへ戻る。
相変わらず、雑技団みたいな動きだな・・・
「撃ちます!」
間髪入れずに、俺の後ろから銃声。
「いぎ!?」「っか!?」「あああ!?」
神崎さんは、ドアの後ろに控えて武器を構えていた連中を掃射でなぎ倒した。
・・・行動が早すぎるな、こいつら。
「・・・監視カメラ、生きてるのか!!」
廊下の隅を見上げると、微かに首を動かす監視カメラが見えた。
そのレンズの下には、赤く点灯するランプ。
・・・畜生、盲点だった!
「初めから丸見えだったってのかよ・・・!」
どうりで展開が早いはずだ。
電気が通っていなかった地下通路はともかく、地上1階からは確認されていたってことか。
「田中野ォ!来るぞ!!前ェ!!」
半ば無意識に、拳銃の引き金を引く。
今まさにライフルっぽいものをこちらに向けようとした黒ローブが、もんどりうって倒れる。
・・・今考えても仕方ないか。
全員ぶち殺せば済むことだ!!
「大木スペシャル・・・行きますっ!!」
神崎さんの掃射と俺の銃撃で、後続との隙間が空いた。
奥からは顔面に笑みを張り付けたような気持ち悪い信者集団が走ってくる。
前列が死んだというのに、全くこたえていないようだ。
ポケットから出した大木くん特製爆弾のスイッチを押し、電子音が聞こえた瞬間に投げ込む。
俺たちは即座にドアの前から横に飛び退き、爆風と金属片に当たらないようにする。
どずん、という爆音と同時に、何かが壁にドカドカと突き刺さる音。
それに、悲鳴。
「もいっちょ!」
再度新しい爆弾を起動させ、ドアから放り込む。
再びの爆音と悲鳴。
「撃ちます!!」
後ろにいた神崎さんが、低く転がりながらドアの前に。
ライフルが、猛然と火を噴く。
「・・・リロード!残敵多数!!」
1マガジンを撃ち切った神崎さんの前に躍り出る。
体中に金属片を喰らった死体の山が見える。
が、それを押しのけ・・・後続の黒ローブたちが前に出てくる。
張り付けた顔の笑みは、そのままに。
「狂信者、ってやつか・・・!」
仲間がバタバタ死んでいるのになんとも思ってない顔だ。
流石は本拠地。
筋金入りの〇チガイが揃っているらしいな!
「兄弟たちよ!哀れな魂に救済を!!」
先頭がそう言い放つと、後続も唱和する。
「救済を!」「救済を!」「救済を!」
手に手に様々な武器を持ち、奴らは笑いながら突っ込んでくる。
「・・・上等じゃあああああああああああああああっ!!!!」
あ、先輩がキレた。
八尺棒の真ん中を持ち、それを高速で回転させながら・・・まずは七塚原先輩が突撃した。
それに続いて、無言の後藤倫先輩が低い姿勢で疾駆。
出遅れた!
「銃持ちはお任せを!」
「合点!!」
遅れること一瞬。
神崎さんの声を聞きながら、刀を抜いて俺も突っ込む。
ホールの中はがらんどうで、信者たちがひしめくばかり。
チラリと見た正面入り口では、盾を構えた隊員の姿が見える。
先輩たちは思い思いの方向へ突撃、早速戦闘が始まった。
「祝福を受け入れよ!無辜の子らよ!!」
俺の正面の黒ローブが、大鎌を高く振り上げて突っ込んできた。
下半身のブレが少ない。
武道経験者か。
「―――南雲流」
振り下ろされる大鎌の刃に、そっと峰を這わせて軌道をずらす。
「―――田中野一朗太」
ずらした軌道に、刀が割って入る。
大鎌の刃は俺の肩を掠め。
「―――参る」
「ぇぱっ!?」
刀は、黒ローブの顔面を真っ直ぐ斬り裂いた。
南雲流剣術、奥伝ノ四『天面合撃』
弛緩するそいつの腹を蹴飛ばし、後続へぶつける。
精神的には動揺はしないだろうが、物理的な衝撃は無理だろう。
蹴りつけると同時に地に沈み、床を蹴って低く飛ぶ。
仲間の死体で目隠しをされた奴らの、その足元を薙ぐ。
「ふうぅ・・・!!」
3人の足首を深々と切り裂き、刃が抜ける。
体重を支え切れず、跪くそいつらの・・・下りてきた腹。
横回転でさらに加速した剣先は、容易くローブごとそれを切り裂いた。
南雲流剣術、『ニ連草薙』
腹を押さえて悲鳴を上げるそいつらに見切りをつけ、俺に迫りつつある一団を見る。
塗れた刀を血振りし、肩に担ぐ。
さて、次はあいつらか―――!?
「ぬんっ!!」
倒れながらも俺の足を掴もうと伸ばされた手首を斬る。
返す刀で、それをやった黒ローブの延髄を切り裂いた。
・・・たまげたぜ、大した根性だ。
これは、油断すると文字通り足を掬われるな。
「あそこだ!あそこにもいるぞ!!」
「救いを!救済を!!」
「我らの手で!我らの御業で!!」
周囲から次々と声が上がる。
俺たちを囲う黒ローブたちが、口々に叫んでいる。
「・・・胸糞悪い」
思わず口から声が漏れた。
体中に、力が漲っている。
「・・・胸糞悪ぃなあ、おい」
脳裏に、情景が浮かぶ。
ふれあいセンターの、体育館。
そしてその2階。
死んでいった、いい人たち。
そして・・・そして・・・
あの、俺に向かって突き出された小さな、手。
涙の残った、あの死に顔。
最期まで弟を庇っていた、あの・・・小さな、小さな女の子。
体内に満ちたガソリンに、火が点いたような感覚。
一瞬で、体温が跳ね上がった。
「救いを!救いを今この手d」
身に沁みついた動きが、一瞬で新手の喉を切り裂いた。
そのまま、後続に向けて手裏剣を飛ばす。
空気を切り裂く棒手裏剣が、時間差で2人の黒ローブの喉を貫く。
「うぐ・・・」
俺の喉から、俺以外の声が出たような感覚。
「ぐ、ぐぐ・・・」
抑えきれない怒りが、喉を通じて漏れ出しているようだ。
ああ、そうか。
「が、ああ・・・ああ、あああああ・・・」
いいんだよなあ、抑えなくて。
我慢、しなくてさ。
「があああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!」
獣じみた咆哮を放ちながら、俺は黒ローブの群れに突っ込んだ。
こいつらに言いたいことは山ほどある。
あるが、言葉にならん。
キレすぎて脳がパンクしそうだ。
だから。
だから。
「がああああああっ!!!」
恨みも、怒りも全て。
この刀に乗せてやる。
「あの子たちの感じた恐怖も、苦悩も、絶望も・・・・上乗せして、片っ端からてめえらに返してやらあ!!!」
迫る槍の横薙ぎを躱し、両目を切り裂く。
悲鳴を上げるそいつの股間を蹴り上げ、間髪入れずに腹を蹴り抜く。
吹き飛ばされるそいつに合わせて踏み込み、後ろで斧を振り上げようとしている黒ローブの顔面に手裏剣。
口内に飛び込んだ手裏剣に目を丸くするそいつの、喉を掠めるように突く。
笛めいた音を上げ、吹き出る鮮血。
ほぼ即死だな。
「祝福をおおおお!?おおお!?」
世迷言をほざく黒ローブに、肩から体当たり。
肋骨が折れる感触を感じつつ、吹き飛んだその腹に突き。
捻って引き抜く。
「哀れな者よ!座して祝福を受け入れるがいい!!」
大上段に刀を構え、大柄な黒ローブが走ってくる。
俺も、それに合わせて走る。
「ぬう・・・がああああああああっ!!!」
「受け入れぎょ!?」
お互いの速度がカウンターとなり、横に倒して突き出した剣先がいとも容易くその胸を貫いた。
奴の刀は、瞬時に踏み込んだ俺の肩で上で止まっている。
引かなければ、斬れない。
南雲流剣術、奥伝ノ二『瞬』
血の尾を引きながら、刀を引き抜く。
どうと倒れ伏すそいつの背後に、まだまだ元気そうな黒ローブたち。
血振りもそこそこに、さらに踏み込む。
「ふううう!!!」
逆手で脇差を引き抜き、走りながら放る。
空中で回転する、その柄尻を刀の柄で弾いて飛ばす。
「ぃぐ!?」
ライトの光を纏って飛翔する脇差が、黒ローブの腹に深く突き刺さった。
南雲流剣術、奥伝ノ一『飛燕・春雷』
動揺を見せない残りの黒ローブに走り込みつつ、狙いを付けた1匹を大上段から唐竹割り。
声も出せずに崩れ落ちる仲間を気にもせず、横の1匹がマチェットで俺を斬ろうとしている。
「があああっ!!!」
斬り上げの軌道でその握り手の指を斬り落とし、軌道を強引に捻じ曲げて刀を戻しながら腹を切り裂く。
「救いを!救いを!!」
「おおおっ!!!!」
戯言を垂れ流す新手が、逆手に持った長いナイフを振り下ろしてくる。
避ける暇は、ない!
避ける、つもりも・・・ない!!!
ヘッドスライディングめいた低さで足元に飛び込みつつ、その足首を薙ぐ。
残らず力を凝縮させた一撃は、その左足首を九割がた切断した。
「いぃいぎ!?」
ぶちぶちと音を立てながら落下したそいつの背後から、立ち上がりつつ後ろも見ずに刀を突き出す。
「あがっ!?」
「まだだ・・・まだまだぁ・・・!!」
心臓を貫いた感触を感じながら、俺はまだまだ残る新手の方へ足を踏み出した。
「来い!!かかって来い!!来いやああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
疲れは、ない。
苦しさも、ない。
ただ、体の中を荒れ狂う怒りだけがあった。




