64話 リハビリ探索のこと
リハビリ探索のこと
「ここでいいのか?」
「あーそうですそうです!そこ、ビス止めして下さーい・・・オッケイ!」
ふいー・・・こんなもんかな。
だいぶ立派な・・・いや、大分攻撃的な門ができたぞ。
昨日農家で回収した電気柵を、門に移植する作業もこれで完成だ。
正門裏門ともに鉄製だったので、そのままくっつければよかったのが幸いしたぞ。
それにしても・・・ここが堀に囲まれた立地っていうのがいいよな。
門さえなんとかすりゃ、ノーマルゾンビと襲撃者に対処できるし。
黒ゾンビには・・・効くといいなあ。
「おじちゃん、どうぞー」
「おー、ありがとうね」
葵ちゃんがスポドリを持ってきてくれた。
いい子であるなあ。
「おにいちゃんも、はーい」
「わあ、ありがとう!優しいねえ」
大木くんもニコニコしている。
邪気のない子供には優しいんだよなあ。
まあそれは俺もなんだが。
適当に腰を下ろして休憩する。
汗をかいた体にスポドリが沁み込む・・・
在庫は大量にあるし、長持ちするからペットボトルは便利だな。
空いた後も入れ物にできるし。
「・・・ぷっは、これで門は大丈夫ですねぇ」
「堀はどうする?」
「アレは電極を突っ込んどけばいいんで・・・一瞬で終わりますよ。昨日回収した車用のバッテリーを電源に使いますし」
ほうほう、やたら廃車からバッテリーを回収してたのはそういうことだったのか。
「ちなみに、同じことを川とかですると魚むっちゃ取れますよ」
「・・・確かそれ違法なんじゃ?」
「河川監視員がいればそうですけど・・・ねえ?」
大木くんは不敵な笑みを浮かべている。
・・・ゾンビゾンビでそれどころではないしなあ。
まあ、それに関しては釣りが好きなんで今は考えないことにする。
いつか魚が釣れなくなったら試してみようかしら。
「さかなつりー?」
横でサクラを抱っこしている葵ちゃんが聞いてきた。
「ああ・・・ここ最近行ってないなあ・・・葵ちゃんお魚好き?」
「すきー!」
「ひゃおん!」
サクラも揃って返事をした。
お前もそうだったなあ。
ううむ、栄養のこともあるし・・・今度釣りに行くかな。
「そういえば大木くん、俺の家はいいとして・・・キミの拠点、長い事空けてて大丈夫なの?」
結構長く滞在してくれるっぽいし。
俺の家と違って、変なのに目を付けられるくらい立派だしな。
「あー、大丈夫ですよ。ちゃんと防犯装置作動させてますし」
防犯装置・・・?
普通なら警察なり警備会社が機能してるからいいけど、この現状じゃあ・・・
「具体的に言うと、手順を踏まずに侵入すると古本屋自体が吹き飛びます」
・・・防犯っていうか自爆装置じゃん。
「ふふん、本当に大事なものは地下ブロックに避難させてますし痛くもかゆくもありませんね。地下への入り口も本屋から離れた所にありますから」
今明かされる驚愕の事実。
「・・・大木くんの勤務先って、古本屋で偽装した地球防衛軍か何か?」
「いたって普通の古本屋ですよ、ええ。死んだ店長が秘密基地マニアだったんで作ったそうです」
普通・・・普通ってなんだ・・・うごごご。
とりあえず、今度遊びに行ったら見せてもらおう。
底が知れない人間だなあ、大木くんは。
敵対したら大変だな、する気もないけど。
そんなこんなで完成した門を眺めていると、軽トラのエンジン音が聞こえてきた。
お、七塚原先輩たちが帰ってきたかな。
「おう、立派になったもんじゃのう」
「世紀末感が凄い」
駐車場に車を停めた七塚原先輩と後藤倫先輩が門を眺めている。
以前言っていた鶏小屋の材料を集めに行ってくれていたのだ。
巴さんもついて行きたがっていたが、危険なのでとお留守番を任されていた。
当の巴さんは子供たちと畑仕事をしている。
「大森、ちょっとスイッチ入れてみて。田中で試すから」
「やめてください死んでしまいます」
スナック感覚で俺を実験台にするなよ。
アニメみたいに骨が透けてアフロになるだけじゃねえんだぞ。
「昼飯にゃあまだ時間があるけぇ、小屋を軽く組み始めようかのう」
「あ、俺も手伝いますよ先輩」
「むーさん!私も手伝いますから!」
・・・いつからいたんですか巴さん。
七塚原先輩限定で嗅覚が鋭いなあ。
「えーい!にゅぐ!?む、むーさぁん・・・」
「あああ、そがぁにトンカチを振り上げるけぇじゃ・・・大丈夫か?」
思いっきり親指をぶっ叩いた巴さんが悲鳴を上げている。
大丈夫だろうか・・・と思ったが、先輩に指を口に含まれて恍惚の表情である。
あの夫婦はもう・・・こんなに日も高いうちから・・・
「ともねーちゃん、だいじょぶかな?」
「大丈夫大丈夫、ほらー、手元を見ないとイタイイタイだぞー」
「はーい、いちろーせんせー」
心配そうにしている子供に声をかける。
教育に悪いから見ちゃいけません!
この子は・・・たしかカイトくんとか言ったな。
剣術道場(仮)の門弟だからか、俺のことを先生と呼ぶ。
ライアンさんを思い出すな・・・背中が痒くなってくるぜ。
まだまだ弟子なんて取れない身分だもん。
仮免合格だし。
・・・夢の中での話だが。
「おっきいね~」
「ああ、広いおうちに住んでもらって、いっぱい卵を産んでもらおうな」
小屋は土台の段階で結構大き目だ。
神崎さんの話では、だいたい20匹くらいは貰えるっぽいのでそれに合わせた大きさである。
随分と大規模な牧場を見つけたんだなあ。
「うん!ぼく、たまごすきー!せんせいは?」
「大好き大好き、茹で卵からオムレツまでなんでもな」
「てんしんはん、すき!」
天津飯・・・渋いな。
いや俺も大好きだが。
あのタレは・・・問題なく作れるから大丈夫そうだ。
卵最高・・・これで飯の幅がぐっと広がるな。
勿論栄養もあるし、いいことづくめだ。
子供たちも俺たちも、卵アレルギーが1人もいなかったのも幸いである。
食べられない子がいるとかわいそうだからな。
「みんなーっ!ごはんですよ~!」
倉庫の方から璃子ちゃんの声が聞こえる。
むむ、もうそんな時間か。
「いこ!せんせー!」
「ういうい、今日の昼飯はなんだろうな~。ほれほれ、みんないくぞ~」
「はーい!」「おなかすいたあ」「いちろーおじちゃん、むーおじちゃんたちはあ?」
「・・・ちょっと二人きりにしてあげようねえ~」
何やらいちゃついている夫婦を置いて、俺たちは昼食を食べに移動した。
あの夫婦は見ているだけでお腹がいっぱいになるなあ。
仲良きことは美しきかな・・・ただし糖分過多である。
「じゃあ、小屋ができ次第受け取りに行くって連絡しておいてもらえますか?」
昼食の五目御飯を食べながら、神崎さんに言う。
「はも・・・んんっ。はい、わかりました」
ちゃんと口の中のものを飲み込み、神崎さんが答えた。
育ちがいいのが一目でわかる所作。
あのお祖父さんも、そういうのには五月蠅そうだしなあ。
「えーと、小屋の他には・・・何がいるんでしたっけか」
ニワトリなんて飼ったことないからビジョンが浮かばんぞ。
「特にはいらんな。小屋の周囲に柵を立てて脱走できんようにするけぇ、砂浴び用の砂くらいかのう」
ウチの小屋は、畑の横にある空間に作る。
広めの鳥小屋を置き、日中には日向ぼっこや散歩ができるようにスペースも確保している。
将来増えた時用に、余裕をもってかなり広めの空間だ。
庭付き一戸建てである・・・いや、集合住宅か?
「餌は・・・鳥用ならなんでもいいんでしたっけ?」
「おう、植物でも野菜でも食う。まあ野菜は今ないけぇ、鳥用の飼料やらペットフードがありゃあええな」
ふむふむ・・・大分安上がりな生き物だなあ。
とにかくニワトリ用の餌は在庫にない。
どこかで調達してこなければな。
「ふーむ、じゃあ先輩方は小屋の作成をお願いします。俺は餌を調達してきますよ」
「もう体はええんか?」
先輩は心配そうに聞いてくるが、これ以上は鈍って仕方がない。
「左掌の傷も塞がりましたし、頭の傷もそうです。動きも問題ないですよ」
「嘘でしょ・・・嘘だと言ってよタナーニィ・・・」
大木くんが驚愕している。
人を悲しいビデオレター送る軍人みたいな名前で呼ばないでいただきたい。
「神崎さん、すいませんけど昼から・・・」
「私もご一緒しますからね!」
「・・・そうお願いしようとしていたんですが」
「いい心がけです!とても!大変よくできました!!」
なんかすっごく褒められた。
照れるぜ。
「サクラのご飯も追加で探してくるからな~?」
「わふん!ももふ!!」
『ごはん』に反応したのか、サクラは嬉しそうに顔を上げてドッグフードを四方八方にばらまいた。
ありゃりゃ・・・犬には頬袋がないもんなあ。
話しかけるタイミングを間違えてしまった。
「僕は留守番しときますね。噂の黒ゾンビでも出たら即死しちゃいそうですし」
確かに、電気が黒ゾンビに効くか未知数だしな。
それに、大木くんは御神楽高校に一緒に行ってもらわないといけないし。
ここで大怪我でもされたら目も当てられない。
「甘味があったらよろ」
「先輩、ペットショップに甘味はないと思いますが」
「何故簡単にあきらめる、田中はそういう所が駄目。禿げる」
髪の話はやめろォ!!
ただでさえ色々怪我して剃られてるんだからさあ!!
・・・生えるよな?俺の髪の毛・・・
「お、おじさんは禿げてもカッコいいから大丈夫だよ!」
「だいじょぶ!」
璃子ちゃん、そして子供たちよ・・・何故禿げることを前提で話すんだい?
優しさとは時に刃であるなあ。
ま、そうと決まればさっそく準備だ。
リハビリ程度の探索とはいえ、完全武装で挑むぞ。
「こうして神崎さんと探索に行くのも、なんか久しぶりですねえ」
久方ぶりのハンドルを握る。
過ぎ去っていく街並みの風景は、いつものごとく無人である。
「そうですね!そうですね!!」
・・・ここ最近はずっと高柳運送にいたからか、神崎さんも探索にテンションが上がっているようだ。
アウトドア派なんだろうな。
「えーと・・・この道の・・・こっちか」
地図アプリを眺めながら車を走らせる。
普段なら運転中のスマホはおまわりさんに怒られるが、今は大丈夫だ。
ここは硲谷地区。
以前に寄った璃子ちゃん宅の近くにあるペットショップを目指している。
・・・あれ?
そう言えば鶏の飼料って、農協とかでも取り扱ってなかったか!?
うわ・・・恥ずかしい、今の今まで完全に忘れていた。
「どうしましたか?」
「えっ?あっ・・・いや、絶好のドライブ日和だなあって」
「・・・曇っていますが?」
「スズシクテイイナー・・・」
「?」
黙っておこう。
ここでアホを露呈させても何もいいことはない。
きっとそう。
・・・帰りに農協寄るか。
物資はいくらあっても困らんしな。
それから走ることしばし。
俺たちはお目当てのペットショップに着いた。
『ペットのセニョール』と書かれた看板には、満面の笑みを浮かべる犬っぽい何かがメキシコっぽい帽子をかぶっている。
・・・マスコットなのかな、あれ。
周囲にはゾンビの気配や鳴き声はない。
加えてビルや住宅の上にも、狙撃兵が潜んでいる様子もない。
流石にクリアリングはキッチリしておかないとな。
もう撃たれるのはごめんだし。
「さあて、張り切って行きましょウ!?!?!?!?!?」
歩き出した俺の鼻に、風に乗って異臭が届く。
・・・生き物が腐った臭いだ、これは。
方向からして、店内から漂ってくる。
今までは幸運にも遭遇しなかったが・・・どうやらその運もこれまでらしい。
懐からバンダナを取り出し、きつく顔を覆う。
神崎さんも顔をゆがめながら同じようにしている。
「・・・行きますか」
「・・・ええ」
俺たちは、待ち受けるものを想像しながらゆっくりと店内に踏み込んだ。
あ、せめてもの抵抗でドアは全開にしておこう。
踏み込んだ店内は、全く荒らされていなかった。
そりゃそうだ。
こんな状況でペットを維持している人が多いとも思えないし、食料としてペットフードに目を付ける人間も『まだ』少ないだろう。
これからどんどん食料が枯渇してくればわからないがな。
店内に入ったことで、一層強くなる悪臭に耐えながら物色する。
2人で一台ずつ押しているカートに、まずは犬用の餌をありったけ詰め込む。
以前自衛隊の人からもらったフィラリアだかの薬も、まだ在庫はあるがいくらあっても困らん。
「うひゃあ、犬用高級缶詰・・・うまそう」
最高級和牛仕様!だってよ。
俺よりいいもん食ってんな、ワンちゃんたち・・・
値段も慣れ親しんだ鯖缶より何倍も高い。
「醤油たらせばいけるかな・・・」
「駄目です田中野さん!気をしっかり持ってください!!」
「でも・・・でも牛肉ですよ神崎さん!?」
「どうどう!どうどうです!」
俺は馬か。
・・・いかんいかん、肉への渇望がデカすぎて我を忘れそうになってしまった。
まだまだ缶詰はあるというのに・・・
でも何があるかわからんので確保しておこうそうしよう。
「田中野さんったら・・・もう」
・・・なにかかわいそうな生き物でも見るような視線を感じる。
田中野わかんない!
サクラ用(もしくは俺用)の餌を軽トラの荷台に何回か往復して積み込み、次は鳥用のコーナーだ。
鳥用のコーナーなんだが・・・
「あそこ、ですね・・・」
「あの、アレでしたら神崎さんはここで待っててm」
「怒りますよ?」
・・・もう半分くらい怒ってない?
目指す鳥用のコーナーは・・・その、なんだ。
犬猫のケージのあるエリアに存在するのだ。
いつもならかわいいワンちゃん猫ちゃんで大賑わいのコーナーであるが、今は何の物音もしない。
っていうかうっすら見えている。
成れの果てが。
・・・正直行きたくないが、ここでこうしていても生き返るわけじゃない。
なんでだろうなあ・・・人間の死体よりもキツイ気がする。
行きたくない気持ちを飲み込み、俺は歩き出した。
「おおう・・・うっぷ」
なんともいえない悪臭が立ち込める。
目の前にはざっと並んだケージと・・・その中に見える腐敗した犬猫。
前のペットショップは店員が逃がしていたが・・・ここではそんな暇はなかったようだ。
「南無阿弥陀仏・・・成仏しろよ、生まれ変わったら今度はいい人の所で可愛がってもらうんだぞ・・・」
軽く手を合わせ、物色を開始する。
インコやオウムの死体が入ったケージの近くに、雑然と鳥用の餌が置かれている。
正直どれがいいかわからんので、目につくものを片っ端から持っていこう。
元は可愛かったのであろう鳥たちの死体にも手を合わせ、なるべく口呼吸を意識して動く。
「ゾンビの死体よりショッキングに感じますね・・・」
「まあ、言いたいことはわかります・・・何故でしょうか」
なんでだろうなあ・・・俺にもわからん。
とにかくとっとと退散しよう。
このままじゃ服に臭いが沁みついてしまう。
帰ったらしっかり洗濯しよっと・・・
あと風呂にも入りたい・・・
「・・・ちょい待ちです、神崎さん」
店の中頃まで戻ると、来るときにはなかった気配を感じる。
手ごろな棚に隠れて、頭だけを出して確認。
・・・いる、な。
俺の軽トラの荷台を物色している人影が見える。
数は・・・4人。
動きが理性のある生き物のそれだ。
襲撃者か。
奴らは荷台にペットフードしか積んでいないことを確認し、何やら悪態をついているようだ。
腹いせか、タイヤまで蹴飛ばしやがった。
俺の新車になんてことをしやがるんだ・・・
見える範囲で武器は持っていない・・・いや、2人が鉈を持っているな。
「(見た所あいつらだけだと思いますけど・・・)」
「(ええ、動きが素人です。後詰がいる可能性はありませんね・・・どうしますか?)」
「(俺が出て行って攻撃の兆しがあったら即始末で)」
「(・・・わかりました、お気をつけて)」
早口で会話し、俺は棚から出た。
正面のドアはガラス張りなので、そろそろ俺の姿もあちらから見えることだろう。
腰の兜割の位置を調整し、抜きやすい角度へ変えておく。
お、気付いたな。
奴らは2人が俺の進路上へ。
武器もちの方だ。
後方の二人は軽トラの後ろへ隠れた。
馬鹿が、丸見えだっての。
「おい、俺の車に何の・・・」
ドアから出た瞬間、即座に2人は武器を振り上げた。
・・・わかりやすくていいな!
右側の男へ、瞬時に踏み込む。
まさか俺がこんなに早く反応すると思っていなかったのか。
男は慌てて鉈を振り下ろそうとした。
「っふ!!」
「ぎゃん!?!?」
鉄板入りのブーツで股間を思い切り蹴り上げる。
野良犬のような悲鳴を上げた男は、そのままの姿勢で硬直した。
忖度なしの本気蹴り上げだからな、何がとは言わんが1つは潰れただろう。
白目を剥きながら崩れ落ちる男をよそに、兜割に手をかける。
そのまま振り向きながら抜刀。
鉈を振り下ろしかける男の手首を、下段から伸びあがるように迎撃した。
「いぎぃ!?がああっ!?」
左手首をへし折った兜割の位置を下げつつ、そのまま体ごと突っ込んだ。
「ごぉっ!?!?」
胸の中央に突き刺さった兜割から、胸骨の軋む音が聞こえる。
「っしぃ・・・あぁっ!!!」
懐に踏み込んで肩で男の体を吹き飛ばし、脇構えに移行。
空中にいる男の脳天に、勢いよく振り下ろした。
「ぎゅ!?」
みしりみしりと骨の砕ける手応え。
よし、無力化完了。
「っひ!?ひゃあああああ!!!」「わっ!わぁあああああ!!!」
軽トラの後ろに隠れていた2人は泡を喰って逃走。
・・・しようとしたが、聞き馴れた銃声と共に殴りつけられたように吹き飛んで地面に転がる。
さすが神崎さんだ。
正確に後頭部を撃ち抜いている。
即死だな、ありゃあ。
「お見事です、田中野さん」
「そっちこそ!さすが神崎さんですね」
店から出てきた神崎さんにサムズアップをしつつ、股間を蹴り上げた男の喉に兜割を乗せて全体重をかける。
首が折れ、びくんと大きく痙攣して男は死んだ。
脳天をぶん殴った方は・・・片目を飛び出させて血反吐を吐きながら緩慢に痙攣している。
うん、ほっときゃこのままくたばるな。
脳までダメージが入ったはずだからこのままほっといても・・・あ、死んだ。
「よし、優秀な練習台のお陰で復活具合が測れたな・・・成仏しろよ、なむなむ~」
さっきの動物たちの100分の1程度の哀悼の意を表し、俺たちは車に乗り込んだ。
取る物取ったから、とっとと退散に限る。
ゾンビに嗅ぎ付けられてもめんどくさいし。
こうしてお目当てのものを手に入れた俺は、ホクホク気分で車を発進させた。
「あ、そうだ。農協にもたぶん鳥の餌あると思うんで、帰りに寄りましょ」
「・・・うう、失念していました・・・な、情けないです」
俺も忘れてたからお相子だと思うな~・・・




