5話 突撃のこと 後編(※残酷な描写アリ!)
突撃のこと 後編(※残酷な描写アリ!)
「お、お願いです、ゆ、許して、ゆるしてくだっ!?」
2階から3階に上る階段。
それに足をかけたと同じくらいに、上から駆け下りて命乞いをしてきた男の喉をすかさず切り裂く。
駆け下りた勢いのまま、前に向かって倒れる男を受け止める。
ふざけるなよ。
誰が許すか。
俺は許さんし、この刀も許さん。
脇差も手裏剣も、拳銃も。
そのどれもが、お前らを決して許さない。
わざと大きく足音を立て、階段をゆっくり上る。
3階の奴らに聞かせるように。
階段を登り切り、踊り場に立つ。
左右から気配がする。
人数まではわからんが、俺を待ち伏せしているようだ。
ふん、百も承知だよそんなことは。
俺は片手で首根っこを持っていた先程の男の死体を立たせ、背中を蹴り倒す。
ゆっくりと死体が倒れ、廊下に出ると同時に4本の矢が突き立った。
左側から1本。
右側から3本。
一気に廊下へ飛び込み、正面の壁を蹴りつけて左側へ跳ぶ。
斜めに跳躍しながら、弓を持った男を視認する。
「っぎ!?」
目を見開いた男の顔を、落下の勢いと体重を乗せた一撃で斜めに斬りつつ着地して後ろへ抜ける。
そのまま痙攣する男の背中にぴたりと張り付いた。
「か・・・は・・・」
体越しに衝撃が伝わる。
矢が突き刺さった感触だ。
数は2本。
それによって絶命したらしい男の体が脱力する。
首を持ち、崩れ落ちるのを阻止。
腕と脇の隙間から前方を確認。
残りは3人だな。
1人は先頭、後方に2人。
「ほー、お優しいこったな。仲間のトドメまで刺してやるなんて」
そのまま死体を盾に、じりじりと前進する。
「おま・・・お前!なんだよ!?りゅ、リュウジんとこのチームか!?」
矢をつがえながら、1人の男が言う。
・・・誰かと間違えてるのか。
よし、乗ってやろう。
ついでに情報収集だ。
死ぬ前に少しでも役に立ってもらおうじゃないか。
「いや、あそこじゃあない」
「タイヘイんとこか!?」
「違う」
「ま、まさかリュウモンカイの・・・!?」
「違うな」
「じゃ、じゃあどこなんだよォ!?」
名前は出揃ったようだな。
覚えておいて後で考えよう。
アホがべらべら喋っている間に、距離は十分稼げた。
「じゃあ正解を教えてやろう・・・かぁっ!!」
渾身の力を込めて、死体の腰を蹴飛ばす。
「ひゃああああ!?」
先頭の男にぶつかり、そのまま死体は男を巻き込んで床に崩れ落ちる。
そいつの上を踏み、やや後方の2人に向けて跳ぶ。
俺に向けて矢が射られるが、姿勢を低くしているので当たらない。
「いぃやっ!!はぁっ!!!」
脇構えから、勢いを乗せた横薙ぎをまず右の奴の腹に。
片腹を斬り抜けた勢いを殺さず、体を回しながら左の奴の片腹を円を描くように斬る。
南雲流、『片喰』
うまいこと決まったな。
腹を押さえて倒れる2人を無視し、最初の男へ戻る。
奴は死体の下からなんとか逃げ出そうともがいていた。
「ああ、あああ!どけ!どけったらァ!!!」
死体が動くわけない・・・いや、ここにはゾンビがいたか。
「よう」「っひ!?た、助けてください!たすけて!!」
声をかけると、面白いように狼狽しつつ命乞いしてくる。
「答え合わせだ。俺はな・・・ただの無職だよ、通りがかりのな」
「へ・・・?」
思わずぽかんとした男の、その喉を斬る。
ごぼごぼと不明瞭な声を出しながら、男は死んだ。
辺りを見回す。
・・・気配はあるが、廊下に出て来る様子はない。
教室の中で俺を待ち構えているようだ。
・・・上等だ。
待ってろよ。
気付けば外の銃声は止んでいる。
神崎さんがどうこうなるとも思えないので、外の敵は片付いたようだ。
こっちも急がないとな。
血振りをし、そこら辺の死体の服で刀身を拭って納刀。
ホルスターから拳銃を抜き、安全装置を外す。
一番きれいな死体の首を掴み、歩く。
今更だが、重いけど普通に持てるな。
どうやら火事場の馬鹿力的なものが出ているらしい。
明日以降の筋肉痛が心配である。
「死ね!」「くたばれ!!」「ドンピシャだぁ・・・あ?」
気配のする教室のドアを開けると同時に、盾にした死体に矢が刺さる。
死体を室内に蹴り入れながら、素早く拳銃で狙う。
距離は10メートル以内。
引き金を引くと、ぱぁんという破裂音の後、拳銃が手の中で暴れる。
「ぎゃ!?」
む、狙いがズレた。
胸を狙ったのに下腹に当たってしまった。
気を取り直してまた撃つ。
「いぎ!?」
ううん、思った通りに当たらないなあ。
今度は喉だ。
「っひいいいいいい!?」
頭を狙うと、後ろの黒板に着弾したようだ。
ああもう、どうやら俺に射撃の才能はあまりないらしい。
10メートルどころか5メートルでこれだ。
ここは一つ、好きな映画を見習うことにしよう。
「あああああ!!ちいいくしょおおおおおおお!!!」
不思議そうに拳銃を見ている俺を見て隙に思ったのか、最後に残った1人が椅子を振り上げて走ってくる。
そっちから来てくれるとはありがたい。
振り下ろされた椅子を躱しざまに、そいつの腹に銃床を叩き込む。
「げぅ!?っが!?ぐ!?」
動きを止めたそいつの腹に、残りの2発を零距離で撃ち込んだ。
やはりガ〇=カタは最強だな。
俺はこっちの方が性に合ってる。
「おい、マユとキミってのがここのボスか?」
「・・・へ?」
シリンダーをスイングアウトし、薬莢を床に落としながら聞く。
頭の横に銃弾を撃ち込んだ奴にだ。
腰を抜かしたのか座り込んでいる。
他の奴らは、死ぬか死にそうで答えられそうにない。
「答えろ」
ベストから予備を取り出し、装填しつつ急かす。
この動作、自分でやっててもかっこいいな。
リボルバーはやっぱり最高だ。
・・・俺だと碌に当たらないけども。
「は・・・はひ!そうです!!」
その男は涙目で答える。
昨日の2人がボス・・・女がボスとは珍しいな。
「へえ、なんでだ?」
「も、元々、大学のサークルで部長と副部長だったんで・・・そ、そのまま!」
やっぱこいつら大学生だったか。
「ふぅん、そうか。アーチェリー部か何かか?」
よし、装填終わり。
慣れない内はモタつくなあ。
「ち、違います、マユとキミは高校までや、やってたらしいけど、うちはテニス部です!」
「ほお、じゃあ弓はどうした?」
シリンダーを銃に戻す。
「お、俺は知らないです!キミがどっかから見つけてきて・・・」
「そうか、2人は今どこにいる?」
かきり、と撃鉄を起こす。
話に夢中な男は気付いていない。
「た、たしか2人ともさっきまで屋上に・・・」
「ありがとよ」
「・・・えっ」
男の額を至近距離から撃ち抜いた。
信じられないといった顔のまま、男はぐったりと倒れ込む。
・・・さすがに。こんだけ近けりゃ当たるか。
またシリンダーを出し、1発装填しておく。
おっと、空薬莢を持ち帰ろう。
何に使えるかわからんが、残すゴミはこいつらだけで十分だ。
生き残りにトドメを刺し、廊下へ出る。
さて、屋上に行く前に3階の掃除だな。
廊下に出てすぐ、階段の辺りに人影がある。
髪が長い・・・女か。
拳銃をホルスターに戻し、脇差を抜く。
どうせこの距離じゃ撃っても当たらないし。
「これ・・・アンタがやったの?」
女が話しかけてきた。
「ああ、そうだ・・・お前、マユとキミどっちだ?」
声を返すと矢が飛んできた。
つがえてから射るまで早いな。
が、こんなもの問題にならん。
脇差で矢を叩き落とす。
「・・・マユか?キミか?」
「なっ・・・なんでよ!?なんでこんなことすんのよぉ!?」
半身になってじりじりと近付く。
こうすれば狙える場所は限定される。
師匠に散々やられたんだ。
相手が1人で、しかも真正面なら絶対にしくじらない。
いくら経験者と言っても、腕は師匠の足元にも及ばないし。
「なんでかあ・・・なんとなく、だなあ。なんとなく、お前らを皆殺しにしたくてなあ」
また飛んできた矢を斬る。
狙いが正確な分、対処しやすい。
「そっ・・・そんな!?そんな理由でこんなに殺したの!?人殺し!!人殺しィ!!!」
今度の矢は外れた。
動揺しているらしい。
「・・・お前らも、同じだろ?」
「え・・・?」
もう少しで一足の間合いに入る。
「お前らもさ、やりたいからあんなに殺したんだろ?女も子供もさ、楽しそうに殺したんだろ?」
「・・・!!!」
間合いに、入った。
「だから」
足に力を込め、床を蹴る。
「俺も」
怯えた顔で、女が矢をつがえようとする。
「殺すんだよォ!!!」
突進の勢いを乗せた脇差が、女の鳩尾を勢いよく貫く。
「かっ・・・ひゅ・・・」
目を見開いて仰け反る女の前髪を掴み、こちらへ引き寄せる。
痛みと恐怖に染まった視線が、俺とかち合う。
「俺も、お前らみたいな人間の屑が大嫌いだから喜んで殺す。・・・簡単なことだろ?なあ?」
「い、嫌・・・嫌ぁ・・・!助けて、たす」
「嫌だ・・・そんなお願いは聞けないね」
鍔元まで刺さった脇差を、90度捻って胴体を蹴りつけて抜く。
女は仰向けに廊下に倒れた。
これでもう助からない。
「死ぬまでの間にせいぜい懺悔でもしてろ・・・運が良けりゃ、来世はミジンコくらいにはなれるかもしれんなあ」
「がっぅ!?痛い・・・!!あああ!!痛いィ・・・!!!」
床に倒れて腹を押さえるそいつを上から見下ろす。
「だから何だ、美術室の人はそんなもんじゃなかったハズだ・・・俺はお前らほど趣味が悪くないんでな、それで勘弁してやる」
「いぎいいぃ・・・あ、あれは、マユが・・・わたし、じゃ・・・」
こいつがキミの方か。
「言い訳は閻魔大王によろしく、心配しなくてもマユもすぐ来るだろうさ」
女の呼吸が浅く荒くなってきた。
そろそろだな。
「な・・・んで、こんな・・・とこ、ろ・・・で・・・」
「日頃の行いのせいだろうが、間抜け」
「・・・ぁ・・・」
目を見開いたまま、キミの呼吸が止まった。
さあて、残りは1人だ。
「田中野さん、大丈夫で・・・返り血ですね、よかった」
階段まで戻ると、例の機関銃を抱えた神崎さんと合流した。
「うわあ、神崎さんかっこいいですね、ラ〇ボーみたいだ」
「あぅ、嬉しくありません・・・あの、それで敵は」
「残りは屋上らしいです、最後の仕上げだ・・・行きましょうか」
「はい!」
神崎さんを伴って階段を上る。
屋上の出入り口はボロボロのドア。
それ以外には窓もないので、屋上の様子はわからない。
・・・外から何かで押さえているのか、開かない。
「離れて、耳を塞いでください」
神崎さんが俺の前に出る。
言う通りにすると、神崎さんの持った機関銃が猛然と火を噴いた。
うがが、耳を塞いでいてもうるせえ!
腹に響く!!
穴だらけになったドアを神崎さんの前に出て蹴破り、屋上へ。
弓で狙われていたら、神崎さんには防ぎようもないからな。
思った通り飛んできた矢を叩き落とす。
後ろからまた銃声。
「ぎゃあ!?」「ふぐ!?」「がっがぁ!?」
正面にいた弓持ち3人が倒れる。
周囲を確認、正面のみ敵。
残りは男2人に女が1人。
アイツがマユか!
昨日見た顔だ、忘れはしない!!
後方は神崎さんに・・・
「後方クリア!」
頼もしい!
「こんちはーッ!!通りすがりの無職です!!じゃあ死ね!!」
怒鳴り、前方へ飛び出す。
慌てて二の矢を放とうとする3人。
脇差を右の男へ投げる。
手裏剣を左の男へ投げる。
そのまま無手で真っ直ぐ突っ込み、左手で鯉口を切る。
マユが苦し紛れに放った矢を躱しつつ、踏み込むと同時に柄に右手を置く。
「ぬうううあああああああ!!!!」
腰を回し、体を開き。
回転の勢いを残らず乗せた居合抜きが。
鋭い風切り音を立てて、裂帛の気合と共にマユの胴体をざくりと薙いだ。
「ぎゃっぁ!?」
はらわたと血飛沫をまき散らして、マユは屋上に大の字で倒れた。
「あが!?」「ぎゅ!?」
後方で銃声。
神崎さんが脇差と手裏剣を投げた男に、トドメを刺してくれたらしい。
「ううう・・・が、ああああ、あ!!」
腹を押さえて苦しむマユに近付く。
「っひ、た、助けて、たすけてぇ!!」
「無理だ。お前はそのまま死ぬ」
俺を見て命乞いをするマユに、冷たく吐き捨てる。
「なんでよ・・・なんで、こんな、こと・・・嫌、い、や・・・死にたく、な」
どんどん顔色が蒼白になるマユ。
出血のせいだろうな。
もうすぐ痛みも感じなくなるだろう。
「無抵抗な子供を殺したろう、庇った母親を殺したろう・・・それがお前に、今返ってきただけのことだ」
「なん・・・それ、だ、けの、こと・・・で・・・・?」
抑え込んでいた怒りが噴き出る。
視界が赤く染まる。
「それだけ・・・それだけだってのか!?この野郎・・・畜生が!!!」
ホルスターから拳銃を引き抜き、構えると同時に引き金を引く。
「ふざけるな!!!」
銃声。
「お前らなんざ、人間じゃねえ!!!」
銃声。
「ゾンビ以下の、屑だ!!!」
銃声、銃声、銃声。
「何とも思わねえのか!あれだけのことをして、何とも!!てめえらは・・・てめえらは!!!」
「田中野さん!」
後ろから抱き着かれて我に返る。
「もう、死んでいます」
神崎さんの声。
「もう・・・」
かきり、かきりと。
人差し指だけが狂ったように引き金を引き続けていた。
とうに弾は切れている。
マユは、顔面に5発の銃弾を受けて事切れていた。
「俺が・・・おかしいんでしょうか」
ぽつりとこぼす。
「あれくらいって、ことなんでしょうか・・・こんなに、腹が立つのはおかしいんでしょうか」
脳裏に公園の光景が浮かぶ。
「違います・・・違います!」
俺を抱く腕の力が強くなる。
「私もです・・・私も!心底腹を立てています!!おかしいのはここの人たちです!!!」
・・・背中越しに伝わる体温に、現実感が戻ってきた。
はは、何を考えていたんだろう、俺は。
「・・・ありがとうございます、神崎さん」
俺はやりたいようにやっただけだ。
死んだ人は戻らない。
ただの自己満足だとしても。
それでも、こいつらを生かしておくという選択肢はなかった。
生かせば、どこかであの親子のような惨劇が起こってしまう。
脳裏にあの死体が蘇る。
それは嫌だ、それだけは絶対に嫌だ。
「零れ落ちる為に、生まれた命じゃない・・・か」
「えっ・・・?」
何かの漫画で読んだセリフを思い出した。
そうだ、俺がここでこいつらを殺したことで。
どこかで零れ落ちるはずの命が救われたんだ。
馬鹿な自己防衛かもしれないが、今はそれでいい。
それだけでいい。
「・・・ところで、情熱的ですね神崎さん」
「あ・・・きゃっ!」
冗談めかして言うと、神崎さんは今の状況に気付いたのか慌てて体を離す。
「ははは、嫌ならやめときゃいいのに!ははは!」
「しょ、しょう・・・そういうわけでは、ないです!!」
噛み噛み神崎さんだ。
久しぶりの登場だな。
さーて、大掃除終了。
とっとと帰るか。
これでこの街も平和になるはずだ。
・・・生き残りはほぼゼロだが。
「もう大丈夫ですよ、神崎さんのお陰です。さ、後始末をして帰りましょうか」
拳銃をしまい、振り返って神崎さんに言う。
「・・・はい!」
神崎さんは顔を赤くしながら微笑んだ。
・・・周囲は死体まみれだが、いい笑顔だ。
「・・・よし、OKです!」
「こちらも完了しました」
ポリタンクを抱えた神崎さんと1階で合流する。
そのまま校庭に出て、ライターで煙草に火を点ける。
神崎さんが咥え煙草で顔を近づけてきた。
ありゃりゃ、またライター切れたのか・・・もっと在庫を増やさないとなあ。
俺の煙草と、神崎さんの煙草がくっつき、吸うことで火が移る。
・・・あ、俺のライター貸せばよかったじゃん!
ま、いいか。
しばし堪能し、火のついたままの煙草を正面玄関から放り込む。
てらてらと濡れ光る地面に煙草が落ちた途端、火がまるで生き物のように地面を伝って校舎の中へ。
何度か爆発音が響き、やがて校舎全体が炎に包まれてく。
奴らの車に残っていたガソリンを使い、校舎に火を放った。
神崎さんが要所に火薬を配置してくれたおかげで、燃え広がるのも早い。
古い木造校舎はよく燃えるなあ。
四方が田んぼなので、延焼する心配はない。
犠牲者の遺体は、1階の一番よく燃えるところに運び込んだ。
美術室の女性もだ。
小学生くらい・・・美玖ちゃんと同じ年頃の遺体もあって、必死に泣くまいと我慢しながら運んだ。
神崎さんも辛そうだった。
あいつら・・・もう1回殺してやりたい。
多すぎて埋葬するのが難しかったから、学校ごと火葬にすることにした。
詩谷の時みたいに重機があれば別だったのだが。
屑どもの死体は殺した場所にそのまま放置してある
触りたくもないし、生焼けになろうが知ったことではない。
この場所を残しておいても何にもならないからな。
避難民もいないし、死体まみれだと変な病気も流行るかもしれない。
神崎さんの計算では、離れと体育館は焼け残るそうなのでいいだろう。
「暗くなってきたな、帰りましょう」
「はい、サクラちゃんも心配してますよ」
「・・・怒ってるかもなあ、一緒に風呂に入って機嫌を取ろう」
来た時と同じトラックに乗り込む。
流石は中型。
ボンネットがちょいとへこんだだけで問題なく動くな。
こういう時には役に立つ。
ついに3階の窓からも火柱が上がるのを確認しつつ、俺はアクセルを踏み込んだ。
「・・・あー、でも」
「はい?」
「俺がたとえおかしくても、神崎さんが一緒の考えなら別にいいですね、それなら」
「・・・にゃ!?」
「だって仲間が・・・神崎さん?どうしました?具合でも悪いんですか?」
「・・・にゃんでも、ありませぇん・・・」
「・・・?」
サツバツ展開も、これからはちょい増える予定です、




