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完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   作者: ヴァンドール


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33/42

33話

(辺境伯エリック視点)


 あれほど『メイドはいらない』と言っていた彼女は、怒ってはいないだろうか。

 それどころか、母がよこした侍女まで送り込んでしまった。

 本来なら来月の生誕祭の支度に合わせて、と考えていたが、母があまりにも素早く手配を済ませてしまい、私には止める暇すらなかった。


 ランカスターにはすべてを任せたが


「奥様には事情をご説明しておりますので、大丈夫かと」


 などと呑気に言う。

 しかし、彼女が本当のところどう感じているのかは、私には分からない。


 相変わらず仕事に通っているようだが、その事実が、かえって私の胸をざわつかせる。

 彼女が楽しく仕事を続けているのは良いことのはずなのに、私はなぜか距離を取ってしまっている。

 本心を言えば、もうあの店には行ってほしくない。

 あの店主と並んでいた彼女の姿が、何度思い返しても胸の奥を締めつける。


 だが、それを口にした瞬間、きっとすべてが壊れる。

 いや、言う資格すら私にはないのだ。


 来月に迫る王宮での生誕祭。

 往復だけで一月近くかかる長い旅路を、彼女と共に過ごすことになる。

 その間、私は彼女とどう向き合えばいいのか。

 考えようとすると、胸の奥からじわりと不安が湧いてくる。


 彼女の笑顔を曇らせたくない。

 だが、どうすればいいのか分からない。

 そんな情けない思いを抱えたまま、私は今日も一人、深い溜息をつくのだった。

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