表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その聖剣、選ばれし筋力で ~選ばれてないけど聖剣抜いちゃいました。精霊さん? 知らんがな~  作者: 溝上 良
最終章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/94

第92話 下剋上戦争

あと2話で最終話です……!

 










 アルの言葉を聞いて、オルティメウス……とついでに私も愕然とする。

 なに、その邪悪な力の名前は……。


 どう考えても聖剣じゃない……。


「相手の最も嫌がることを実現する力、だと……?」

「うむ。基本的には、死の呪いがかけられる能力だ。なにせ、大概の人間や魔族は、自分が死にたくないと思っている。だから、それに対する能力として、死という呪いが与えられることになる」


 平然と宣うアルに、私は戦慄する。

 じゃあ、基本的には死の呪いを付与する力ってこと!?


 邪悪すぎる……! これ、普通に封印されるレベルの呪物でしょ……!

 ……あ、だから私封印されていたのか。


 あー、なるほどなるほど。よくわかったわ。

 ……悲しい。


「一方で、お前は神だ。その特異な能力のおかげで、死に対する恐怖心が非常に薄かった。絶対に死なないという自信があった。だから、お前が最も嫌がることは、死ぬことではない」


 確かに、オルティメウスはそういった節があった。

 致命傷を与えられるような攻撃に対しても、驚きはあっても恐怖はなかった。


 では、オルティメウスが最も恐れることはなにか?

 それは……。


「神としての力を、奪われることだ」

「ッ!!」


 ぎょっと目を見開くオルティメウス。

 アルの言っていたことが図星だったのだろう。


 まあ、それはそうだろう。死なないというのは、オルティメウスの神の力あってこそ。

 それがなくなるというのは、自分が死ぬということであり……なによりも、神という立場からの陥落を意味する。


「そして、わが愛剣の能力、【忌夢顕現】によりそれが実現してしまったというわけだ。残念だなぁ?」

「うわぁ……。すっごいあくどい顔……」


 あんな邪悪な顔をする人間っているんだ……。

 人間ってこわ……。


「ああ、マスター……。なんて凛々しいお顔……。かっこいい……」

「うわぁ……。あの邪悪な顔に刺さっている人がいた……」


 そんな私の隣でくねくねとしている女がいた。

 頬を赤らめてハイライトのない目をさらに濁らせている。


 人間、こわ……。


「クソ! クソクソクソクソ! 私の力がどうして……! こんな悍ましい邪剣の力なんぞにぃ……!!」

「あ、すっごい心が痛い。すっごくグサグサ刺されてる」


 オルティメウスの怒りの言葉に、私のメンタルがやられそう。

 いや、違うのよ……。私は全然やろうと思っていなくて……。


 全部アルのせいなの。


「さて、問題だ」


 血だらけになり、地面に倒れているオルティメウスに近づいていくアル。

 先ほど不意打ちで大きな傷をつけられ、宙に浮かぶことすらできずに地面に落ちていた。


 本来なら神の力を使って過去のやり直しを行っていたのだろうが、それは私の力【忌夢顕現】によって無効化されている。

 オルティメウスには、できることがなかった。


「この状態で首を刎ねられたら、神はどうなるんだろうなあ?」

「じゃ、邪悪……」


 にやりと笑うアル。

 すっごい。私に向けられていないのに、トラウマになりそう。


 この笑顔と邪悪な殺意が向けられているオルティメウスの気持ちを慮る。

 ……まあ、アルに逆らったのが悪いのよ! 残念だったわね!


「ひっ! や、やめろ! 私を殺せば、アリアス様もお怒りになるぞ!!」

「安心しろ。神は普通には殺せないと知っている。神殺しの武器などでなければな」


 ゆっくりと歩いていたが、オルティメウスは動くことができないので、当たり前の結末としてアルが目前に立つ。

 ポンポンと剣の峰を叩きながら、アルは邪悪に笑った。


「だが、呪いの剣はどうなんだろうなあ? これは、神を殺せるのか?」

「ひっ、ひいいいいいいいいいいいいっ!?」

「素晴らしい悲鳴をありがとう、悪神よ。そして、さらばだ」


 直後、アリアス神の属神オルティメウスの首が、ポーンと宙を飛んだ。


「……ほ、本当に神を殺した……」











 ◆



 のちに、『下剋上戦争』と呼ばれるこの戦争。

 比較的小さく、信者の数も少ないシャノン教が、それを弾圧しようとしていた有力な巨大宗教勢力アリアス教を、下剋上という形で返り討ちにした戦争。


 勝敗を分けたその大きな要因は、まずはお互いの神が出張ってこなかったことだろう。

 お互い、人の世のことを考えて、直接武力行使をしなかった。


 まあ、アリアス教の方は属神オルティメウスが出張ってきてしまったのだが、それはもう一つの要因によって排除されたので、気にする必要はなかった。

 それは、まさしくシャノン教に化け物がいたことである。


 アルバラード。自称勇者にして、様々な悍ましい二つ名を与えられた男。

 その男がまた世界をかき回すことになるとは、まだ誰も知らない。




過去作『自分を押し売りしてきた奴隷ちゃんがドラゴンをワンパンしてた』のコミカライズ1話が、ニコニコ漫画で公開されました!

https://manga.nicovideo.jp/comic/74458


また、過去作『偽・聖剣物語 ~幼なじみの聖女を売ったら道連れにされた~』のコミカライズ第27話が、コミックユニコーン公式サイトで公開されました!

https://unicorn.comic-ryu.jp/9544/


期間限定となります。上記からも飛べるので、ぜひご覧ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

守銭奴無自覚ブラコン妹と盲目ヤンデレいじめっ子皇女に好かれる極悪中ボスの話


別作品書籍発売予定です!
書影はこちら
挿絵(By みてみん)
過去作のコミカライズです!
コミカライズ7巻まで発売中!
挿絵(By みてみん)
期間限定無料公開中です!
書影はこちら
挿絵(By みてみん)
挿絵(By みてみん)
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ