表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/157

二人きりの密室

「なっ、何を言うんですの? わた、わた、私がわざわざ海野君の後を追ってですって……?」

 貴梨花はその頬をカーッと赤く染め、動揺しだした。


「そ、そんなわけなくってよ……? わた、わた、私が海野君のことなんて心配するわけがなくってよ? わた、わた、私は、ええと、その……そ、そう、クラス委員長として、クラスの生徒の通学路上に置かれた不審なカードの取り締まりのため、こうして身を挺してカードの中に調査に来たのですわあっ!」

 貴梨花はその目をキョロキョロと泳がせながら、清陀に言うのだった。


「しーっ! 青峰さんも声が大きいってばあ……」

 清陀が人差し指を口に当て、貴梨花に注意する。


「ご、ごめんなさい……海野君……」

 貴梨花は気まずそうに下を向いた。


「ところで……この部屋は、何の部屋なんだろう……」

 清陀は自分たちの今居る部屋を見廻してみた。


 部屋の入口の扉のところに二人の人間の入るスペースがかろうじてあるくらいで、部屋の中にはギッシリと物が詰まっていた。


 見たところ、大きな木材を割ったような、何本もの木の棒が所狭しと並べられていた。


「ここは……物置部屋じゃないかしらね……?」

 貴梨花が清陀の背中に向けて言う。

「きっとここに仕舞われている木材は暖炉にくべる薪じゃないかしらね……?」


「そっかあ。物置部屋かあ……」

 清陀は納得した様子で、改めて貴梨花の方を振り向いた。


「あっ……」

 ふいに自分を見つめる貴梨花の切れ長の目を見た瞬間、清陀はあることに気付くのだった。


「な、何よ? 私の顔に何か付いているのかしら?」

 途中で言葉を詰まらせた清陀に、貴梨花は動揺した表情を見せる。


 よ、よく考えたら僕はこんな密室で女の子と二人っきりだぞ……? 


 清陀がその事実に気が付いた瞬間、なぜか心臓がドキドキと高鳴り始めた。


 あ、あれ……? む、胸がもの凄い速さで脈打っているぞ……


 ど、どうしてだろう。ぼ、僕はこんな超意地悪委員長である青峰さんなんかにドキドキするはずなんてないのにぃ……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ