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私と結婚式を挙げましょう……

「ええい! 我は頭に来たぞ! 魔人ラヴァーズ! 我の恋路を邪魔するお前を、ここでひと思いに成敗してやるぞ!」

 アテュが手にした日傘をバシッと閉じると、赤い光とともに日傘が一本の剣へと変わっていった。


 アテュが剣を振り上げ、魔人ラヴァーズに斬りかかっていく。


「うわあああっ! アテュちゃん? 魔人ラヴァーズちゃんは君の味方じゃないのかい? ど、どうして味方なのに斬ろうとするんだよーっ!」

 清陀はその両手を魔人ラヴァーズの乳房に当てたまま、喚き出した。


「ね、ねえ、魔人ラヴァーズちゃん! き、君も逃げないと危ないよおおおっ! ぼ、僕におっぱいを触らせている場合じゃないよおおおっ」


「ウフフ……ご主人様は、お優しいのですね。私のことを心配してくださるなんて……」

 魔人ラヴァーズは清陀を優しく見つめ返すと、

「さあ、私たち二人の新たな門出です。ご主人様、私と結婚式を挙げましょう……」

と言って、清陀の身体を強く抱きしめた。


「うわあ……なんて温かい光なんだ……」

 その瞬間、魔人ラヴァーズと清陀の二人の身体をピンク色の光が包み込んだ。



「う、海野君が、は、裸の女の子と抱き合っている……? しかも、別の女の子の持っている日傘が、け、剣に変わった……? その剣で海野君と裸の女の子を襲おうというのかしら……?」

 その時、路地の向こうから歩いてきた一人の少女が事の一部始終を電信柱の影から覗き見をしていた。


「な、なんていうことなのかしら……塾帰りにちょっと慣れない寄り道をして、道に迷っていたら、こんなところで海野君と出くわすなんて……それもよりによって裸の女の子と抱き合っているだなんて……わた、わた、私の運命の殿方が……そんな……そんな……」

 青髪ツインテールのクラス委員長・青峰貴梨花は、制服のポケットからハンカチを取り出すと、

「キィィィ……許せなくてよ……許せなくてよ……海野君……」

と口にハンカチを咥え、ハンカチを歯で噛み締めながら、悔しげな呻き声を上げていた。


「で……でも、剣を持った子に襲われるなんて、私の運命の人の一大事だわ……」

 貴梨花はそのことにハッ、と気が付くと、

「う、海野君の命、この青峰貴梨花がお守りいたしますわあああっ!」

と叫びながら、一心不乱に走り出していた。


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