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アテュ 6番 The Lovers 「恋人」

「バーカ。ちげーよ!」

 アテュが自らの手のひらに向かってフーッと息を吹きかけると、アテュの手の中に一枚のタロット・カードが現われた。

 「Ⅵ」というローマ数字と、「The Lovers」という文字が書かれている。


 カードの絵柄は、何本もの剣が直角に並べられ、剣のアーチを作り、王冠を被った男女がともに手を取り結婚式を挙げている。男女の背後では、フードを被った大男が両手を突き出して二人を祝福している。


 式を挙げる男女の他には、色の黒い裸の子供と色の白い裸の子供、カインとアベルの姿が描かれ、大男の両脇には裸の女が二人、イヴとリリスが描かれている。これらは聖書などにも出てくる人物である。さらに赤獅子や白鷲、蛇などの動物の姿も描かれているが、注目すべきは、翼を生やしたキューピッドが目隠しをされた状態で、上空から恋の矢を男女に向けて放とうとしていることである。


「6番、The Loversラヴァーズ、『恋人』のカードより、でよ! 魔人ラヴァーズ!」

 アテュが手の中のカードに向かってそう唱えると、ボムッ! という音とともに、カードからピンク色の煙がたちこめた。ピンク色の煙がみるみるうちに人間の少女の姿へと変わっていく。


「アテュ様、私をお呼びでございますか?」

 桃色のセミロングの髪の十五、六歳くらいの少女だ。一糸纏わぬ全裸姿でその腰には弓矢の入った黄金色の矢筒を差している。背中には黄金色の翼が生え、一目見た印象はキューピッドそのものだった。しかし、少女は目隠しをされており、少女の瞳がどんな色と形をしているのかを把握することが出来ない。


「うわあ! アテュちゃんのトートのタロットからも裸の女の子が出て来たあああっ!」

 清陀は突然、目の前に姿を現した全裸姿の少女にドギマギして、自分もその目を覆った。


「な、な、なんて言うか、愛流華奈ちゃんがカードから出した星ちゃんよりも、アテュちゃんがカードから出したラヴァーズちゃんのほうがオトナっぽくて色っぽいんだもん! ぼ、僕はこれでも女の子の裸を見慣れていないんだよおっ! は、恥ずかしいいいっ!」


 清陀の目の前の魔人ラヴァーズは、その目は目隠しで分からないが、鼻は高く、口角の上がった魅惑的なピンクがかった唇に、華奢な肉体の割には豊満な乳房を持ち、腰のくびれ具合も絶妙で、スッキリとした引き締まった身体をしていた。背は清陀よりも高く、170センチ近くありそうだった。その全身からまさに妖艶な色気を醸し出していた。


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