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第95話 トーナメント戦

前回までのライブ配信。


『蜂』の襲撃を防ぎ切ったアイリスは、兵士の姿で皇妃の実家の一室を借り休ませてもらっていた。


アイリスが兵士の姿のままトイレに立ったところ、当主の母親であるクァトラという老婦人に話しかけられる。アイリスは正体を隠すために自身をラピウスと名乗った。


翌朝、カトーが親衛隊長官を伴ってやってくる。今回の襲撃による親衛隊の被害は大きく人手不足という。その人手不足を補うため、アイリスが男装して皇子の専属護衛になると決まってしまうのだった。

 カトー議員の邸宅にやってきていた。

 私が議会に呼ばれているので、その着替えのためだ。

 皇妃の実家も大きかったけど、議員の家も大きい。


「これからは男装に女神にと忙しくなるな」


「え? その女神っぽい格好するのって今日で終わりじゃないんですか?」


「英雄になって貰うと言っただろう」


 ニヤリと笑う顔が憎たらしい。


 護衛についていたドゥミトスさんとは門の前で別れた。

 別れ際に彼がどういう立場なのか聞いてみたところ、騎士階級らしい。


「貴女がアイリス?」


 邸宅に入るとキラキラした瞳の女性に出迎えられた。

 美人だけど可愛らしい感じで背は私より低い。

 よく手入れされた黒髪でツヤツヤしている。


 20代半ばにしか見えないけど、もしかしてカトー議員の奥さんだろうか。


「はい。アイリスです」


 彼女の後ろにはラデュケがいた。

 ウインクをしながら小さく手を振っている。


「紹介しよう。オレの愛する妻、ルクレティアだ」


 ≫愛する妻とか言っちゃうのかw≫

 ≫日本人だとあり得ないなw≫


 ルクレティアさんは私に微笑みかけてきた。


「ルクレティアよ。貴女に会えるのを楽しみにしていたの。よろしくね」


「よろしくお願いします」


 本当に嬉しそうなのが伝わってくる。

 裏表のなさそうな笑顔だった。


「ラデュケ。すぐに準備してくれ」


「かしこまりました」


 カトー議員が指示出すと、ラデュケはすぐに頭を下げ私の傍にきた。


「おはようございます、アイリスさん。昨日ぶりですね! こちらへどうぞ」


 こうして、私は着せ替え人形にされるのだった。


 着せ替え人形になって1時間ほど。

 私は完全に変身させられていた。


 昨日は洗練されていた感じだったけど、今日はちょっと違う。

 昨日よりも肌の露出がある。

 お洒落というよりも、シンプルに清潔感を保ちつつも肌を見せてるという感じだ。


 一見シンプルに見えて、生地はものすごく良いものを使ってるらしい。

 髪も生地に負けないように綺麗に(くし)で整えてくれたみたいだ。


 アクセサリもごく僅か。

 細かいことは分からないので、私は今のシンプルさの方が好みだった。

 鏡を見せたところ、コメントでも大好評――というか阿鼻叫喚だ。


「お、いいじゃないか。これなら騙せるな」


 部屋を出るなり人聞きの悪いことを言うのはもちろんカトー議員だ。


「男って単純ですよねえ」


 ラデュケがとんでもないことを言ってる。


「私は大好き」


 嬉しそうに見つめてくるルクレティアさんが天使に見える。


「今回は議会の連中に好意を抱かせればそれでいいからな」


 議会には男しかいない。

 男は難しいお洒落は分からない上に、変に気張っても逆効果になることがあるという。

 なので、清潔感のみ突き抜けさせて神秘性を出しつつ、顔と清楚感を武器にするという話だった。


 なんとなく分かる。

 女性にお洒落決められすぎてると気後れするし。


「ただ、もうちょっと顔つきに自信が欲しいな。アイリス。お前、議会へは大通りを歩いて行け」


「えっ?」


「男受けはするだろうが神秘性が足りない。アテクシは美しくて当然という自覚がない。それはそれで人としては好ましいが女神としてはやっていけない」


 カトー議員は「やれやれ仕方ないな」とでもいうように手の平を上に向ける。


「そもそも私は女神になりたいとは思ってない訳なのですが、それは……」


「止めてもいいんだぞ。結局のところ決めるのはお前だ」


 意外な言葉にカトー議員を見てしまう。

 微笑んでいて本心は見えない。


「なにをおっしゃってるんですか! 私の初仕事奪わないでくださいますか?」


 突っかかったのはラデュケだ。

 彼女ってカトー家の奴隷だよね?


「初仕事って?」


「ああ、ラデュケが責任持って最初から最後までってのはお前が初めてなんだよ。他は前任者の引き継ぎだし最終決定権はないからな」


 そういうことか。

 私より若いのに素直にすごいな。

 ラデュケを見ると、彼女は私を見ていた。


「昨日、ラデュケが着せてくれた服、すごく気に入ったよ。着替えるとき、あの姿で居られなくなるのが寂しかったし」


「ありがとうございますぅ。と、いうことは――。続けてくださるってことですか?」


 ラデュケはキラキラした目を私を見つめてくる。

 あざとい。

 でもなんか許せてしまう。


「ラデュケさえ良ければだけど、思いっきり初仕事してくれると嬉しいかな」


「やったぁ。ありがとうございます! 言質(げんち)取りましたからね!」


「あはは。よろしくね」


「決まったか?」


 他人事(ひとごと)のようにカトー議員が言った。

 一番の当事者でお金も使ってるだろうに。


 私はラデュケに選んで貰った服を見た。

 生地も良いし、サイズも何か調整していたみたいにピッタリだ。


「私を女神に仕立て上げたいカトー議員のメリットはなんですか?」


「簡単だ。オレのローマでの人気取りだな」


「人気取りですか?」


「皇妃派に対抗するためだ。これまで全く手を着けてこなかったからな。まあ、オレにも十分なメリットがあることだけ知っておけばいい。それにお前にとっても皇妃の悪意に振り回されるよりはマシだろう」


「悪意はともかく、皇妃に振り回されたことで得たものも大きいですけどね。そういう意味では感謝してます」


「あの悪意を一身に受けてそれか」


「もちろん、悪意は気持ち悪いですし、犠牲を出してるのは腹が立ちます」


「ルクレティアとラデュケはこの言葉をよく覚えておけよ。こいつが剣奴になってからこれまでの経緯をあとで話してやるから」


「そんなこと話すとか何を企んでいるんですか?」


「お前の味方を増やす企みだよ」


 楽しそうにカトー議員が言う。

 どういうことだろう?


 ≫あー、そういうことかw≫

 ≫どういうことだよ?≫

 ≫同情を引いて味方にするってことだよ≫


 なるほど、なんとなくは理解できる。


「企みは納得しました。ただ、やっぱり同情を引いて味方になって貰うとかではなく、直に話して仲良くなりたいですね」


 私がそう話すとカトー議員は何度かまばたきをした。


「――ぷっ。くっくっ。やっぱり面白いな、アイリス。理解不能な分析力だ。分かった。たくさん話して存分に仲良くなってくれ」


 何がなんだか分からないという顔をするラデュケに、「仲良くなりましょう」と話してくれるルクレティアさん。

 私は2人と「また」という挨拶を交わして、議会に向かうために大通りへと連れ出されるのだった。


 それから大通りを歩き、議会に到着する。


 議会に入る前に、証書を係の人に渡す。

 すると控え室のようなところに通された。

 係の人すら私に見とれたのか、手が止まったのが分かる。


 思わず笑顔まで浮かべて上品に対応してしまった。

 なるほど。

 これが美人ムーヴというものか。


 相手が慌てる様を見ると、不思議と余裕が出来てしまう。

 そうすると、対応にも余裕ができ、得た優位性を崩さないように振る舞うようになる。


 こんなことを繰り返してると人生観が変わりそうで怖い。


 大通りを歩いていたときもそうだ。

 歩いていただけで主役感があった。

 かなりの人が振り向き、噂される。

 私の背筋は伸び、口元には少し笑みを浮かべてしまっていた。


 歩き方も重心を左右に動かさないように、モデルのような歩き方になってしまう。

 せっかく得た好意や評価を失いたくないというか、守りの姿勢というか、そういう気持ちが働いてしまっていた。


 カトー議員はこんなことまで見越していたのだろうか。

 本人は貴族ではあるものの憎たらしいオッサンでしかないのに。


「来場してください」


 議会に着いてからはカトー議員に会ってない。

 彼が私の活躍に反対という『設定』だからだ。


 ドアを開けて貰い、議会の中央に向けて歩いていく。

 入っていくと静かになるのが分かった。

 天井から漏れる光を横切る。

 服が光を反射してキラキラと光った。


 注目されているのが分かる。

 大通りを歩いたときの周りの視線を思いだす。

 微笑む余裕もある。

 私は背筋を伸ばしたままゆったりと壇上に向かった。


 議員たちの何人かが口を開けている。

 フィリップスさんも居た。

 彼も呆然と私を見ている。


 真正面にいたカトー議員はふんぞり返ってニヤニヤしていた。

 そして私だけに分かるように片目を瞑る。


 私はその返事として両目を閉じてから議員たち全体を視界に入れた。


 注目されている。

 気後れはない。

 話すとなるとさすがに嫌だけど、今回は形式的な質問に応えればいいだけだし。


 ラデュケのこの衣装と、私の中に芽生えた僅かな自信が余裕を持たせていた。

 身体に力も入っていない。


 それから議会が進んでいく。

 相変わらずカトー議員の独壇場だ。


 彼は「私の配下でアイリスに勝てそうな者がいないんだ!」と大げさに嘆いていた。

 更にドゥミトスさんの名前を出すと、他の議員たちがざわついていた。


 視聴者のコメントによると、これで『他の議員が反対するハードルを上げた』らしい。

 更に『ドゥミトスさんよりも強い人間を挙げなければいけない』という条件も作ったとのことだ。


 ドゥミトスさんってエレディアスさんよりも強そうだもんな。

 そのエレディアスさんは親衛隊の中で最強と言われている。


 そこまで強い配下を持つ議員はいないんだろう。

 カトー議員のことだからそんなことは調べた上の発言だと思うけど。

 現にその後、反対意見が出てもドゥミトスさんよりも強い人間に心当たりがあるのか聞いていた。


 私がマクシミリアスさんに勝てなかったという意見には、これまで彼に攻撃を当てた人間が1人でも居たかどうかを聞いている。


 戦場で強いかどうか分からないという意見には、そもそも強さを確認するために特別試合を議会が承認した前提を持ち出して封殺している。


 さすがカトー議員。

 口が達者だ。

 議会に来る前に勝負はついているとも言えた。

 しかも、未だに私を嫌ってる振りをしてるのがすごい。


 ――振りだよね?


 こうしてあっけなく私は解放奴隷になった。

 さらに『シャザードの反乱』を鎮圧した功労者となることも決まった。


 これで終わり?

 そう思ったのも束の間、まだこの場に居るように言われた。


 不思議に思っていると、次の議題は剣闘士のトーナメントを開催するという話だった。

 ローマ市民から反乱や今回の皇宮襲撃などの目を逸らすために行うらしい。


 ≫パンとサーカスか≫

 ≫このローマでもパンって配られてるのか?≫


 トーナメントの目玉は、私、そして『闘神』ゼルディウスさんの出場。

 マクシミリアスさんに唯一攻撃を与えた私と、一番『筆頭』に近いゼルディウスさんのどちらが強いか、これで話題作りを狙うらしい。


 煽り文句は『女神』対『闘神』。

 確かにワクワクしますね。

 私が当事者じゃなければ。


 ≫反乱・襲撃・サーカス全てアイリスが主役w≫

 ≫ローマひでえなw≫

 ≫特等席で見てる俺らが言うことじゃないけど≫


 あと、ローマ以外の他の街からも剣闘士を呼ぶみたいだ。


 それにしてもゼルディウスさんか。

 彼の底は全く見えない。

 魔術の光もケライノさんやルキヴィス先生の左手を除くと一番強いし何者なんだろうか。

 『闘神』という二つ名の通り神だったりして。


 ゼルディウスさんと戦うことを想像すると、お腹の底から指先までぶわっと熱いものが広がった。


 勝てるかどうか分からない。

 だからこそ戦ってみたい。

 いや、違うか。

 私の方が強いと証明したいんだ。


 トーナメントは他の街からも剣闘士を呼ぶ関係上、2週間後に行うとのことだった。

 2週間後か。

 長いような短いような。


「解放奴隷アイリス。トーナメント戦に参加するか?」


 不意に聞かれる。

 奴隷じゃなくなったし選択権は一応あるのかな?


「はい。ゼルディウス様が参加するのであれば」


 私は口元に微笑を浮かべながら答えていた。


「おお」


 議会から感心したような声が聞こえる。

 ともかく、これで私は退けなくなった。

 奴隷のときと違って私自身が決めたことだ。


 トーナメント戦のことは議会で承認され、議題は次に移った。

 私はその直後に議会を去るのだった。


 その後、カトー議員の家に戻る。

 着替えるためだ。


 着替え終わった姿を見る。

 普段の姿になると物足りない。

 認めるしかないか。

 私はラデュケに綺麗に着飾って貰うことを気に入ってると。


 ――そう考えたら男装の方も気になってきた。


「ラデュレは私の男装をどういう風にするか考えてるの?」


「気になります? でも秘密です」


 いたずらっぽく口元に一本指を立てられる。

 くっ、じらしてくるとは。

 気になる。


「疲れているんでしょう? 休んでいったら?」


 カトー議員の奥さん――ルクレティアさんが言ってくれたけど、私は「友人を待たせているので」とすぐに養成所に帰ることにした。


 そうだ。

 マリカに会いたい。


 私は養成所まで走るようにして帰る。

 筋肉痛が少し痛かったけど、しばらくすると心地よい痛みに変わってきた。

 門を通り、手続きを済ませ、養成所の中に入っていく。


 外では、カクギスさんが練習をしていた。


「カクギスさん。こんにちは。昨日はありがとうございました」


「戻ったか。身体に不調はないか?」


「ご心配ありがとうございます。大丈夫です。カクギスさんはいかがですか?」


「怪我などはない。だが鍛え直さねばと思ってるところよ」


「昨日の今日でさすがですね」


「カッカ。お主の成長があまりに刺激的でな」


 カクギスさんは笑って言った。


「それは光栄です。ところでマリカは部屋にいます?」


 部屋にはうっすらと魔術の光が見える。

 ベッドの上に座ってるみたいだった。


()るぞ。顔を見せてやれ」


「ありがとうございます」


 私は部屋の前に駆け寄って「マリカ、居る? アイリスだけど」と声を掛けた。


「居るよ。入って」


 ドアを開けるとベッドの上に座ったマリカが居た。

 顔を見ると安心する。


「昨日はありがとうマリカ。助かったし嬉しかったよ」


「うん。アイリスも無事でよかった」


「どうしたの?」


 笑顔なんだけど少し表情が暗い。


「助けに行ったことは後悔してないんだけど、足手まといになったのがちょっと情けなくて」


 力なく笑う。


「そっか。私も自分の力が足りないなって思うこと多いけどね」


「え? アイリスが?」


 意外そうな顔を私に向ける。


「闘技場でも討伐軍でも、もちろん昨日も危なかったよ。マリカやこの瞳の向こうの人たちの助けがなかったらどうなってたか」


「そんなに?」


「うん。だからって訳じゃないけど、情けないなんて通り越してる。私は恵まれてるなーって思ってるよ」


「な、なんかすごそうだね。アイリスって簡単にいろいろ乗り越えてると思ってた」


「全然そんなことない。もう何度も死にかけたし何度も諦めかけたから」


「うわ……。でも、なんか悔しい。一緒に居たのにアイリスがそんな風に思ってるなんて考えたことなかったよ」


「私だってそんな風に思われてるなんて考えたことなかったし」


「あはは。そういえばアイリス、『私』って言うようになったんだね」


「あっ」


 『私』って言い始めたのは昨日のマクシミリアスさんとの試合のあとだ。


「えーと、いろいろあって。あと、偉い人に対して『ボク』を使うのは頭おかしいとか言われたから」


「あー、それはそうかも」


 そのあともお互いのことをいろいろ話した。

 昨日の闘技のことや、セーラさんのこと、ラデュケのセンスの良さ、親衛隊に臨時で入ることへと話題が移り変わっていく。


 途中、関係ない話もしてたのであっという間に2時間くらいが過ぎていった。

 話は『蜂』のことに移る。


「マリカが『蜂』の女王って話はどう思う?」


 直球で聞いてみた。


「暗殺集団なんでしょ? 全く嬉しくないんだけど」


 心底嫌そうな顔をしている。


「そういえばマリカって、酸素の魔術をどうやって使えるようになったの?」


「サンソはお母様に教えて貰ったというか、使ってるのが見えたので勝手に出来るようになったというか」


「マリカのお母さんも使えたってこと?」


「うん」


「へぇー、すごいね。何やってた人なんだろ?」


「お母様の昔については聞いたことないんだけど、私を産んでくれたときはまだ奴隷だったみたい」


 奴隷だったということは、マリカを産んだ後に解放奴隷になったということだろうか。


「お父さんはどういう人だったの?」


 この際だから聞いてみる。


「――騎士階級で騎兵隊の隊長やってたみたい」


「そうだったんだ」


 マリカのたまに出る言葉遣いからも薄々気付いてたけど騎士階級だったのか。

 討伐軍でお世話になったメテルスさんやドゥミトスさんと同じってことだ。


 ≫お嬢様説が確定したかw≫

 ≫そっから剣奴ってキツくね?≫


 そうだ。

 騎士階級の家に生まれたのに、どうしてマリカは剣奴なんてやってるだろう。


「――あ、れ?」


「マリカ? どうしたの?」


 彼女を見ると、これまでと全く表情が違っていた。

 一点を見つめ、表情から力が抜け落ちている。


「マリカ?」


 反応がなかった。

 じっとしたままで様子がおかしい。

 私は彼女に触れようと手を伸ばした。


 触れるか触れないというところで、マリカが振り向く。


「っ!」


 殺気だった表情と強くなった魔術の光に思わず身構えてしまった。


「ご、ごめん」


 マリカが慌てて謝ってきた。

 一瞬でさっきの様子は消え失せる。


「ど、どうしたの? ただ事じゃない様子だったけど……」


「――ちょっとね」


「話せるなら話してみて」


 マリカは目を閉じて息を吐いた。

 その後、薄く目を開けながら奥歯を噛みしめる。

 少しして、顔は動かさずに鋭い視線だけを私に向けた。


「――お父様、お母様、みんなを」


 表情が歪む。


「殺したのはたぶん『蜂』」


 絞り出すような声。

 彼女の拳は堅く握られ震えていた。


 私はそのあまりな話に思考が止まり、彼女を見つめることしか出来なかった。

トーナメント戦の描写はほとんど行わない予定です。

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