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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第441話 事実を記す

(やっぱり僕が書くのは、キャップレッドゴブリンについて、だよね)


夕食を食べ終わり、大浴場で汗を流せば後は寝ておしまい……とはいかない。


ガルダンデードに訪れたガルフたちの目的は、紅鱗の地で特定のモンスターを討伐するのではなく、紅鱗の地の調査。

そのため、探索した際に得た情報を纏め、最後に報告しなければならない。


ガルフが本日遭遇したモンスターはキャップレッドゴブリン以外にもいたが、印象に残っている存在はやはり何処かで拾ったキャップを被っているレッドゴブリンであった。


(小さい体で……ウォーリアーやナイトとかじゃないのに、大斧を振るっていた。多分、それだけでも珍しい個体だよね)


これまでの経験上、上位種ではない通常のゴブリンは武器を持っていても、短剣や長剣……槍、もしくは手斧程度しか扱っていない。


(その身からは想像出来ない圧倒的な腕力? からくる斬撃は本当に強力だった。あと、普通のゴブリンじゃなくても、そこまで体が大きくなかったからこそ、少し狙い辛かったかな)


ゴブリンという個体は、総じて体があまり大きくない。


ゴブリンウォーリアーやナイト……ジェネラルといったCランクまで進化したとしても、それでようやく百六十から七十程度。

先日アドレアスとクリスティール、エリヴェラが共に戦ったゴブリンで二メートルを少し超える程度。


そのため、人族の中でも大きい部類の者であれば、キングでも見上げる可能性がある。


(小さいからこそ、人間の様に自由自在に動くため、攻撃が当て辛いと。後は…………うっ…………そ、そうだよね。調査なんだし……ちゃんと書かないとダメだよね)


強敵と戦い、その強さを記す。

となれば、最後はその強敵をどう倒したのかを記さなければならない。


そう……ガルフは大斧による強力な一撃をガードすることに気を取られ、本命である双剣による投擲をロングソードで回避することが出来なかった。


そのため、頭部と心臓部……そして一応股間をガード。

結果的に急所を貫かれはしなかったものの、護身剛気でも衝撃は完全に防げず、股間にダメージを負って倒れかける。


キャップレッドゴブリンがそれに油断したのか、襲い掛かってきた。

これまでの攻撃体勢より隙が大きく、意識を失っていなかったガルフはカウンターを決め、なんとか討伐することに成功した。


(当たり前かもしれないけど、相手が雄だと解れば、ゴブリンも股間を狙ってくるかもしれない…………咄嗟に頭と心臓だけじゃなくて、股間も守ろうと判断出来て良かったよ)


調査書に書かなければならない恥ずかしさはあれど、咄嗟に判断出来た自分は素直に褒めたいガルフだった。





(はぁ~~~~~、クソめんどくせぇ~~~~~~……)


同じく机の前に向かいながらも、まだ全くペンが進んでいないフィリップ。


(どうせ他の奴らもブレーダーグリズリーについて書くだろうし、俺が書いたところで……書いたところで………………ちっ、そういえば忘れてたな)


他に五人も戦っているのだから、自分が書くことはないだろうと思っていた。

その考えは甘かった。

何故なら……計六人の中で、後衛として戦っていたのはフィリップのみ。


後衛としてブレーダーグリズリーと戦った記録を記さなければならない。


(つってもなぁ~~。ガチの後衛って訳じゃなかったし…………とりあえず、俺程度が放つ斬撃波じゃあ、毛皮に大したダメージは与えられなかったな)


大多数の部分に当てても意味がない以上、必然的に頭部へ攻撃を集中させることになる。


(視界を邪魔出来るって点を考えれば、頭部だけを狙うってのはありだったか。けど、普通に魔法を使えりゃあ……いや、それはそれで薙ぎ払われた時がちと面倒か)


薙ぎ払われた攻撃魔法は粉砕されるものの、土属性の攻撃魔法に関しては即座に消えないため、砕かれた残骸が逆に戦闘者たちにダメージを与える可能性がある。


(………………けど、あれか。土魔法でも、下からケツをぶっ刺すことが出来れば、一気に戦況をひっくり返せそうだよな~~)


前衛たちが地面から何本も土槍、もしくは岩槍が生えている状態で戦い慣れているという前提条件が必要ではあるが、ガルフが股間に投擲に衝撃を受けたのと同じく……当たれば必殺の一撃になりうる。


(つか、そういえば今回、そこを狙わなかったよな。まぁ、ミシェラが上手いことやったし、あそこでケツを狙っても……地面に倒せなかっただろうから、結果的に間違っちゃいねぇか)


自身が腕に飛びついてブレーダーグリズリーの体勢を崩したことを思い出し、何故ケツを狙わなかったのかと自問自答するが、第三者から見てもあの時のフィリップの行動は間違っていなかった。


(というか、岩槍でケツに穴開けるか傷を負わせた後に、炎槍で焼けたら……割とダメージ与えられそうだよな)


ふと、悪魔の様な考えを思い付いたフィリップ。

とはいえ、現在フィリップたちの中にはそれが実行可能な者がいない。


(けどまっ、あれだよな。この前のブランネスウルフとの戦いでもケツ穴攻撃が上手くいったし、なんならアドレアスだってゴブリンキングとの戦いで金玉を狙って螺旋突きを放ったんだから、寧ろ狙わない理由がねぇよな)


フィリップは大真面目に睾丸を持つモンスターであれば睾丸を、ケツ穴があるモンスターにはケツ穴を狙うべきだと……レポート用紙に記した。


教師からすれば「ちゃんと真面目に書いたのか!!!!!」と雷を落しそうになるが、事実として……アドレアスがゴブリンキングとの戦いで睾丸という生物にとってザ・急所を狙って戦況を好転させた。


そのため、最終的にフィリップのレポート用紙を見た教師たちは……彼に雷を落すことが出来なかった。

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