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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第438話 向こうからの要望であれば……

キャップレッドゴブリン、ブレーダーグリズリーとの戦いが終了してから数十分が経過した後、イシュドたちは再び探索を始めた。


とはいえ、遭遇するモンスターとは殆どイシュドが戦っていた。


お前らはさんざん戦ったんだし、俺にも戦わせろ!!!!!! ……というのが理由ではない。


ミシェラたちは探索が続行できるだけの体力は回復したものの、万全な状態とは程遠い。

そのため、戦闘はイシュド……後はガルフが担当していた。


「っ、あれぐらいのモンスターであれば」


「いけませんよ、ミシェラ。私たちの体は、私たちが思っている以上に消耗してるのですから」


イブキの言う通り、六人の体は彼女たちが思っている以上に消耗していた。


「っ…………はぁ~~~~~。仕方ない、のですわね」


普段のイシュドであれば、疲れてからが本番だと……本番では、向こうはこっちの事情なんざ考慮してくんねぇぞ!!! というところだが、さすがのイシュドもあれだけ良き戦いを見せたミシェラたちに対し、鬼の様な対応はしない。


彼ら六人で一体のモンスターと戦えば問題無いかもしれないが、戦うモンスターによってはただのリンチにしかならず、彼らにとって為になる戦いになるか怪しい。


「………………ッ!!!!!!」


だが、彼女たちの中で一人……上手く言い訳出来る瞬間を狙うため、披露した体に鞭を打ち、集中力を研ぎ澄ませていた男がいた。


「ガゥっ!!!!????」


「…………今のは、止むを得ない戦闘……そうだろう」


「ふふ、そうですね」


現在戦闘中であるイシュドを観ながら、後方で待機していた彼らを狙った一匹のフレイムウルフ。


本来であれば、三人で……少なくとも二人で戦った方が安全に倒せる相手であるが、真剣を研ぎ澄ませていたディムナはリベヌやジャレスよりも早くフレイムウルフの襲撃を察知。


そして、ピンポイントに頭部を狙い、細剣技……閃光を放った。


当然、細剣には光も纏われており……まさか先に相手の攻撃を食らうとは思っていなかったフレイムウルフの頭部を貫き、一撃で仕留めることに成功。


(なるほど……確かに、あれなら私たちが手を出すのも、致し方ない……しかし)


ディムナがリベヌとジャレスに口にした内容は、屁理屈と言えば屁理屈である。


しかし、実際にディムナは二人よりも早くフレイムウルフの存在に気付いた。

そして一度だけ攻撃を与え、それ以上は何もしておらず……やむを得ず手を出した、と言えなくもない。


一撃だけで仕留められるならばと、他のメンバーも思い、ミシェラも同じく考えたが……今のところ、ミシェラの攻撃力ではDランクモンスターであればまだしも、Cランクモンスターを仕留めるのは非常に難しい。


(今更新しい武器の扱いを覚えるというのも…………奥の手にはなるかもしれませんけれど、私は双剣士……ひとまず、今回の調査で使えるようにはならないでしょう)


ミシェラが現在就いている職業は、双剣士。

当然ながら、双剣技のスキルが一番伸び率が高く、それを扱うのに補助として相応しいスキルが会得しやすい。


ミシェラはイシュドの実家にお邪魔していた時に、普段が使わない武器を使用していたことで、実は双剣以外の武器スキルを会得はしていた。

ただ、ミシェラ本人としてはどれも実戦で使うのに適していないと感じていた。


「やるね、ディムナ」


「……イシュドの理屈は解るが、全て甘えてしまうというのも、な」


一応イシュドだけではなくガルフも遭遇するモンスターの対応をしているため、ディムナとしては自分だけ休んでいられるかという気持ちがあった。


何故ガルフは戦っても良いのかと思うものは数名いたが、実際のところガルフはキャップレッドゴブリンを相手に大きく体力を消耗し、魔力もそれなりに消耗していた。


しかし、ダメージというダメージは……股間にぶつかった双剣の片方による衝撃のみ。

既にその際に受けた痛みは抜けているため、戦れることには戦れる。


対して、ミシェラたちは度々消耗した魔力を回復しながら戦っており、体力面に関しても六人で戦っていたからこそなんとか戦い切れたというだけ。

戦闘終了後には、六人とも……少なくとも十分以上はその場から動けないほど体力魔力、精神も疲労していた。


(……彼は、ディムナ様は侯爵家の令息でしたか…………もしかしたら、既にそういった方がいるかもしれませんし、難しそうですね)


レベルを上げるには、少しでもモンスターを討伐する必要がある。

現在、その機会をイシュドとガルフが得ていることに怒ってはいないが、せっかく紅鱗の地を探索できる機会を無駄にしたくない。


相変わらずクールな態度を崩さないディムナだが、心にの中には燃え滾る闘志と向上心を有している。

レグラ家の女性からすれば、そういった男性も魅力的である。


(それに、あまり将来騎士として有望である殿方たちをレグラ家に引き抜こうとすれば、さすがに当主様が他の貴族に何か言われるかもしれませんし…………向こうから何か相談されない限り、提案はしない方が良さそうですね)


リベヌからすれば、自分たち末端の騎士や魔術師の勧誘で引き抜かれるのであれば、元からお前たち騎士団にディムナが魅力を感じていなかっただけだと吐き捨てられる。


しかし、その者たちがリベヌたちを飛び越え、レグラ家の当主であるアルバに声を掛けてしまうと、末端の騎士や魔術師からすれば、申し訳ない限りである。


(しかし……いらぬ計算、予想かもしれませんが、ディムナ様だけではなくアドレアス様……ダスティン様までレグラ家に来たいとなれば、どうなってしまうのでしょうか)


向こうから来たい、レグラ家の騎士団に入団したいと言われれば……彼らの戦闘力や向上心を考慮すれば、断る理由がない。


「ん? あれはっ、イシュド様!」


前方から一体のモンスターが高速で迫ってきている。

ただ、迫ってきているのがモンスターだけではない事に気が付き、直ぐに声に意図を乗せて伝えた。

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