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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第436話 切っ掛け

「……………………」


イブキが放った刀技、居合い・三日月を胸部に食らって地面に倒れ伏したブレーダーグリズリー。


五秒……十秒と経っても動かず、完全に息絶えた。


それが解った瞬間、イブキ達は全身から力が抜け、大なり小なり溜息を吐きながら地面に腰を下ろした。


「だは~~~~~~~~、も~~~~~~~~無理。動けねぇ~~~~~」


「はっはっは!!! お疲れさん。頑張ったじゃねぇの、お前ら」


もうイシュドが自分たちより圧倒的格上な強者であることは共通認識であるため、上から目線な言葉にツッコむ者は一人もいない。


仮にまだまだその態度に関して思うところある時期だったとしても……全員消耗しきっているため、ツッコむ気力はゼロである。


「こいつの解体は俺がやっとくから、お前らは休んでろ」


「っ……っ……お言葉に、甘えますわ」


イシュドに対して一番言い返すことが多いミシェラであっても「最後まであなたの手は借りませんわ!!!!」と言い返す気力もなく、お言葉に甘えた。


「まぁ~~~、にしてもあれだな。デカパイ、よくブレーダーグリズリーの脚に掴みかかったな」


「…………鬼竜・尖との、戦いを思い出しましたの」


「あぁ~~~~~、あれか。なるほどね~~~。あれを再現したって訳か。良い判断じゃねぇの」


血抜きを行いながら、先程と同じく顔は笑っているが、心の底からミシェラの行動を賞賛していた。


「今回の最優秀戦士はデカパイだな」


「私、ですの? イブキ、ではなく」


ミシェラからすれば、やはりイブキの一撃がなければという思いが強い。

その考えはイシュドも解らなくはないが、外から見ていたからこそ、ブレーダーグリズリー戦のMVPはミシェラであると断言出来る。


「ブレーダーグリズリーに決定打を与えたのは、確かにでけぇ功績ではある。けどな、そこに至るまでに切っ掛けを作ったのはおめぇだ。脚にしがみついてブレーダーグリズリーの気を散らして、んであと膝裏に衝撃を加えて崩したろ」


「え、えぇ。そうですわね」


「良い動きだったぜ。しがみつくだけじゃあ、倒れるかどうかはブレーダーグリズリーの行動次第だっただろうからな」


「…………」


そこまで褒めてくれるなら、そろそろデカパイという呼び方は止めてくれないかしら……と言いたいところではあったが、やはりまだそういうやり取りをするほどの気力は戻っていない。


「イシュド、ミシェラさんの次に優秀だった人は誰なの」


「ミシェラの次にか? あぁ~~~~~~……そこら辺は人それぞれで意見が別れるとこだろうが、俺が今回重要視すんのは流れをつくったどうかってところだからな。だから、ミシェラの次はフィリップじゃねぇかって思ってる」


ガルフの問いに、イシュドは一応個人的な主観でと前置きをし、優秀な動きをした人物としてフィリップの名前を上げた。


「お、俺か……理由は、最後のあれか?」


「そう、それだ。最後の最後のタイミングまで前線に参加しなかったのは、そもそもその気がなかったからってのもあると思うが、その流れもブレーダーグリズリーを虚を突く要素になってただろうしな」


ミシェラが膝裏を突き、ブレーダーグリズリーの体勢を崩しかけた瞬間、フィリップは完全に後方に倒す為に、全力ダッシュで駆け出し、剛腕にしがみついた。


ブレーダーグリズリーの体重と比べれば軽いとはいえ、それでも六十そこそこの重さの人間が高速で走りながらしがみつき……その重さが左腕だけに乗っかったとなれば、さすがにブレーダーグリズリーも上手く対応することは出来ない。


「私も、ミシェラさんとフィリップが上手く功労者だと思うよ」


「……そうだな。見事な判断だった」


アドレアスは素直に同級生二人の行動が勝利に導いてくれたと称賛し、ディムナも……自分に対して思うところがあるだけで、二人の動きがブレーダーグリズリーを討伐する切っ掛けになったという事実は認めていた。


「二人の言う通りだ。全く、良い意味で無茶をする」


「ナイス無茶、ということですね」


ダスティン、イブキも二人が今回の討伐において功労者であることに異論はない。

何かあるとすれば、今回の戦闘に関する反省点だけである。


「んな褒めたって何も出ないってのに……あっ、そういえばガルフ。あのレッドゴブリンは……って、そうだよな。ここにいるってことは、バシッとぶっ飛ばしたんだよな」


友人が負けるとは思っていないフィリップ。

紅鱗の地に生息しているモンスターのことを嘗めているわけではないが、それでも闘気を……護身剛気を使用出来るガルフが特殊とはいえ、レッドゴブリンに負けるとは思えない。


「え、えっと……うん。一応、勝てたよ」


「? どうしたんだよ。なんか歯切れ悪いじゃん」


少々バツが悪そうな表情を浮かべながらも、一応は勝利したと伝えるガルフ。


その反応に何があったんだと首を傾げるフィリップたち。


(うっ…………ど、どうせ夕食の時には喋ることになるんだろうし……自分から言わないのも、なんかカッコ悪いよね)


当然ながら、ガルフが語らないのであれば観ていたイシュドとリベヌが語る。

となれば、結局は自分の失態? を知られてしまうため、ガルフは自分からどういった戦闘内容だったのかを語った。





「はは!! はっはっは!!!! だっはっはっはっはっはっは!!!!!!!」


最後のやり取りを聞き終えた後、アドレアスとディムナ、ダスティンの三人は無意識に大事な部分を覆ったが、ガルフの予想通り……フィリップだけはイメージを浮かべて大事な部分を抑えるのではなく、大爆笑した。

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