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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第435話 解っていても

(っ……やって、やりますわ!!!!)


脳裏に浮かんだ成功の体験? を思い出したミシェラは、それを続行することを決断。

今最優先しなければならないのは、目の前の強敵に勝つことである。


「後は頼みますわ!!!!!」


目の前の強敵、ブレーダーグリズリーを相手に、自分がこれからどうするかちんたら説明している暇はない。


これから自分は何かを行う。

それだけを伝え、ミシェラは勢い良く地面を蹴った。


(了解です!!!)


(解ったよ)


(うむ)


自分たちが攻撃の要である事を理解しているイブキたち三人は、これからミシェラが何かしら起こすであろう行動を信じ、渾身の攻撃を放つ準備体勢に移る。


(あいつ、何をやるつもりだ?)


戦況が傾くかもしれない、良い意味で終わりに近づくかもしれない。

それはそれでフィリップにとって嬉しい事だが、現段階でミシェラがブレーダーグリズリーに対して出来ることが思い浮かばなかった。


だが、数秒後……ミシェラの取った行動を見て、フィリップは小さく吹き出してしまう。


(は、はは……やっぱ、やるときゃやるよな~~、あいつ)


「放しま、せんわ!!!!!!」


「っ!!!!!!!」


ブレーダーグリズリーの爪斬をなんとか躱し、懐に潜り込んだミシェラ。

そこから取った行動は……まさかの、脚への抱き着き。


当然、命乞いではなく、ましてや色仕掛けでもない。


(私のことが、邪魔、でしょう! ブレーダーグリズリー!!!!)


ミシェラが思い出した成功体験? は、鬼竜・尖との戦いで実行した、尻尾への抱き着きからの切断であった。


あの時、鬼竜・尖は尻尾を振り回すことで、ミシェラを振り払おうとした。


そう、体の一部に掴まれた際、力に自信がある者は大抵、振り払おうとする。

鋭い爪を突き付けられれば一発アウト?


確かにその可能性も否定出来ないが、そうはさせなのがフィリップとダスティン。


「ハアアアアアッ!!!!」


「よい、ほい、ほいっと!!」


致命的なダメージにはならないが、相変わらずブレーダーグリズリーにとって鬱陶しい攻撃であることに変わりはない。


そのため、自分の武器である爪を振るう事になる。


(くっ、やはり、私の剣では……そ、そうですわ!!!)


必死にしがみつき、突き刺そうとしても思い通りに突き刺さらない。

動きの妨害には成功したが、形勢を傾かせる切っ掛けには至っていない。


そこでミシェラは、熊も人間と同じ関節があるのを思い出し、膝の裏を刺した。


「っ!!!???」


これまた、こうなったら良いな、という程は刺さらない。

しかし、そういった攻撃がくると解っていなければ……いや、くると解っていても対処出来る怪しい、膝の裏に刃を突き立てた。


その結果、ブレーダーグリズリーは片方の脚だけが降り曲がり、体勢が後ろに崩れた。


(((今ッ!!!!!!!!!)))


同級生が、友人が恥も外聞も理想も捨て、目の前の強敵に勝つ為だけを目的に動き、生み出した隙を……三人の攻撃手は決して見逃さなかった。






「ぷっ!!! はは、はっはっは!!!!!!!!! おいおい、やるじゃねぇかデカパイ!!!!!!!!!」


離れた場所で周囲を警戒しながら観戦していたイシュドは、ミシェラが取った行動に笑い声を上げながらも大絶賛した。


「いやぁ~~~、やりますね。ナイス根性」


「まさに、勝つ為の選択と虚を突く一手ですね」


ミシェラが取った行動にはイシュドだけではなくジャレスとリベヌも絶賛した。


敵の脚にしがみつくという危険行為に加え、中々即座に対応出来ない奇手を放った。

力任せの行動ではないが、どちらも……特に前者はレグラ家の人間からすればよくやった!!! と称賛したくなる行動である。


「そんでまぁ……仕事が早い奴だぜ」


脚にしがみつき、膝裏を刺して体勢を崩す。

そんな奇手を実行したミシェラに倣い、これまでずっと後方からの支援に徹していたフィリップが全身に雷を纏って駆け……勢い良くブレーダーグリズリーの左腕にしがみついた。


「っ!!!???」


フィリップの行動により、ブレーダーグリズリーは完全に後方に倒れ込むこととなった。


(それならっ!!!)


(譲ろう、侍)


片足と片腕は封じられた。


であればと、アドレアスとディムナはそれぞれもう片足ともう片腕を狙い、風刺を……光刺を放った。


ほんの一瞬ではあるが、衝撃を受けたもう片足と片腕は衝撃によって硬直。


「破ッッッッッ!!!!!!!!!!!」


素早く二人の行動を把握したイブキは中に跳んで構えていた。


空中での居合斬りという、無茶な体勢ではあるが……今の彼女には失敗するかもしれないといった不安などは一切なかった。


ただ……ただただ目の前の強敵を倒す為に、仲間の行動を無駄にしない為に、空中で刀技、居合い・三日月を放った。


「っっっっっっ!!!!! ゴ、ガっ!!!!!?????」


ブレーダーグリズリーが口から盛大に吐血を零した瞬間、ミシェラたちは一斉に散った。


イブキの放った居合い・三日月は確かにこれまでの攻撃で一番のダメージを与え、ブレーダーグリズリーの堅い毛皮や肉を裂いた。


ただ、強敵を真っ二つにするまでには至らなかった。


まだ……倒せていない。


その事実に彼らは絶望するのではなく、好転した状況を冷静に把握し、即座にどう攻めるかを考え始めた。


「っ、っ……ガっ!!!! ァ……」


しかし、ブレーダーグリズリーは最後に大きな吐血を零し、前のめりになりながら……地面に倒れ伏した。

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