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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第434話 そこは、もう諦めた

ガルフがなんとかムスコの痛みに耐えながら勝利を掴み取っているよそで……ミシェラたちは厳しい戦いを続けていた。


(やはり、鍵となるのは、イブキの斬撃、のようですわねッ!!!!!)


ブレーダーグリズリーとの戦闘が始まってから、約五分が経過。

その五分間の間、全く成果を上げられなかった訳ではない。


イブキの渾身の居合斬りが炸裂。

ディムナ、アドレアスが同じ個所に渾身の突きを当てたことで、なんとか出血させることに成功。


彼らの攻撃が、全く効いていないという訳ではない。

ブレーダーグリズリーは確かに強力なモンスターであり、紅鱗の地に生息している個体ともなれば、更に強い。


しかし、以前ガルフとフィリップ、ミシェラとイブキの四人が戦った理不尽モンスター、鬼竜・尖のように高い再生能力までは有していない。


そのため、このまま出血多量の死亡狙い。

もしくは出血多量で身体能力が下がった瞬間を狙い、一斉に仕留めに掛かるというのも、一つの手段。


(いやいやいや! 厳しいが、過ぎんだろ!!!)


後方で雷斬波を放って放って何度も放って放っては放ち続けるフィリップは、頭の中に浮かんだ討伐方法を直ぐにゴミ箱に放り投げた。


六人という数的有利な状況でブレーダーグリズリーと戦っているため、フィリップたちはポーションを飲んで傷を癒し、魔力を回復しながら戦い続けることが出来る。

なので、スキルの発動や身体強化の為に纏う魔力の量などはあまり気にしなくて構わない。


ただ、削られる体力と精神力までは回復出来ない。


精神力はさておき、一人ぐらい前線から離れて体力を回復させれば良い?

確かに数では六対一と圧倒的に有利ではあるが、ブレーダーグリズリーの強さを考えた場合、一人が十秒も離れた時点で拮抗が崩れる可能性が大。


そのため、一旦後方に下がって回復する者たちは、ポーションの苦さなど一切気にする余裕は一切なく、あっという間に呑み干して前線に戻る。


(ブレーダーグリズリーが出血多量で死ぬ前に、アドレアスたちの体力がアウトになって終わりやっての!!!!)


戦闘職に就いている者のスタミナは並ではないが、Bランクのモンスターともなれば……少なくとも今のフィリップたちには無心そうに思えても致し感たない。


(傷はあるけど、もう一回狙うってのは……チッ!! さすがに警戒してやがんな!!!!!)


勝ち筋があるとすれば、既にイブキが……ディムナとアドレアスが貫いた傷口に、更に攻撃をぶち当てること。


傷口が広がれば、更に出血量が増えてそこを突いてブレーダーグリズリーの疲労、出血多量による死を狙うことも決して不可能ではない。


ただ、ブレーダーグリズリーはそれが解らないバカではない。


頭で考えている訳ではなく、本能的に理解している。

現在自分が負っている傷口に再度攻撃を与えられたら、自分が殺される可能性が増すと。


「まだ、まだぁああああああああッ!!!!!」


「っ、ゴオオオァアアアアアッ!!! っ!!!!!」


「疾ッ!!!!!!!」


纏めて仕留めるのであれば、剣のように鋭い両手の爪をぶん回し、無理矢理切断する。

大胆な手札ではあるが、決して間違った戦法ではない

ただ、大胆な攻撃を行えば、どうしても隙が生まれてしまう。


現在ブレーダーグリズリーには気を付けなければならない箇所が複数ある。

頭部、目、イブキ達によって付けられた傷。

大胆な攻撃を行いながら、そこまでケアするのは難しい。


加えて、腕の内に入られてしまえば、一斉に殺すという攻撃が取れなくなる。


その選択肢を抑えているのが……ミシェラ。


(まだ、まだ……動きなさい!!! 私の脚っ!!!!!!)


止まらず双剣を振るい続ける。

現時点では、攻撃には至っておらず、本来実行したい姿の半分は達成出来ていない。


しかし、ブレーダーグリズリーとて全く無視出来る存在ではなく、双剣に風属性を纏っているミシェラの刃であれば……傷口に突き刺されば、そのまま引き裂けてもおかしくない。


(い、まッ!!!!)


だからといって、一人で無茶して責めようとはしない。

慣れてきたブレーダーグリズリーの腕の軌道を読んで懐に潜り込み、刃を数回……もしくは一回でも振るえば、即座に離れ……再びタイミングを見極めて潜り抜ける。


ミシェラはブレーダーグリズリーを相手に、完璧にヒット&アウェイを行えるようになっていた。


正確に相手の動きを見極め、その上でブレーダーグリズリーが放つ圧にも戦いにも慣れ……ただ全力で動くのではなく、全力で駆けだすタイミングや全力で動き続けなければならない時間を把握出来るようになっていた。


地味だと思われるかもしれないが、間違いなく成長の証である。

ただ……やはり、それだけではブレーダーグリズリーを倒す決定打にはならない。


(ふぅ、ふぅ、やはり。メインの、攻撃はイブキ……ディムナと、アドレアス様、でなければっ!!!)


傷口に当たれば誰の攻撃でもダメージを与えられるとはいえ、やはり攻撃力が高い面々の攻撃を当てた方が勝利が近づく。


再度その事実を認識し……ミシェラはその時点で、自分が目の前の強敵を討伐する上で、決定打となるのを諦めた。

そして、直ぐに自分がブレーダーグリズリーとの決定打に繋がる為の動きをすれば良いかを感が始めた。


勿論、その間もヒット&アウェイでブレーダーグリズリーの動きを邪魔し続ける。


(勝つ為に、私が……出来る、ことは)


考える。

考えて考えて……思い付かなければ、振り返る。


成功体験は、忘れているだけで既に過去に体験している可能性がある。


ブレーダーグリズリーは確かに強敵だが、これまでミシェラが戦ってきた強敵は弱かった訳ではない。

そんな猛者たちを相手に、自分はどう戦ってきたのか。

約数十秒、考え……振り返り続け…………結果、ミシェラは一つの成功体験を思い出した。

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