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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第427話 嫌だね

「にしても、良くやるな~~~」


責めることはない。

バカかとツッコミたいところだが、彼女たちの動きによって自分たちに害を為そうとする者たちの動きを妨害することになる。


ただ、思い付いたからといって簡単に実行出来る話ではない。


「学友の命が狙われるかもしれない。となれば、動かない訳にはいかないかと」


「…………………」


イシュドたちの助けになれば、有事の際にバトレア王国の助けを……もっと言うと、レグラ家の力を借りれるかもしれない。


そんな政治的な考えが含まれていることは、一目瞭然。

だが、それでも実際に紅鱗の地を調査するのはフレアたち。

決して……決して楽な依頼ではない。


「ふぅーーーーーー、幾らかかった」


「え、えっと、いったい」


「だーかーら、ここに来るまではおいといて、護衛を雇うのにどれぐらいかかった」


フレアだけではなく、ルドラとヘレナもフラベルト学園に訪れ、イシュドたちと関わる様になってから、間違いなく成長していた。


それでも、三人で紅鱗の地を探索するには実力が足りない。

僅かなイレギュラーでも起これば、即座に全滅する。

それを防ぐためには、イシュドたちのように護衛を用意するしかない。


イシュドの予想通り、フレアたちは腕と人格が確かな冒険者たちを護衛として雇っていた。

情報を漏らさない、裏切らない……そして確かな実力を有しているということもあり、調査が終わるまで雇い続けるには、それ相応の金額が必要になる。


とはいえ、今回の依頼はある者の助力があって行えたとはいえ、フレアの中にどうにかしたいと……イシュドたちの力になりたいという思いがあり、行動を起こしたのには間違いない。


自分から行動を起こしたのだから、それに関して使ったお金など、言える訳がない。


「はぁ~~~~~…………ほれ」


「っ!!!!!!!???????」


言わないなら仕方ないと言わんばかりに、イシュドはアイテムバッグの中から硬貨を取り出し、机の上に置いた。


それは……数十枚の白金貨。


「あ、あの」


「嫌だね」


フレアが何かを言う前に、イシュドは嫌だと言葉を遮った。


「その金はもうお前に渡したんだ。だからちゃんと受け取ってくれよ、お姫様」


テーブルの上に置かれたお金は、金貨数十枚ではなく、白金貨数十枚。

この場には多くの貴族の令息や令嬢、挙句の果てには王子様や王女様もいる。


その為、白金貨というのはそこまで珍しい硬貨ではない。

ただ……一個人が持つ金としては、大金も大金。

アドレアスやフレアであっても、おいそれと手に入る金額ではない。


「で、ですか」


「嫌だって言ってんだろ」


尚も何かを言いたいフレアだが、それでも言葉を遮って嫌だと告げるイシュド。


「イシュド、少しはフレア様の言葉を聞いたらどうですの」


「どうせ今回使った金は、実家から提供してもらってる金だからつって受け取らないつもりだろ」


当然のことながら、カルドブラ王国のトップたちはただ学生たちが仲良くなるだけで、良い関係が築けるとは思っていない。


その為、カルドブラ王国のトップは事前にフレアに有事の際に使うようにと大金を渡していた。


「んなの、俺の知ったことじゃねぇけどな」


「…………ふふ、イシュドらしい考えだね」


「どういう事だ、アドレアス」


「フレアさんたちは、そもそも紅鱗の地で調査を行う……護衛付きとはいえ、それだけでも自分たちの為に命をベットしている。だから、その対価……といったところかな」


ディムナの問いにスラスラと答えるアドレアス。

実際……アドレアスが答えた通り、イシュドは自分たちに借りを作れるとはいえ、本気で命をベットしているという事実に感心していた。


フレアたちが護衛として雇った冒険者は、間違いなく一流の冒険者。

当然だがガルフたちを大きく上回っており、イシュドたちとも互角に戦える猛者。


それでも……自然の中で最悪のイレギュラーが起きれば、絶対に死なないとは言い切れない。


「そういうこった。だから、さっさと受け取れ」


「…………分かりました。有難く頂きます」


「別に有難がたらなくて良いっての。ただ、あんたらの度胸に敬意を表したまでだからな」


敬意を表しているのであれば、その態度は何なんだとツッコみたいミシェラたち。

だが、フレアはもとより、彼女に仕えるルドラとヘレナもイシュドという人間はこういう人間だと知っているからこそ、特にツッコまず苦笑いを浮かべるだけだった。


(…………なんかムカつきますわね)


イシュドの考え方が間違っているとは思わない。

ただ、一応貴族の令嬢であるにもかかわらず、イシュドから敬意らしい敬意を一度も向けられたことがないミシェラ。


バカな事だと解りつつも、ほんのほんの少しだけフレアに嫉妬するのだった。


その後は紅鱗の地で遭遇したモンスターとの戦闘で盛り上がり始めたガルフたち。


「フィリップ君たちもあの猿に遭遇したのか」


「あぁ。まぁ~~~、中々のクソ猿だったな」


「言葉はあれだが、同意見だよ」


調査中、イシュドたちだけではなく、フレアたちもスパイルモンキーの集団に遭遇した。


イシュドたちの身に人為的な被害が及ばないようにある者と協力して依頼を受けたとはいえ、一応本気で調査を行っていた。

そのためルドラとヘレナ、フレアも自分たちが戦えると判断したモンスターとは積極的に戦っていた。


そんな中、三人はスパイルモンキーとも戦った。


「あの猿たち、本当に性格が悪かったわ!!」


ルドラだけではなく、ヘレナも同じくスパイルモンキーの人を小バカにする様な態度に苛立ちを感じさせられた。


「あのクソ猿たち、逆に煽り返せば簡単に怒っちまうぜ」


「むっ、そうなのか……Cランクということを考えれば、ある程度は人の言葉を理解してもおかしくはない、か。機会があれば、ぜひ試してみよう」


ルドラは正々堂々な、誠実な騎士を目指しているため、あまり煽るという行為に関して良くは思っていないものの、スパイルモンキーとの戦いでは本当に上手く戦えなかったと後悔していた。


だからこそ、勝つ為にはその程度の余計なプライドを捨て、次があれば全身全霊で

煽り返すと決めた。

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