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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第426話 なんで居る?

「解体と売却を頼みたい」


「かしこまりました」


倉庫に案内されたイシュドは、討伐したモンスターたちの死体を出していく。


「っ……これを、全て皆さんで」


「そうっすよ」


亜空間から取り出されたモンスターの中にはDランクだけではなくCランクのモンスターもおり……挙句の果てにはBランクモンスターであるケルベロスの死体も混ざっていた。


(噂通り……いえ、噂以上の人物ということですね)


ここ最近アルバンカに訪れてきた学生の中で、レグラ家の者がいるという情報は、受付嬢であれば全員知っており、王都で開かれた激闘祭のエキシビションマッチでの暴れっぷりも知っている。


そのため、イシュドの実力を嘗めている者は一人もいなかった。

ただ、そこら辺に……生息していたら困るが、他の地域に生息しているBランクモンスターと比べて、同じ個体名であっても紅鱗の地に生息しているBランクモンスターの方が一枚上手。


だが、現に受付嬢や解体士たちの目の前にはBランクモンスターであるケルベロスの死体がある。

学生の身でBランクモンスターを討伐する時点で普通ではないが、紅鱗の地に生息するBランクモンスターを討伐するとは思っておらず、彼女たちは決して小さくない衝撃を受けた。


「イシュド様がケルベロスと戦われたのですよね」


「そうっすね。いやぁ~~~、以前ケルベロスと戦ったことはあったんですけど、やっぱり紅鱗の地に生息してる個体は違うっすね。うっかり怪我しましたよ」


「そ、そうですか」


うっかり怪我程度で済んでいることにツッコみたいところだが、受付嬢としては……もう少し知れるだけで情報が欲しい。


「怪我をしたという事は、バーサーカーソウルを使う状況にまで追い込まれたのですか?」


「いや、バーサーカーソウルは使いませんでしたよ。怪我してそれが余計に昂って……昂ったんすけど、逆にそのままの状態でぶっ殺してやるぞって欲が溢れちゃって」


「な、なるほど。意地という炎が燃え上がったという訳ですね」


「そうそう! マジでそんな感じっす!!!」


上機嫌で言葉を返すイシュドだが、質問した受付嬢は若干引いていた。


彼女だけではなく、解体士たちも含めて、てっきりイシュドがバーサーカーソウルを発動してケルベロスを討伐したのかと思っていた。


(頭がおかしい……というわけでは、ない……のよね)


それなりに多くの同僚、多くの冒険者たちと接する中で、ある程度見抜く眼が養われた受付嬢。

その眼で見た結果、イシュドが嘘をついてるとは思えなかった。


レグラ家の人間は本当にそこが知れないと感じながらも、受付嬢はガルフたちも声をかけ、王都に在籍している学生たちの実力を測ろうと、少しでも情報を集めようと解体と査定が終わるまで話し続けた。





「んじゃ、適当に酒場に入って……あん?」


カウンターではなく、倉庫の方で査定を行い、素材の買取金額を受け取ったイシュド。

少しでも面倒な絡みを減らそうという努力であり、そのお陰でロビーに戻ってきたイシュドたちには、そこまで多くの視線は向けられていなかった。


ただ、そんな中……イシュドは思わず首を傾げたくなる存在を発見。

加えて、それはイシュドだけではなく、ガルフたちも同じく……なんなら大きな衝撃を受けるほどの存在が彼らの目の前にいた。


「あっ、お久しぶりです。イシュドさん」


「おぅ、久しぶり…………って、なんでこんなところにいるんだよ、お姫様」


お姫様、と呼ばれたのはフレア・カルドブラ。

現在バトレア王国のフラベルト学園に留学中のカルドブラ王国の王女。

そしてその隣には、彼女のお付きであるルドラ・セレネディーとヘレナブレヴァラがおり、二人揃って苦笑いを零していた。


「私たちも、紅鱗の地の調査依頼を受けたのです」


「………………この後、暇か? 暇だったら一緒に飯食おうぜ」


多少の面倒を感じるものの、話を聞いておいた方が良いと思い、イシュドにしては珍しくフレアを夕食に誘った。

当然、フレアとしては断る理由がないため、二人と共にイシュドたちと酒場で夕食を食べる流れとなった。






「んでよ、なんであんたらがここに居んだ?」


単刀直入にぶっこむイシュド。

普通に考えて、留学中である他国の王女が来るような場所ではない。


「先程申し上げた通り、私たちも紅鱗の地の調査依頼を受けたからです」


嘘ではないだろうとは思う。

しかし、だからといってはいそうですかと信じられるものでもない。


「……もしかしてだけど、私たちを気遣ってくれたのかな」


「あん? アドレアス、そりゃどういう………………あぁ~~~~~、はいはいはい……なるほどね~~~。そういう事か」


なんの事かと首を傾げそうになるが、数秒ほど考え込み、イシュドはアドレアスの言葉の意味を理解した。


「そこ二人、勝手に自分たちだけで納得しないでほしいのですけれど」


「ふふ、そうだね。確かに、ここは本来なら学生たちが来る場所じゃない。ましてや……僕が来る場所でもない」


アドレアスの言う通り、バトムスは王女であるフレアに対してどうしてあんたが此処に居るんだと尋ねたが、そもそもな話第五とはいえ、王子であるアドレアスがアルバンカにいるのもおかしな話である。


「そんな場所に、他国の貴い方まで来た……そうなれば、紅鱗の地で人為的なイレギュラーが起これば、どういった反応が起こると思うかな」


「っ、なるほど。そういう事ですのね」


アドレアスがここに居るのもおかしな話ではあるが、それでも自国の王子。

だが、フレアはバトレア王国ではなくカルドブラ王国の王女。

そんな彼女がいる場所で、少しでも人為的な要素を感じさせるイレギュラー起きれば……国際問題に発展してもおかしくない。


仮に、人為的なイレギュラーに巻き込まれたのがイシュドたちだけであったとしても、同じ紅鱗の地という場所にフレアたちが居れば、黒幕を発見次第カルドブラ王国の王女として糾弾、追い詰めることが出来る。


彼女はまさしく、アルバンカ……紅鱗の地においてイシュドたちを良からぬ者たちから遠ざけるお邪魔虫、壁と言える存在となっていた。

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