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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第423話 以心伝心

「ウキャキャっ!!」


「ウキャ、キャッキャッキャ!!」


「っ!!! っ……すぅーーー、はぁーーーーーー…………フッ!!!!!」


人を小バカにする様な動きに、笑い方。

確かに……ウザい。

そう感じたミシェラは、イシュドにあれこれ言われる時と同じくカッとなりかけるも、深呼吸をしてなんとか心を落ち着かせる。


スパイルモンキーたちとの戦闘が始まって約一分が経過。


全員で攻めているが……まだ、一体も倒せていない。

その事実が、スパイルモンキーの強さを物語っていた。


ガルフは護身剛気は使っていないものの、既に闘気は使用していた。

だが、それでもスパイルモンキーの体を少し斬り裂く程度に留まっていた。


(……この猿たち、そもそも……私たちを、倒すつもり……あるの、かしらッ!!!!)


攻撃を仕掛けてこない訳ではない。

予想を外され、ガードという選択肢を強制されることもある。

ただ、今一つこれまで紅鱗の地で遭遇してきたモンスターの様な殺意を感じない。


(あんまり猿系のモンスターと、戦ったことはなかったが……これが当たり前ぇなのか、それともスパイルモンキーに関しちゃぁ、これが本気で戦ってるのか……ちっ、判断が難しいところだな)


戦うのであれば、きっちり自身の仕事は果たす。

今日も今日とて中衛として自身の役割を全うするフィリップ。


そんなフィリップはスパイルモンキーたちの煽りに怒りを感じてはいなかった。

寧ろ、フィリップとしては勝つ為に相手を煽るというのは、立派な戦術の一つだと思っているため、それをモンスターが行っているという事実に感心していた。




(猿如きが、俺を小バカにする、か……………………自分の弱さを、恥じるしかない、な)


ミシェラと同じくスパイルモンキーの行動に怒りを感じていたディムナ。


ディムナの元々の性格を考えれば「猿如きがふざけるな」とブチ切れてもおかしくないが……現状、殺す気で細剣を振るっているにもかかわらず、仕留めるに至るダメージを与えられていない。


それは紛れもない現実。

紅鱗の地に生息するスパイルモンキーという事情を考えれば、いくら彼らが優秀な学生であても倒せないのは致し方ない……と大人たちは思うだろう。


しかし、ディムナは感情に任せて怒ることはなく、そして事情が事情だから仕方ないと諦めてしまうことはなく……ただただ、スパイルモンキーを今すぐにでも殺せない実力を恥じ……そして模索する。


今の自分で、自分たちでどうやってあのクソ猿どもを仕留めるのか。




(ん~~~~~……予想以上に、強いね)


アドレアスはフィリップと同じく、スパイルモンキーたちの小バカにする動きや態度、表情に怒りを感じておらず、ただただ冷静に分析していた。


(強い……強いのに、あまり僕たちを殺すことに積極的ではない……感じ、かな)


油断すれば、魔力を纏った石ころによる投擲だけではなく、体技を発動して繰り出される拳や蹴り、爪技による引っ搔きによって手痛いダメージを受けてしまう。


アドレアスはダスティンほど頑丈な肉体は持っておらず、ガルフの様な強い肉体を持っていない。

まともに食らえば、それが要因となって死に直結する可能性が高い。


(殺す気があまりないからこそ、一歩引いてるから……あまり、カウンターを当てられない…………これまで戦ってきたモンスター、一味違うね)


強さもあるが、その他の点で色々と違う。

そこが上手く攻められない要因となっていた。


(…………っ、そういえば……うん。もしかしたら、それならいける、かな)


ふと、頭の中に「これはいけるのでは?」と思えるアイデアが浮かんだアドレアス。


すると、偶然……偶々フィリップと視線が合った。

その瞬間、理由は解らないが、何故か自分の考えが共有されたと、フィリップも同じ事を考えていると解った。


そして二人は口は……笑みを浮かべながら、口を開いた。


「へいへいへい!!! んな殺すつもりのねぇ、動きや攻撃ばっかりしやがってよ~~。んなので戦いをコントロールした気に、なってんのか!!! これだから猿はどこまでいっても、猿なんだよな~~~」


「フィリップの言う通り、まだ僕たちを一人も殺せていないと、いうのに……あれだけ自分たちが有利だと、思い込んで、笑えるとは……滑稽が過ぎるね」


片方は……なんともそれらしいセリフであり、違和感がない。


ただ、もう片方は容姿的にそういった言葉を口にしていても、ある意味違和感はないが、普段の彼を知っている者たちからすれば、違和感しかない言葉であった。


そんな中、違和感を感じながらも、一人の男が直ぐに二人が取った作戦を理解し……自身も実行することにした。


「猿の浅知恵が、戦況を変えることもあると、聞いたことがあったが……所詮、猿は猿……馬鹿みたいに笑うことしか、能がないようだな」


こちらは……なんとも似合う。

侯爵家の令息らしい超高圧なオーラが滲み出ている。


一人は自分たちと同じく相手を小バカにする様な言葉を吐き、笑った。

そしてもう一人の人間は冷ややかに笑う。

最後の一人は、自分たちとの戦いに勝っていないにもかかわらず、圧倒的上から目線の高圧的な態度を零し、侮蔑の言葉を吐く。


「「「「「~~~~~~~~~~~っ!!!!!」」」」」


スパイルモンキーたちは全個体が人間の言葉を細かく把握するほどの知能はないが、それでもなんとなく解る部分がある。


ただ……今回に限っては、言葉の意味が解らずとも、三人の表情から自分たちを馬鹿にしていることが窺える。


煽る奴は、逆に煽り耐性がない。

そんなアドレアスとフィリップの予想は……まさにドンピシャ。


先程までとはうって変わり、全員が殺気を剥き出しにして前のめりな姿勢に変化。


「本当に、猿は猿ですわね」


まず、戦況の変化に順応したのはミシェラだった。

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