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第42話 コアラの〇ーチ

「纏え《紫電》…神崎流【千片挽華(せんぺんばんか)】」


 パンっという軽い音と共にタツヤの居た場所の地面が捲れ上がり、トーリスが挽き肉へと変わった。


「うへぇ、気持ちわりぃ。人に使うもんじゃねぇなこりゃ。……だけどな、俺の女に手を出したんだ。自業自得だろ。俺は……奪われるのが大嫌いなんだよ」


「勝者、タツヤ・カンザキだよ!」


 タツヤが独白する。

 そして、惨状を目にした周囲の反応とは裏腹に執行者はなんとも明るい声で勝者の名を呼んだ。


「さて、勝者のタツヤくん?報酬はどういう形で渡せばいいかなぁ?」


 執行者が刀に付着した血を拭っているタツヤに声を掛けた。タツヤは執行者を一瞥し


「この世界で使用されている貨幣にしてくれ、勿論領地とかも貨幣に換算しろよ」


 とだけ伝えると刀を一振りしてから鞘へ納めた。


「うぅん、僕もっと敬われる存在なんだけどなぁ。チョーシにのってるとぶっ潰しちゃうよ」


 しかし、タツヤの態度が気に入らなかったのか執行者は随分と物騒な事を言う。だが、タツヤは完全に無視をする。


「ムキーー、謝r…ぶぼっ!?」


 そのせいかさらに煩くなる執行者。だが、何かを言う前にタツヤによって頭を掴まれ、強制的に静かにさせられた。


「黙ってろ、クソコアラ。テメェのモツ抜いて代わりにチョコ詰めんぞ、コラ。さっさと用意しろよ、愚図が。たかがシステムの副産物の分際でほざいてんじゃねぇよ。俺はイライラしてんだよ、分かるか?それに忙しいんだよ、そこの肉塊連れてきた駄神を探さねぇといけねぇから」


 そして、漫画であれば後ろに『ゴゴゴゴゴ』みたいな効果音が付くのではないかと思われる勢いでタツヤに脅される。因みにこの時、勇者達を召喚した某国でいきなり豪雨が降り、その雨を浴びた植物が異常成長して、神の恵みと言われたとかなんとか。


「わかった?だから調子に乗ってないでさっさとしろよ」


 タツヤは頭を握る手にどんどん力を籠めていく。


「ばい!わがりまじだ!ゆるじでぐだざい!ぢょうじにのっでずいまぜんでじだ!」


 執行者は涙を流しながら必死に謝る。相当タツヤが怖いのだろう。


「ならさっさとしろ」

「ばい!ごちらです!」


 ドサドサ


 執行者が腕をふるとそんな音と共に幾つもの袋が出現する。その中身は宝石貨、白金貨、大金貨などの貨幣だ。


「ご苦労。さて、じゃあ、帰っていいぞ」

「はい!お疲れさまでした!またのご利用をお待ちしております!」

「次、仕事が遅かったら殺すから」


 タツヤが言うと、どこかの店のように元気良く挨拶をして執行者は消えていった。

 タツヤは貨幣袋をインベントリに仕舞うと、出口へ向かって歩いていく。


(この中に帝国の皇子は居なかった。いや、敷地内にも。さて、どうするか。個人的には帝国を潰したいからな。今回の件はもしかしたら邪魔になるかもしれないな。

 《記憶改竄》……よし、記憶の改竄は完了だな。してないソロモン達には後で説明しておこう。あと、肉塊は復活させるか。記憶をそのままに)


 タツヤは歩きながら魔導を使い、仕掛けを行う。

 帝国の破滅への足音は徐々に近付いてきている。

今更ながら入試での学力調査の得点を教えてもらえると知り、学校へ行って来ました。

国語の得点だけが異様に高かったです……

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