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第40話 貴族ならタツヤを罵ってタツヤの女をNTRしても良いって本当ですか?

サブタイトルをギャル子ちゃん風にしてみましたw

 キーンコーンカーンコーン


「よし、終わったー」


(((いや、お前寝てたやん!)))


 授業終了のチャイム(此方でもあるらしい)と同時に起きたタツヤが言う。もちろん、ここでも皆の心が一つになった。

 そして、入学式の日である為、この日は学活のような授業で終了する。つまり、タツヤ達はもう帰宅できるのだ。


「シルフィ、飯食いに行こう。それとも俺が作ろうか?」

「作れるのか?」

「フハハ、超得意!つーか、好き、超好き。シルフィも好き、超好き」

「……//」


 タツヤもそれを知っているため、シルフィをすぐに誘う。

 しかも、シルフィも顔を赤らめるという何時もの彼女にあるまじき様子を見せ、クラスメイトが驚愕する。そんな中、一人の(蛮)勇者がそこに突撃する。


 美しい金髪に蒼き瞳。すらりと伸びしなやかな筋肉の付いた肉体を持つイケメンだ。その腰には実用性の無さそうな装飾過多な剣を帯びている。

 因みに現在のタツヤの様子を述べておこう。前髪で目の下くらいまで隠れている。つまり、容姿はあまり良くは見えない。


「やぁ、シルフィさん。僕はワロスバルス帝国侯爵家嫡男トーリス・フォン・デオーチー。そんな男は放っておいて、僕とランチでもどうかな?」


 蛮勇者はまた、ワロスバルス帝国の貴族だった。とことんタツヤに喧嘩を売りまくる国である。

 確かに蛮勇者トーリスはイケメンなのだが、至るところからナルシスト臭が溢れ、自分が特別だと思っていると分かる態度をしている。そして、何よりシルフィに話し掛けるタイミングが悪かった。いくら、今のタツヤが地味スタイルにしているとしても中身はアレである。


「なぁ、出落ち君?今は俺がシルフィと話してるんだ。後にしてくれ」


 なんとも興味の無さそうな声でトーリスにタツヤが言う。

 そんなタツヤに自尊心の高い蛮勇者がキレるのは当然と言えるだろう。


「君には聞いていないさ。大体なんだい?その格好は。野蛮な蛮族のようではないか。これだから下賤の者は……。君の様な者と話していたら彼女が穢れてしまう。離れるんだ!彼女は僕の妻とするんだからな」


 そして、禁句を言い放つ。

『彼女は僕の妻とする』


「あ゛ぁ?テメェ、今なんつった?」

「ふっ、なんだい?怒ったのかい?下賤な者よ。僕は君を下賤と言ったんだ。それとも、彼女は僕の妻とするという言葉に怒ったのかい?まさか、君は彼女の様な高貴な女性と付き合えるとでも?……ふふ、まさか生まれどころか頭まで悪いとは……いや、顔も悪いか。そんなに隠しているんだから」


 低い声で聞き返すタツヤに蛮勇者は見下すような笑みを浮かべながら言う。それと、タツヤは別に頭が悪くは無い。確かに日本の学内の定期テストでは30位以上20位以下という順位だったが、元々学校のレベルが高かったので、公立上位校であれば上位の成績を取れるレベルの頭脳だ。しかし、そんな学校なのにあんな馬鹿が居るのか?と疑問に思うかもしれないがレベルが高いだけで入るのはかなり簡単なのだ。

 それはさておき。

 蛮勇者はタツヤに色々と言い過ぎた。


「『彼女は僕の妻とする』?調子に乗るなよ、性病野郎。ぶち殺すぞ?」


 先程よりも低い声でタツヤは言う。

 そして、前髪を上げ立ち上がり、トーリスの前に立ち、椅子を一発蹴る。いや、蹴り砕く。


「第一、シルフィは俺の女だ。

 それにさっきから下賤だ何だと随分と罵ってくれたなぁ」

「きさ、貴様!僕に…侯爵家嫡男の僕にこな、こんな事して許されると……『バン!』ひぃ!」


 タツヤが机を殴り、そのまま机は砕ける。


「赦す、赦されるじゃねぇんだよ」


 タツヤの周りに幾つもの色が纏わり付く。

 その時。


「いやぁ、何やってるんだい?」


 気の抜けた言葉が聞こえる。

 ソロモンだ。


「タツヤくぅん。君かぁ。うん、理解したよ。止めてくれないかなぁ」


 ソロモンは教室の中に扉の近くからタツヤに呼び掛ける。

 しかし、タツヤはチラリと彼を一瞥する。


「なぁ、ソロモン。邪魔すんじゃねぇよ。コイツは人の女に手を出そうとしたんだよ。それならちゃんと話すのが筋ってもんだろ」


 そして、そこで言葉を切り、タツヤは蒼き焔の槍と紫電の槍を幾つも展開する。その槍が照準されているのは……ソロモンだ。


「それをどうしても邪魔するってんなら……テメェでも殺すぞ」


 展開されながらも未だに供給されている魔力と、既に込められている魔力。そして、タツヤの腰にいつのまにかある【皇華】がタツヤの言葉がはったり等ではないと証明している。


「僕はこれでも学園長だから退くわけにはいかないんだよねぇ…」

「そうか…。なら死ね」

「ちょ、ちょっと待とうか!でも正当な理由があれば大丈夫」


 カッコイイ事を言ったソロモンだが、すぐに手のひらを返す。


「ふぅん。なら、こいつが俺に何かをしたと証明すればいいんだな。よし、なら良いのがあるぞ。コイツはさっきから貴族が下賤がと五月蝿くてな。なら、俺も身分を明らかにしようかと思う。

 俺はアドル王国皇爵、これ紋章と国王の証書ね」


 タツヤはインベントリから紋章の入った時計やら証書やらを取り出す。前にシルフィに見せたのと同じものだ。


「んで、数ヵ月後に国王になる」


 その瞬間。

 クラスメイトは思ったそうな。

「これ、トーリス終わったな…」と。

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