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第28話 神殿

「なあ、男嫌いの会長さん?」


 タツヤは少し後ろを歩いているシルフィに喧嘩を売っているとしか思えない言葉で話し掛けた。その姿は隙だらけのようでまったく隙がない。矛盾しているがそうとしか言い表せない。それと、一応言っておくと二人が居るのは街の中だ。


「……なにかしら」


 シルフィはジト目でタツヤを見ながら返事をした。

 タツヤはその表情を見て「うん、個人的にかなり好きだな!こいつセ〇ス先輩っぽいし!」と下らないことを考えながら、シルフィの方を向いた。実はこのタツヤ君。ああいう娘がタイプだったりする。


「いやぁ、行くって言ってたけど準備出来てるのかなぁってね」

「準備はできてるから問題ないわ」

「そうか。なら良かった。じゃあ早速行こうではないか」

「今は夜よ?門が開いてないわ」

「関係ない!ということで《転移門(ゲート)》」


 タツヤはシルフィの言葉をバッサリと切り捨てると道の真ん中で転移魔導を発動した。


「さて、行きましょうかお嬢様?」


 タツヤはおどけたよう(完全にそうなのだが)にシルフィに礼をした。はっきり言おう。傲岸不遜傍若無人唯我独尊を地でいく慢心をしない慢心王の如くチートなタツヤがそんな事をしてもまったく似合っていない。いくらふざけてやっているとしてもだ。恐らく和眞たちが見れば爆笑するだろう。「似合わねぇ!」とか言って。まあ、その場合は少し睡眠をとることになるだろうが。


「転移魔法!?」

「ほら行くぞ、お嬢様。人に見られるとめんどくせぇんだからなコレ」

「え、ええ」


 《転移門(ゲート)》に驚き、少しフリーズしているシルフィにタツヤは声を掛けると門へと入った。シルフィもそれを見て小走りで門へと入った。



 さて、ここで転移魔法(以下甲)の事を説明したいと思う。

 現在甲を使えるのは帝国の者とタツヤの二人のみだ。しかし、この二人が全く同じように転移を使えるかと言うとそうではない。これは使用者(以下乙)が違っても同じだ。

 まず、甲を使用し乙が転移するにはいくつかのプロセスが必要になる。それは甲の幾つかの使用法にも関係する。

 さて、それでは解説をはじめよう。

 甲の使用用途は名前の通り【転移】である。

 しかし【転移】には魔力の他にとあるものが必要になる。それは座標確認である。

 これは二つの方法で可能だ。

 1つ目は行って事のある場所を思い浮かべること。

 二つ目は転移先の座標を割り出すことだ。

 これが先に述べた同じようには使えないということの原因となる。

 甲の使用プロセスは簡単にすると以下の様に表せる。

 ①現在位置の座標確認

 ②転移先の座標確認

 ③使用魔力量計算

 ④魔法詠唱

 ⑤転移先の座標を詠唱中に確定

 ⑥転移対象確定

 ⑦転移魔法発動

 この内の②が先程述べたものだ。

 同じように使えない理由は②の方法の難易度が前者と後者で違いすぎるからだ。

 例としてタツヤと帝国の人(Αさんとする)を使用し、比較するとこうなる。


 Αさん……前者【可能】

 後者【半径5㍍以内なら可能】

 タツヤ……前者【呼吸をするかの様にできる】

  後者【呼吸をするかの様にできる】


 これでお分かり頂けるだろう。

 転移魔法は個人差が大きいのだ。

 と、まあ長ったらしく話をしたが簡単に言えば【転移魔法は個人差があるよ!】ということだ。

 それと座標確認の二つのメリットなどを記すとこうなる。


 前者─〔メリット〕【転移成功率が高い】

 〔デメリット〕【転移先に行かなければならない】

 後者─〔メリット〕【行き先はほぼ無限(同世界内のみ)】

 ─〔デメリット〕【座標計算が必要。転移失敗の可能性が高い。難しい】


 もちろん、タツヤからしたらどちらも変わらない難易度だ。







 ◇◇◇◇◇


「おお!すげぇな。俺もそのうちこんな物造られんのかな」


 タツヤはダンジョンと化した旧神殿を見て言った。以外と外観は綺麗なのだ。因みにタツヤが最後に言ったことだが既にヘファイストス主導で神界の一番良い土地にタツヤの居城として神殿が造られている。しかも、意外にデザインが上手いアザトースさんが家具のデザインを考えている。


「まあそんな事よりも行くか。準備はいいんだな?」


 タツヤは少し離れた所にいるシルフィに声を掛けた。


「大丈夫よ」

「そうか。なら取り敢えずヤツの所まではさっさと進むからキツかったら言えよ。それと一応な。《強化(ブースト)加速(アクセル)》、《敏捷強化(アジリティブースト)》、《筋力強化(ストレングスブースト)》、《完全反射(オールリフレクト)》、《零術式(ゼロ)》、《魔法無効(アンチ・マジック)》、《物理無効(アンチ・フィジックス)》、《全身体能力強化(フィジカルブースト)》。ほい終了」

「あ、ありがとう。あなたはやらないの?」


 タツヤはシルフィの言葉を聞くとどう考えても過剰なくらいに魔導を彼女に掛けた。彼女は感謝を伝えるとともにタツヤに質問をした。確かに自分には何一つ使用していなかったからだ。

 それを聞いたタツヤは「やっぱ、こいつ男嫌いなんじゃなくて男が苦手なだけか?」と思いながら首を振った。


「さて、行くぞ」


 タツヤは神殿へと入った。


 神皇による神殿の蹂躙が始まる。





タツヤが優しい!?

明日は聖剣魔剣聖槍魔槍聖槌魔槌聖斧魔斧聖弓の矢魔弓の矢聖杖魔杖が降るのか!?

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