第14話 神崎、国家元首になるってよ
「取り敢えず、国王のとこ行くか」
「あれ、放っとくのか?」
「当たり前だろ。今行ったら犯されるわ」
「うん、行ってこいよ。学校中の男子の憧れだぞ☆」
「和眞、一回死んでみる?生き返るから大丈夫だぞ」
「嫌だわ!つーかお前蘇生魔法なんて使えんのか」
「あんな初心者術式使えない方がおかしいと思うけどな」
そんな事を言いながら達也達は国王の元へと向かった。
国王の執務室。そこは一部の者しか入る事を許されず、また厳重な警備がされている場所でもあり、ある種の神聖な場所でもある。
「たのもー!!」ドカァン!
しかし、それは人間においてであり、神皇には全く関係の無い事だ。そう、神皇の達也にとっては。
達也は扉を蹴破ると中に入っていった。後ろには和眞、美乃、セバスがいる。
「待たせたな!俺!参上!」
「なんか色々混ざってるぞ」
「はっはっは!気にするな!
さて、国王!久し振り。んで、1つ訊きたいんだが星名と佐藤は何処だ?ここに居んだろ?出せ」
中に入るや直ぐにネタをぶちこむ達也。和眞はそんな達也に冷静に突っ込みを入れる。だが、達也はそんな事は気にするなと言うと直前までのふざけた感じから一変し、口調は軽くとも、神の皇に相応しい威厳を漂わせながら国王に質問いや命令をした。
「お、おお生きていたのか。」
国王は少し噛みながらも達也の生存に対しての驚きを口にした。達也に萎縮せず、声を出せたのは有能なこの国王故か。しかし、達也が聴きたいのはそんな驚きの声では無く、星名達の事だ。
「そんな事はどうでもいい。あの二人はどこだ。それと、男子の勇者は中庭で死に続けているから見てくるといい。アイツらにストレス溜まってたんだろ?
っと、それよりアイツらを連れてこい。断罪のお時間だからな」
「………いま、連れてこさせる。それまで、話をしないか?」
国王は騎士に星名達を連れてこさせる間に達也と話をしようと持ち掛けた。達也はそれに笑って答えると、魔導で椅子とテーブルを創り出した。
「セバス、ドラゴニアンハーブティー淹れてくれ。国王にもな」
「っ!?ドラゴニアンハーブティー!?あの幻のアレか!?」
達也がセバスに何気なく最近気に入っているハーブティーを頼むと国王が立ち上がりながら叫んだ。
ドラゴニアンハーブティー──それはドラゴニアンハーブと呼ばれる上位竜以上の竜又は龍の棲みかにのみごく稀に生えるハーブで、今まで市場に出回ったのは数回。正に幻のハーブだ。また、このハーブはその棲みかの竜達によって味が変わる。
「幻かどうかは知らんな。
それで、話だったな。何を聴きたい?あ、それと話す前に言っとくが俺とアンタが対等だと思うな。もちろん、俺が上だ。まあ、話を聞いたら是が非でも納得することになるがな」
達也はそう言うと、国王に最近──爵位と昨日の事を除いて話を始めた。途中、達也のステータスを見て国王が叫ぶ事があったが、比較的落ち着いて話は進んだ。
「さて、以上が俺個人としての話」
「個人?」
「ああ。次からは国同士の話だ」
「国?」
「イングラシア王国とアドル王国。この場で言えばイングラシア王国ヒルベルト国王とアドル王国カンザキ皇爵だな。因みに皇爵は国王以上だから実質俺がアドル王国のトップだな。アイツらに丸投げするけど。
と、それよりもだ。
昨日勇者加島と勇者我妻が我が国セフィロダアト神皇国──あ、数ヵ月後の世界会議で名前変わるらしいよ。いや、まさか俺の領地が国全体とは思わんかった。いや、それよりも。現アドル王国第二王女エレーナに対し性行為の強要未遂及び次期セフィロダアト神皇国国皇、現アドル王国皇爵の俺に対しての攻撃。どう責任取ってくれる?こちらとしては処刑で良いかなぁと思ってるけど。それと中庭は後で直すから怒らないでね。あと、不法侵入とか言わんでね。俺は勇者として戻ってきただけだし。
それで、どうする?戦争やる?」
「いや、まあ初耳の事が多いのだが………。もし、戦争をするとしたらどれくらいでこの国を滅ぼせる?」
「ほぼタイムラグ無しでいけるぞ。なに?戦争するの?」
「いや、しないさ」
「ではどうすると?まさか俺が処刑と言ったが本当はしないなんて思ってないよな?一応言っておくとアドルで一人えげつない処刑をしたんだが。それにあの二人は男子勇者の中でも頭どころか空飛ぶ勢いで評判悪いよな?合法的に処刑できる良い機会じゃん」
「少し………待ってくれないか。」
「………まあ、良い。それより何か聞きたそうな顔だな」
「ああ。国が君の物となったら今の王族はどうなるのかと思ってな」
「ああ、その事か。殆ど変わらねぇよ。俺をトップとするから皇族に変わって、エレーナはまあ、王妃だろ?そんで現王族は皇佐族となって皇族の下で国の運営をする。俺はたまに運営、他は旅だな」
「なるほど」
「勇者ホシナと勇者サトウを連れて参りました!」
二人の話が丁度終わったところで二人の勇者がやってきた。
加害者と被害者の再会である。




