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第4話 再会と断罪1

「いらっしゃいませ、宿【黎明館】にようこそお越しくださいました。ご宿泊ですか?」


 タツヤとエレーナが宿の中に入ると男が声を掛けてきた。タツヤはなんだかんだで初めて宿に泊まるので、「おお、こんな感じなのか」と思っていた。


「ああ、取り敢えず一人部屋二つを2泊頼む。それと食事はどうなっている?………それと、エレーナはアッチで座っていてくれ」

「わかりました」


 タツヤは前にラノベで読んだのと同じ感じで男に答えた。「あ、でもお約束なら貴方に払えますか?的な事言われるかなぁ?」とか思いつつ。


「畏まりました。一人部屋二つ2泊で合計で40万Zrの金貨4枚になります」


 40万Zr──日本円にして四百万円だ。まあ、妥当な所だろう。この宿はこの街で一番高級な宿なのだから。


「はい、じゃあこれで」


 タツヤは【絶対神の外套(アブソリュートコート)】のポケットから無造作に金貨を取り出すと男に渡した。「お約束は?」と思いながら。

 ここで説明しておくと、現在タツヤは武器を携えてはいないものの、外套の下に軽革鎧を着けている。これはタツヤの最高装備である。よってそれは世界最高の物である。

 そして、お約束が無い理由だが、店員の男が見た目で判断せず、タツヤの装備の品質と身のこなしに気が付いたためだ。


「確かに。では此方に記帳して頂けますか」

「わかった。……これで良いか?」

「はい。ありがとうございます。こちらがお部屋の鍵となっております。外にお出掛けになる際はフロントにお預けください」

「わかった」

「それでは、ごゆっくりとお過ごしください」





「えっと、エレーナは何処だ?」


 タツヤは待たせているエレーナの方に向かっていった。

 すると、男女の言い争う声が聞こえてきた。


「なあなあ、良いじゃん!俺らと遊ぼうぜ?」

「俺ら勇者だから、君は勇者の女になれんだぜ?」

「いえ、興味が無いので。離れてくれませんか?人を待っているので」

「待ってるのって男?そんなの別に良いじゃん。それよりも行こうぜ!」

「きゃあ!」


 ───勇者。男達はそう言った。

 タツヤは男達の顔を見ると、思わずといった感じで


「勇者、勇者ねぇ。端から見ると無理矢理女を襲っている塵にしか見えないなぁ。

 なあ?加島、我妻ぁ?」


 ニヤリと笑いながら呟いた。悪い顔をして。


(折角だ。

 ここは異世界だ。今までのお礼と行くか。

 後は………そうだな、ついでにイングラシア王国に挨拶をするか。手土産は塵勇者と神皇様でいいな。

 それにアイツらの事だ。俺がエレーナに声を掛けたら喧嘩売ってくるはずだ)


 タツヤはそう考えると外套のフードを被り、眼鏡をした。眼鏡を掛けただけでは彼らもタツヤだと気付くのではないかと思うかも知れないが、タツヤは地球では前髪を伸ばしていたので、分からない。


『エレーナ、聞こえるか?声を出すなよ?今は念話で話してる。何か言いたい事があれば脳内で念じてくれ。

 あと、そいつらは本物の勇者だからな?そんで、ちょっとだけ、そいつらには借りがあるから返そうと思う。その過程でイングラシア王国に行ってくる。

 それと、今から声を掛けるけど、俺の事はオスロと呼んでくれ。わかったか?』

『わ、わかりました!』

『よし、じゃあ始めるか』


 タツヤは念話でエレーナに作戦を伝えると遂に行動を始めた。しかし、なぜにオスロ?あれか、某果実系エロゲーのアイツか?


「エレーナ、部屋の鍵を貰ってきたぞ」


 タツヤはエレーナに近付くと、声を掛けた。そして、タツヤの予想通り、加島と我妻は喧嘩を売ってくるのだった。


「なんだ、テメェ?俺の女に声かけてんじゃねえぞ?」

「俺ら勇者だからな?お前らを守ってやってる。誰に喧嘩売ってんのかわかってんのか?あぁ?それに俺らは貴族でもあるんだよ。」


 タツヤは笑いそうになりながらも言い返す事にした。この後はただの言い合いとなった。


「あ?だからどうした?雑魚勇者。

 それに誰がテメェの女だって?エレーナは俺の女じゃ、ボケ!オナニーのしすぎで頭イッてんのか?そんな残念な頭なら一回取り替えとけや」

「んだと、ゴラァ!」

「ぶっ殺すぞ!」

「はっ!何言ってやがる。殺れるもんなら殺ってみろ。どんな武器を使うかはしらねぇけどな?さすがにその股間に付いてる残念な聖剣とは比べ物にならないような物だよなあ?勿論。まあ、それはゴブリンの持ってるナイフよりもゴミだろうがなぁ?

 それに言い方が三下臭溢れすぎて臭いぞ?一回、体洗ってこいよ。いや、これは洗った所で落ちないな。かといって焼却しても有害な物がでそうだからそれも無理だし………」

「テメェ!殺す!」

「実力の彼我の差くらいわかってからそれを言えよ」

「何だと!テメェみたいな雑魚に言われたくねぇよ!」

「雑魚かどうかなんてやってみないとわからねぇだろ?それとも何か?『僕は勇者だから最強なんでちゅ』ってか?アホか。

 それに貴族どうこう言ってたな?どうでも良いわ!

 取り敢えず、お国に帰れや。俺も行ってやるから。「死ねぇ!」五月蝿いなぁ。それに貴族がどうこう言ってるなら自分より高位の貴族にやったらどうなるか分かるよな?

 まあ、取り敢えず《転送》。『シュン』

 エレーナも一緒に行くか?」

「はい。行きます!」

「そうか、じゃあ俺の腕に触れてくれ。

 よし、《転移》」


 こうして、勇者二人と神皇と王女は宿から姿を消した。



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