第25話 大侵攻?いえ、戦争です3
「タツヤ?」
エルドがタツヤの言葉を聞いて呼ぶ。
「殺ってやるよ。その代わり、ちゃんと報酬を用意しておけよ」
「ってことは……」
「ああ、防衛戦に参加してやるって事だよ。さてと、まずはギルドでも行ってくるかね」
タツヤはそう言うと部屋から出ていった。………窓から。
さて、所変わってアドル王国冒険者ギルド本部。
そこでは冒険者達の怒号と職員の声が飛び交い、慌ただしい雰囲気がでていた。
「おい!モンスターの規模はどうなってんだ!!」
「君!手が止まってるよ!あと、そこの君はポーションの在庫確認して!」
「高位冒険者の受注状況は!?」
「現在、この町にいる中で一人を除いて受注しています!」
「誰がまだやってないんだ!?」
「XXXランクの『絶対者』です!」
「はっ!?XXXランクが受けてない!?オイオイ、それはさすがにキツいぞ」
「ミーシアちゃん!どうしたんだ?」
「ガゼルさん!実は──」
「それはキツいな。そいつが何処にいるか分かるか?呼んでくる!」
「は、はい。恐らく王城にいると思います!」
「王城!?なんでそんなとこに………まあ、いい、行ってk「その必要はねぇよ」なんだ、お前さん、まだ、子供のようだが」
そんな中、タツヤが依頼を受注していない事を知った男がタツヤを呼びにいこうとした。
「あ?お前らの探し人様だよ」
「お前さん、なにを言ってるんだ」
「今はいいだろ、そんな事。どけよ、オッサン」
「おい、誰がオッサンだ俺はまだ「指名依頼を受けにきた」
しかし、到着したタツヤによってそれは止められ、オッサン呼ばわりされた。
タツヤはオッサンを無視すると受付嬢──ミーシアへと話掛けた。
「あ、はい。それではカードを……XXXランクっ!?」
「あ、そういうのいいから早くして」
「は、はい!少々お待ち下さいっ!─ルミナ、ギルドマスター呼んできて!」「はいっ!」
ミーシアはタツヤのランクに、驚きつつも別の受付嬢に、指示を出して、支部長を呼びに行かせた。
「タツヤさん、これで受注完了です」
「ん、ありがと。さてと、殲滅してくるかね」
「ま、待って下さい!開始までにはまだ時間がありますし、それに距離も!」
タツヤは受注を終えるとすぐにモンスターと戦いに、行こうとしたが、ミーシアはそれを時間や距離の問題で止めた。しかし、忘れてはいないだろうか?XXXランク冒険者『絶対者』の従魔が一体何なのかを。タツヤの従魔は神代龍と呼ばれる最古にして最強の龍であるということを。
「問題は無いな。それにウチの従魔は皆優秀だしな。それに………これはもう、大侵攻のレベルじゃなくて、戦争のレベルだろ?悪魔と人類の。それとも勇者をその戦争のために召喚しておいてモンスターの大侵攻は戦争とは関係ありませんとか言うなよ?悪魔はモンスターを率いるっていうのは常識なんだから。大体名称が悪いよな。今までのやつを大侵攻じゃなくて大氾濫とかにしとけば今回見たいな時は楽なのに。──おっと、愚痴になっちまったな。まあ、兎に角大丈夫だから行かせてくんねぇ?」
「し、しかし……」
「ダメよ」
タツヤがそれをミーシアに伝えて行こうとすると、女の声が聞こえた。タツヤはその声の主の女を見た。──そこにはダークエルフがいた。
「あんたは?」
「アドル王国冒険者ギルドギルドマスターのエヴァ・フリュクベリよ」
「……はい、テンプレキター」
「?」
しかも、そのダークエルフはギルマスだった。そして、タツヤは思った。冒険者ギルドのギルマスって美女か、オッサンか、ジジイで固定だよね………と。思わず、呟いてしまったタツヤの声にエヴァは反応したが、なにを言ってるのかわからなかったのかスルーしていた。




