第19話 発見
「さあ、ここが我が家だ!」
「あ、うん。我が家というか城だね」
タツヤは王都に入り、貴族門にあった馬車にのり、王城に向かった。そして、王城につき、降りた時のディートヘルムの一言がこれだ。タツヤはディートヘルムに突っ込んだが1つ忘れてはいけない事がある。それは、自分の家も城と言えるということだ。
そして、思うのだが、タツヤとディートヘルムは意外と似た者同士なのでは無いだろうか?適当なところとか。
「ところで何で俺は王城に来てるんだよ。帰っていいよね?俺、依頼受けて来ないといけないんだけど」
「帰るって何処に?というかお前、ここに泊まるんだぞ」
「は?聞いてねぇよ、そんなの」
「あと、何か褒賞を与えねぇとダメなんだよ、一応国王だから」
「いらない。褒賞をくれるなら今すぐ帰らせろ」
「ハッハッハ、無理」
「父上、お帰りなさいませ」
タツヤとディートヘルムが話して(言い合って?)いるとイケボが聞こえた。乙女ゲーの声優でもやったら相当売れるのでは?とタツヤは思ったが忘れてはいけない。タツヤも同じだ。
「?此方の方は?」
声のしたほうを向くと銀髪に青い目のイケメンがいた。その男を見たタツヤは
「え?慢心王?」
と呟いた。
それもその筈、男はどこぞの慢心王に似ていた。タツヤは内心で「流石にここまで来ると恐ろしいな」と思いながらもどうにかあの台詞を言わないようにしていた。
「ああ、こいつはタツヤだ。道中に助けてもらった」
「そうですか、ありがとうございましたタツヤ殿。父上が迷惑を掛けて申し訳ありません」
「俺が迷惑かけた事は確定なのか!?」
「当たり前です。まったく……夜中にまだ練度の低い兵をつれて城を抜け出すとは………さらにエレーナまで連れて!その上馬車が無いということは襲われましたね?さらに数週間居なくなるなど!それでタツヤ殿のお世話になるなど!アホですか?いや、父上はアホでしたね!僕とポールがどれだけ苦労したと思ってるんですか?仕事はやりっぱなしで書類が散乱しているなかから重要書類を探す僕らの苦労が!」
「おい、心配とかは無いのか!?」
「あるわけ無いでしょう!エレーナだけですよ!僕らが心配したのは!父上はしぶといから死なないでしょうからね!」
ディートヘルムがタツヤを紹介すると男が礼を言ったが、ディートヘルムがある一言に対して突っ込んだ事で軽く口論になった。タツヤはそれを聞きながら「この人、自分の事我とか言わないんだな。あ、でも名前聞いてねーわ」等と思っていた。まったくもってくだらない事である。
「あ、すいませんタツヤ殿。まだ、名乗ってませんでしたね。僕はエルド・ヴァレン・フォン・エンベルガー。一応王太子だね」
「ん、ああ、俺はタツヤ。一応XXXランク冒険者になるな。それとタツヤでいい」
「え!ということは『絶対者』ってタツヤの事だったの!?」
「なんだよ、それ」
「二つ名だよ。高ランク冒険者とかはそういうのが付けられるんだ。それとタツヤの『絶対者』の由来は龍を従え、攻撃を無効化したかららしいよ」
「マジか…………」
そして、遂に男───エルドが名乗ったと思ったらタツヤは軽くダメージを受ける事となった。しかし、『絶対者』とはピッタリではないか。まあ、とてつもなく厨二くさいが今更である。神だの神皇だの魔導だの。
「っと、忘れてた。父上、イングラシア王国から連絡があり、勇者の件で協力してほしい事があるそうです」
タツヤはエルドの言った国名を「何か、聞いたこと有るような?」と思いながら話を聞いた。
「協力?稽古を付けてくれとか?」
「それも有りましたが、もう1つ。生死不明で行方不明となった勇者『タツヤ・カンザキ』の目撃情報の収集および捜索を手伝ってほしいとの事です」
「タツヤ?」
タツヤは話を聞いてやっと思い出した。あ、イングラシア王国って召喚された国じゃん、と。そしてそんな事をしているとディートヘルムがタツヤを見ていた。そして、
「まさかお前………勇者、なのか?!」
ディートヘルムはタツヤに問い掛けた。それに対するタツヤの答えは
「まあ、そうだな」
と、軽かった。
はい、バレました。




