第14話 アイリスちゃん
「ふぅ、旨かった」
「それは良かった」
タツヤ達は昼食を食べた。国で旨い飯を食べていたディートヘルム達も満足いや、恍惚とする程の物だ。まあ、高位モンスターの肉などそうそう手に入る物ではないので当たり前なのだが。それに料理した者のレベルも違うのだから。
この世界での料理はスキルレベル と各人の技量と経験がかなり関係する。実は《料理スキル》というのは料理の腕前だけを示すのではない。確かにSLが高ければ高いほど旨いが、それ以上に食材を理解し上手く使える様になり、調理法が分かる。例えば料理初心者の小学生と世界レベルで認められているプロが最高級の牛肉を使って料理をしたとする。そうすると小学生の作った方は勿論、最高級の肉なのでそれなりには旨いが、プロには勝てないだろう。まず、これが技量と経験だ。次に《料理スキルLv. A》を持った子供と《料理スキルLv. E》を持ったプロが居て、最高級の肉を使って料理を作ったとする。その場合、どちらの方が旨いのだろうか?SLの高い子供か、それともSLは低いが経験のあるプロか?
答えは子供の方だ。確かに経験によって補える事もあるが、それ以上にスキルによって食材を理解し上手く使える子供が作った料理の方が旨い。これがskill levelの関係だ。また、これは一部のスキルに共通して言える。主に生産系の物だ。
そして、以上の事からタツヤの方が旨い飯を食べている理由が分かっただろう。アドル王国の王宮の料理長のSLがAで料理人歴が35年なのに対してタツヤの料理人は一人を除き全員SLはSSSで色々な世界の料理人と神の経験を融合し最適化してある。つまり上位神レベルのスキルと経験を持つ者と最高神のスキルと経験を持つ者こそが『玲瓏の館』の料理人ということなのだ。本当に頭の可笑しい面子である。しかも神皇なのだから料理の神に頼めば来てくれるのでさらに飯のクオリティが上がる。
「ん、おい、待て!出てくるな!」
食堂でお茶を飲んでいるとディートヘルムが変な声を上げた。それをタツヤは不審者を見る目で観察した。当たり前だと思う。いきなり変な事を口走り始める大人を見ればクスリでもやってるのかと疑うだろう。しかし、そんな目で見ているタツヤには気付かずディートヘルムは変な声を上げるばかり。割りと本気でタツヤが『こいつ、ヤベェ奴だ』と思い始めたころ、聞いた事のない声が聞こえたと、いうより知らない者がいた。
「んー、お腹減ったのじゃ!愛し子、ご飯なのじゃ!」
そう、幼女がいた。見た目は忍〇忍をそのまま小さくした感じ(5歳くらい)だ。それを見たタツヤは
「はい、ゴールデ〇チョ〇レートだよ」
いつもの『国王?なにそれおいしいの?』的な行動はなりを潜め、幼女を餌付けする変態のようになっていた。いや、まあ完全に幼女の容姿を見てふざけてどこぞの小さくなった鉄血熱血冷血吸血鬼の好物を与えただけなのだが。因みにゴー〇デンチョコ〇ートは創造魔導で創造されている。理由としてはミ〇ドのドーナツが食いたかったかららしい。本当に能力の無駄遣いをしすぎである。ふざけてんのか?
まあ、文句はこれくらいにしておき。
「ん?ありがとうなのじゃ!………もぐもぐもぐもぐ」
幼女はタツヤからドーナツを貰うとすぐに食べ始めた。そしてそれを見たディートヘルムは
「旨そうだな!タツヤ、俺にもくれよ!」
とタツヤにねだった。タツヤはそれを拒否すると自分もポ〇・デ・リ〇グを食べ始めた。その間ディートヘルムが五月蝿かったのは言うまでもない。そして、幼女はドーナツを食べ終わるとお礼を言おうと改めてディートヘルムと言い合っているタツヤを視た。
「くれよー」
「…………うるせぇ」
「俺も食いたい!」
「黙れ、消し飛ばすぞ」
「…………え?ええええええ!!!?」
「ど、どうした!アイリス」
「ん、おかわりか?」
そして、幼女──アイリスは大声を上げた。それを聞いたディートヘルムは何故か焦り、タツヤはハ〇ーチ〇ロを食べながらおかわりかと聞いた。
「おい、アイリスに上げるなら俺にも!」
「い、愛し子!やめるのじゃ!不敬じゃぞ!『ガンっ!』「痛っ!」
「妾の愛し子がすいませんなのじゃ!どうか殺すのだけは勘弁してほしいのじゃ!」
そして、それを聞いたディートヘルムがタツヤにねだった。どんだけドーナツ食いたいんだ。
アイリスはそのディートヘルムの態度を見るとディートヘルムの頭を殴り土下座をした。幼女を土下座させるタツヤ………変態か!?
「な、何だよ!アイリス!」
「うるさいのじゃ!黙るのじゃ!」
「お、おう」
それを殴られたディートヘルムがアイリスに問い掛ける。しかし、アイリスはディートヘルムを怒鳴りつけた。ディートヘルムもそんなアイリスを見て黙った。
「そ、それで、何故貴方様がこの様な所に?」
ディートヘルムが黙ったのを確認したアイリスは少々怯えながらタツヤに質問した。それを見たディートヘルムが「何故、神剣であり神の一柱であるアイリスがこんなに?」と疑問に思っているのだが、アイリスはそれに気付かない。いや、気付けないというのが正しい。いくら剣となろうとも神の一柱であるアイリスはタツヤを改めて視た時にタツヤが神々の皇帝たる神皇である事が分かった。そんな神物が目の前にいるのだ。緊張するのは当たり前だろう。
そして、ディートヘルムが遂にタツヤに質問した。
「タツヤ、お前って何者?」
さあさあ、変なしゃべり方の幼女が出てきましたよ!本当に変なしゃべり方です。
なのじゃ!をつけまくってます。




