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謹賀新年

結構急いで書いてるんで、いろいろおかしいです。


それと、遅れてすいません。

「うぇーい、あけおめー」

「軽いな、賢也。随分新年が嬉しそうだな。それとあけおめ」


 新年早々。それも朝6時に突然押し掛けてきた親友を前に達也はそんなことを言った。

 なんで、こんな時間に来たんだ……などという野暮なことは訊かない。何故なら遠くに見える(無駄に広い)庭のその先、神崎家の門のところに止まる黒塗りの高級車を見てしまったから。


「ふふふ、当たり前だろう!達也よ!

 新年だ!つまりはあれだ!お年玉パーリーだ」

「ふーん」

「反応薄いなぁ!」

「いや、普通だろ。それに俺は金に困ってないし、逆に増えてて使う機会もなく困ってるし」

「うわっ、金持ちかよ」

「お前も金持ってんだろ、極道の息子」

「あのなぁ……確かにウチはそれなりにヤル時はヤるけどヤクもチャカも捌かねぇし、収入源は基本的に不動産収入くらいしか……」

「嘘つくなアホ。

 ヤクもチャカもたっぷりやってんだろ。それに企業牛耳ったり紛争ダイヤ持ってきたりで随分儲かってるそうじゃないかよ」

「その金は俺には入ってこねぇよ。

 だが、だがな達也よ。年始はお年玉が貰えるんだ」

「へいへい。

 んで、お前が来た理由はその服装を見てだいたい察してるけど一応訊くわ。なんの用?」


 達也は熱く語る賢也を軽くあしらい、早朝に神崎家を訪問した理由を問う。


「もちろん……初詣行くぞ、達也!」


 賢也は笑顔でそう言った。




















 ◇◆◇◆◇


 神崎家や賢也の実家の(おおとり)家があるのは首都の中心から外れた地方都市である月夜市だが、達也たちが訪れたのはその月夜市にある神社……ではなく、車で凡そ3時間ほどの隣町にあるそれなりに有名な神社。


 参道には屋台が並び、人でごった返している。

 その中に、周囲から浮いている二人組が居た。


「てか、お前新年会とかあんじゃねぇの?」

「あー、それ明日な。なんか親父が元旦くらいノンビリさせろって明日にした」


 黒系で纏めた達也と、何故か紺の和服を着た賢也だ。

 達也は言わずもがな、賢也も中々に整った顔立ちをしているため実に目立つ。ちなみに、二人の友である御刀みと悠真ゆうまは現在北海道に居るため不参加だ。


「にしても……混んでるよな」

「まぁなぁ……元旦だし。お、かわいい子発見!」

「ナンパはヤメろよ。めんどくさい事になるし」


 華やかな和装の女性を見て若干興奮しつつある賢也を達也は宥める。それと、このめんどくさい事とは数ヶ月前の花火大会で賢也のやらかしたナンパ(というよりリア充の空気にあてられてやけになったようなもの)によって相手の女性(というより同年代だから少女?)が本気になる&イキってる男の子が絡んでくるという事象を指している。


「えー」

「えーじゃねえよ」


 唇を尖らせる賢也を小突きながら達也はついさっき買ったフランクフルトを齧る。

 パリッという音と共に肉汁が口の中に溢れる。


「ウマそうだな。一口よこせッ!」

「やるか、アホ。お前も買えば良かっただろ」


 そんなやりとりをする二人。

 だが、達也と賢也。この二人はこの後に起こる悲劇を知る由も無かった。

 しかし、賢也は察しておくべきだった……達也と共にどこかへ出掛ける。それがなにを意味するのかを。







 ◇◆◇◆◇


「今年は変な奴に絡まれず、何事もなくすごせますように」

「彼女が欲しい」


 達也と賢也。

 二人は並んで賽銭を入れ、鈴を鳴らし神へ各々の願いを述べた。

 達也は平穏を、賢也は淫欲に塗れたことを願った。達也に関しては……まあ無理だろうが。



「絵馬でも書いてくか?」

「んー、良いんじゃん?何書く?」

「俺は……まあ、学業成就か?受験生だし。賢也は?」

「俺は、彼女欲しいから……恋愛成就だな!」

「お前なぁ……ここ、一応学業成就で有名な神社だぞ?」

「なに言ってんだよ。最近だと、恋愛成就のパワースポットとしても有名なんだぞ?」

「マジか」

「マジマジ」


 そんな話をしながら二人は絵馬をお受けするべく授与所へと歩き始めた。それにしても賢也はどれだけ彼女が欲しいのだろうか。作ろうと思えばすぐにでも作れそうなものだが。と、達也は思うがそれを口にはしない。一度、それとなくそう言ってみたときの賢也の顔を達也は忘れてはいない。あの、『お前わかってないの?』とでもいうような顔を。


「あれ?先輩じゃないですかー」


 二人が歩いているとそんな声が不意に聞こえた。


「なんか、スゲェー青春してそうな言葉が聞こえたな」

「だなー。俺も後輩女子にそんな風に呼ばれたいわ」

「なら部活にでも入ることだな」

「入ってるだろ。文芸部に」

「俺とお前とあと悠真しか居ねぇじゃねぇかよ」

「それはお前が入部希望の娘達を追い返したからだろー」

「追い返してねぇよ。

 ただ、『好きな本と作者についての感想を纏めてその上で俺達が読みたくなるようにプレゼンしてみて』って言っただけだろ」


「ちょっと、無視しないでくださいよー」


「そんでそれを酷評しまくったの誰だっけ?

 てか、ひどい奴が居るもんだな、後輩女子を無視なんて。俺ならすぐ返事するのに」

「はいはい、俺が悪かったよ。

 ただ、無視なんてひどい奴だよなー」

「だよなー。俺も後輩女子ほしいわ」

「別に後輩なら居るだろ」

「そういう後輩じゃなくてなー、なんかこう自分に恋してるような後輩というかなんというか」

「どんだけ女に飢えてんだお前は」


「先輩聞こえてます?」


「なんかこう今の子みたいな後輩欲しいわ」

「もういいよ、それ」


「神崎達也先輩!聞こえてますか?」


「おお、同姓同名の奴が居るらしいぞ達也」

「まあ、そんな珍しい名前じゃないしな。さすがにお前みたいに鳳なんていう仰々しい名前のやつはいないだろうけど」

「俺より悠真の方が居なそうだろ。御刀なんてそうそう居ないぞ」

「まあ、確かに……うぉっ!?」


「なんでさっきから無視するんですか?先輩!」


 賢也と二人、話していると突然目の前に現れた少女を見て達也は思わず声を上げた。


「あ……神前かんまえ

「あれ、神前ちゃんじゃん。あけおめー」

「あけおめです、鳳先輩。それで、なんで先輩は私のこと無視したんですか?」

「いや、無視っていうか気付かなかっただけだわ」

「こんなに可愛い私に気付かないとかありえます?」

「ありえるだろ。てか、ウザいなそのキャラ。なに?あざといキャラで行こうと思ってんの?」


 達也は目の前の少女に随分と辛辣な言葉を掛ける。

 神前葉月──市立月夜中学2年生、生徒会庶務。要するに、達也の後輩である。因みにクォーターで結構髪の毛の色は明るかったりする。


「そんなんじゃないですよー」

「あ?」

「達也、落ち着け。考えろ、神前ちゃんは可愛い。勘違いしてるOBSがやるより全然いいだろ?」

「お前、どんだけ飢えてんだよ。神前、コイツと付き合ってやってくれ」

「えー、鳳先輩とですか?……無理です」

「……達也、俺は…………グハッ」

「賢也、お前のことは忘れねぇよ」


 今にも倒れそうな賢也を哀れむような目で見て、達也は涙を拭うような素振りを見せる。だが、悲しきかなその口元が緩んでいるのを賢也は見逃しはしなかった。

 賢也がそれについて達也に言おうとしたその時。


「葉月〜!突然どっか行かないでよー」


 そんな言葉と共に三人の少女が達也たちのところへ駆けてきた。


「うわっ、すごいイケメンが居る!」

「初対面の人にそれは失礼でしょ」 

「え、イケメンって言われて嫌な人居るの?」

「いや、そういうことじゃなくて」


 達也を(・ ・ ・)見て、そんなことを話す少女たち。

 その様子を見て、葉月は苦笑いをしている。


「あ、葉月。この人達知り合い?」

「え、うん。ウチの学校の生徒会の先輩」


 葉月はボブの少女──涼花に答える。

 因みに、鳳賢也君が生徒会長、神崎達也君が副会長、御刀悠真君が書記であり、月夜中学の特性上三年生の3学期に入ろうかというこの時期でもこの三人は生徒会役員として活動中だ。余談だが、会長が極道の息子ということで、月夜組の鳳会長と呼ばれているとかいないとか。


「へー、それでこの人達見つけたから勝手にこっちに来たんだー」

「それなら先に言って欲しかったな」

「ごめんごめん」


「なあ、賢也。

 これ、どっか行ってもいいよな?」

「行くなよ。折角美少女が増えたんだから」

「お前なぁ」


 近くに居ながらこの会話の差である。

 そして、このままならば良かったのだろう。だが、やはり達也に平穏は訪れることは無かった。


「ねー、あの二人チョーイケメンじゃん」

「ヤバくね?これ逆ナンするしかねーっしょ?」


「なあ、あの娘たちメッチャ可愛くね?」

「それな」

「俺声かけちゃおうかなぁー」

「あっくんが行けば皆即落ちっしょ」


「ねぇ、私達と屋台回らない?」


「ねぇねぇ、君達暇?

 良かったら俺達と遊ぼーよ」



 なんということでしょう。

 こんなテンプレの塊のような台詞でナンパをされてしまったではありませんか。

 しかし、達也と賢也はこんな事には凄くとは行かないまでも少しは慣れている。なるべく穏便に断ろうとする。

 だが、そこで終わるはずがなかった。


「そんな娘たちより私達とまわらない?」

「いやいや、ウチたちと」

「イケメン二人が初詣デート……デュフフフフ」


 さらなる女性(というより同年代だから少女)たちから声を掛けられ始める始末。

 しかも、葉月たちの方も似たような感じであった。





 結論として。


 お正月でも達也に平穏は訪れない。

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