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ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


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2/2 ☆青い雪

「ねえねえ!!青い雪って知ってる?」

「何それ」


 久しぶりに雪の積もったある日。

 屋根の上に積もる雪を物干しざおでゴリゴリやっていた私に、娘が声をかけてきた。


「なんかツイッターでバズってる、ほら!!!」


 娘の差し出したスマホ画面には、奇麗な水色の雪の画像。

 ・・・うわあ、すごく良い色!!


 私は鮮やかな空の色も深い海の色も好きなんだけど、ほのかに青い色も好きなんだよね!!

 なんていうのかね、「白?いやいやこれは水色なんですよ、ほんのり色付いているでしょう、ねえこの奥ゆかしい感じ素敵でしょう、でもね、私は青って宣言するのも申し訳ないから・・・ただ静かにここで佇ませていただきますね」的な・・・ものすごく消極的な存在感がね、尊いっていうかね。


「お母さんいつも空ばっか見てるくらい青色好きじゃん、一回くらい見といたほうがいいんじゃないの!!!」

「うーん、確かに…ぜひ見たい!!!」


 幸い手ごろな雪は目の前にわんさかある。

 今しがた屋根から降ろしたばかりの雪をかき集め、真ん中に穴を開けて覗き込むも…、まるで青さを感じない。


 グぬぬ…これはいったい……!!!

 雪かきの疲労感をもろともせず、スマホで情報を漁りあさり漁りあさり…!!!


 息子も呼び寄せ、いろいろと調べてみたところ。


 積もった雪が、光を吸収して青く見えるのだそうだ。

 プールの水が青く見える、あれと同じ原理らしい。


 良く晴れてるのになあ…、全然青くならないのはなんでなんだ。


「うぐぐ、中途半端にかき集めた雪じゃ、幻想的な青がみつかりゃしない…」

「諦めたら青は手に入らないよ!!」

「がんばろう!」


 量が足りないのかと思って、庭の雪や車の上に積もる雪を一か所にまとめてみるも、まるで雪は青く輝かない。

 むしろこう、なんかぐしゃぐしゃしてて水っぽくて、微妙な感じになってきたぞ…。


「無理だった…」

「まあまあ!!次に大雪降ったら見れるって!!たぶん!!!」



 …いつか見られたらいいなあ、そんなことを思っていたのだが。



「こんにちは!!!」


 あくる日の夕方、隣町の小田さんが…何やら荷物を抱えてやってきたぞ!!!


「あれ、今日旦那は公民館の改装に行ってるけど」

「うん、今一緒にやっててさ、奥さんが青い雪見たがってるって話聞いたもんだからね!抜けてきたわ!!!」


 ・・・はい?


「見てみて!これはね、蔵王のね…!!!」


 小田さんは雪国の出身で、毎年八回はスキーに行くという強者らしい。

 持ち込んだ大荷物は…写真の額にアルバム、ポータブルDVDプレイヤー!!!


 人好き、話好き、おしゃべり大好き、自分大好き、常にマイペースで時間経過をまるで気にしない小田さんはですね。相当かなり話が長くてですね。


 正直……町内会の集まりの時は近寄らないようにしている人なんだけどね?!


 くそう、おそらく改装中にずっと話しかけられて辟易した旦那が…画策しやがったな!!!


「でさ!!!この‥ほら、雪の壁んとこ!!止めたげる、見てみて、ここ青いでしょ!!これはね、光が乱反射して、青が凝縮されてるからこんなにもいい色が出てんの!!この山の表面もさあ、よく晴れてないと青くなんなくって!!」

「ホントだ、青…

「こっちの方がよくわかるよ!!ほら!!どう見ても青いでしょ!!ここはねえ、センターハウスにも青いカレーが売っててさあ、すっごくウマいの!!」

「それは美味しそう…

「うまいと言えばさあ、これ見てよ、鎌倉の中で食べるきりたんぽ!!!美味かったんだわー、オレンジ色に染まってるのはね、暖炉の火が…」


 ひいー!!


 合の手を入れるヒマすら与えてくれねぇ―!!!


 夕方四時半に凸してきた小田さんは、実に七時になって旦那が帰宅するまで嬉々として語り続け、晩御飯の買い物はおろか米すら炊くこともできず、外食をする羽目になってですね…。


「はあ…、もうしばらく青い雪はいいや…」


「心底乙wwwお父さん側としてはめっちゃ助かったけど!!!」

「ウケる!!断ればいいのに…」

「かわいそうだった」


 旦那のおごりで夕飯をご馳走になる事になった私はですね。


 葉山さんの居酒屋で、マリブサーフ、スカイダイビング、ブルーハワイ…オサレな青いカクテルをぐびぐびいただきながら、疲労を回復したっていう、お話…。


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