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ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


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11/8 アイツら絶対に…信号無視するよ!!

 早朝、五時。

 まだ真夜中の闇をガッツリ背負う大空の下…、私は慣れない環境下でマイカーを運転していた。


 基本的に、自分の車を動かすのは昼間ばかりなので…はっきり言って夜間の運転は苦手だ。

 やけに暗い細道は見通しが悪いし、やたらとピカピカ輝くネオンはまぶしいし、ヤバい運転をする車は目に付くしで…極力避け続けてきた結果、苦手意識が芽生えてしまったという背景もあったり、なかったり。


「お母さんアリガトー、悪いねえ!あとで屋台の美味しいもんいっぱいおごるからそれで許して!!」

「へいへい」


 ぶっちゃけ暗くなってからの運転はお断りの一択なのだが、地域のイベントの関係で出動要請されている旦那&荷物を送り届ける人がいないと聞いてはスルーするわけにもいかない。

 ……最近の出店は、ずいぶん見目麗しいものが多いのでね。そっち方面の欲が競り勝っての送迎決行という裏事情はさておき。


「早朝の道路は車が少ないからさあ、運転自体はしやすいでしょ?車線変更もし放題だし!」

「まあ、確かにそれはそうだけど…」


 他愛もない話をしながら、日中は相当通行量の多い三車線の幹線道路をのんびりと運転する。

 車間距離を詰められたり、車線変更時に焦ったり、無理やり割り込んでくる車がいないのはまあ…確かに平和ではあるか…。


 なんてことを考えながら、ハンドルを握っていると。


 ぶぅん…ぶぅうウウウウ‥‥

 ぶぉおおおお…


 なんかやな感じの爆音が聞こえてきたぞ!!


 ルームミラーには、ドパープルとドイエローの眩しい光!

 ちかちかとネオンライトを点滅させてぐんぐん近づいてくるド派手なバイクが二台!!


 ぶぅん、ぶるぶる…パー!!!

 ぶぶ、ぶぉおおおおおん!!


 夜明け前の60キロ制限の道をきっちり60キロで走行する私に迫る、なんとも強気な二つのギンギラギン。

 なぜにああも威嚇しながら走行をするのだ、皆が寝静まっている時間帯にド派手な自己アピールをするのはなにゆえに、どうして早朝にそんなに行き急ぐというのか。


 あの感じはどう見ても…100キロ越え確実だ!!


「も~、朝もはよからなんというヤンチャMAX!! 見てみ、アイツら、絶対に…信号無視するよ!!」


 500メートルほど先に見える信号の色は赤。

 どうせ交通ルールなんぞ守らずに突っ走っていくに違いない。

 身の危険をまるで意に介さないそのクソ度胸と確かな自信および漲るパワーを、どうしてもっと社会貢献・地域活性の方面に向けられないのか。


 パー!パパ―!!!

 ぶるぅん!!!


 憤慨しながらも安全運転はバッチリ継続し、勢いよく追い抜いて行った二台のバイクを目で追うと。


 …げえ!!


 ちょうど信号が変わって…緑色のLEDが光っとるがな!!


「信号無視しなかったねwww」

「グぬぬ…なんという天の采配、こうして悪い人というのは世に憚っていくに違いないぞ…」


 はるか彼方に消え去った、二台のバイクはですね。


 三本ほど先の信号機のところでですね。

 意味深に停車しているのを見かけたわけですけれどもね。


 いったい何をやらかして、どういう展開になっているのかまではですね。


 安全運転第一、わき見運転しない主義の私には確認することができなかったという、お話……。








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