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ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


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8/31 ★ハトフン騒動

 最近、毎日顔を出している親の住むマンションに鳥類が住み始めたらしい。

 やけに鳥の声がするし、出入り口のタイルの上に羽根や鳥糞が落ちているのだ。


 愉快な囀りはまあ、嫌ではない。

 羽根や鳥糞は…やな感じだ。


 几帳面で神経質な母親を買い物に連れて行く時、毎回毎回キッチリ悪態をつくのが厄介なんだよね…。

 すぐに管理会社に電話して片付けさせろとか言い出すもんだから、1円も貰えないのに自主的に掃除をしている有様だ。月に2度来るクリーンの人は、私のおかげでちょっぴり楽をしていると思われる。


 洗濯に買い物、トイレと風呂の掃除、フローリングのモップかけに消耗品の補充、布団のシーツ交換に服の入れ替え…、今日はやることが多かったなと若干げっそりしながら車に向かうと。


「ッ!?ちょ、ハス子の…まんまる目玉が!鳥フンに…汚染されとるがな!」


 マンションの駐車場が非常に日当たりがいい場所であることが災いした。

 水分が蒸発した鳥糞は、ガッツリギッチリしっかりこびりついており、手持ちのティッシュで擦ったくらいではびくともしない。


 家に帰って優しく洗い流すか…そう思って車に乗り込んだ、その時。


『お母さん、助けてぷりーず、今すぐ来て〜!』


 夏祭りの反省会に行っていた旦那から、出動要請が!

 くそう、いつもいつも気軽に呼びつけやがって!


 帰りにスーパー寄っていろいろおごって貰わねば気がすまない。

 肉まんにチョコに落雁にちょっといい米、冬限定の酒に鍋つゆの素、高級アイスにホタテの貝柱、そうだ帆たらポットも欲しいな!


 煩悩が溢れ出した私は、スコーンと記憶を飛ばしましてですね。



『ごめ〜ん!悪いんだけどさあ!お迎え頼んでもいい?めっちゃお土産もらって持てなくて!ヤダならいいよ、大変だけど…がんばって、持って…帰るから……暑すぎるけど……。だって、お母さん…疲れてるよね…、無理なんて…させられないモン……』


 駅前の居酒屋で飲み会をすると言って出かけた娘から、出動要請が!

 いい運動になるから歩いていくわと、意気揚々と出かけたというのに…ぐぬぬ…同情を誘うやな感じの演技までして…誰に似たんだ。


「 い い で す よ ! どこだね、今からいくし!」

『わ~い!ありがと~!うんとね、葉山さんの店の斜め向かいの水筒伝♡風花と凪沙もいい?』


「へいへい、じゃあ近くにあるコンビニ集合ね!」


 風呂上がりの、しけった頭でコンビニに行ったらですよ。



「ちょ!ヤバい、お母さん!オバケがいる!めっちゃ出た!」

「見たんです!絶対顔だった、悪魔みたいな!」

「やた、やだやだやだやだ!」


 なんか騒いでる奴らがドタバタと寄ってきたぞ!!


 パニクる皆さんを落ち着かせ、話を聞いてみると。


「壁に怨霊が!」

「うちらのこと追いかけるみたいに!」

「ヤバい…線香の匂いしてきた!」


 どうやら、駐車場の端っこで待つ娘たちを見つけて車で近づき、一旦止めようと方向転換した時にオバケを見たらしい…?


「こんな騒がしくて陽気な雰囲気の場所にそんなん出るかい!…どこにもいないし!キミら酔いすぎだよ、完全に見間違えてますwちなみに、このニオイは蚊取り線香だからね?!」


 隣が墓地とか廃墟ならいざ知らず、年がら年中イルミネーションを創意工夫をこらし披露している町の電気屋にアニメキャラだらけの託児所、まだ営業中のバラエティ雑貨店に三方を囲まれたPOPな場所なのだ。ショボい怨念なんか…秒で干上がるレベル!!


 怯える女子たちをなだめすかせ、車に押し込んで、ナビに住所を打ち込み…駐車場を出ようと、右斜め後ろに動き出した、その時!


「出た!」

「ギィやアアアはああ、あ、あ、あ…!」

「ヤバ、ちょ~怖い!」


 思わずブレーキを踏み、若い女子の注目を集めている場所に目を向けると…、うん?


「あ〜、わかったわかった!コレ…鳥のフンだわ!」


 なんと、ライトに付着している鳥糞の影が!

 斜め方向に照射されて、なんとな〜く、顔っぽく映っとるがな!!


 車から降りて解説&検分してたら飲み会上がりの若者やらコンビニ客やらまで寄ってきてしまい、そこそこ時間は取られたものの。

 すっかり酔いが覚めてしまった皆さんを、無事おうちまで送りましてですね。



「へぇ~、すごい偶然もあるんですね!天然の影絵で恐怖体験w」

「笑い事じゃないよ…変なの寄ってきちゃうし。ホントエロい奴らってのは死んでも女子の叫び声に敏感でさあ!マジでタチが悪い…キッチリ持ってってね!」


 とっぷり更けた夜の住宅街の薄暗い庭先で、ぬるま湯をかけかけこびりついた鳥糞をはがす私がおりましてですね。

 ちょこまかとジタバタしている、うっすいおっさんに年季の入ったじいさんなんかもおりましてですね。

 真っ黒いくせに向こう側が透けて見える、旧知のおっさんもおりましてね。


 ショボいくせに…、いっちょ前にピチピチの女子にちょっかいかけようとしてたからさあ、ちょっと捕獲してもらおうかなって思ってさ。


「急に呼び出して悪かったねぇ。コレ凪沙っちのお母さんからもらったそばまんじゅうだけど、いる?最近体重増がヤバくて甘いお菓子断ちしてんだよね。あとだいぶ前に射的でもらっちゃったマッコリもあげる!」

「いいんですか!ふふ、またいつでもお呼び下さい♡」


 お土産と収穫を抱え、闇夜に紛れて消えた黒い人を見送ってから、キッチリしっかりばっちり鳥糞をこそげ落とし。


 風花ちゃんのおばあちゃんにもらったシャインマスカットを食べようと、キッチンに向かったらですよ。


「ちょ…なんで、なんで私の分ないの?!めっちゃ大きいやつもらったのに、軸しか…ないじゃん!」


「早く食べないと鮮度が落ちるからさあ!あ、めっちゃ美味しかったよ!今度シャインマスカット狩りに行こうって今みんなで話してたとこ!!」

「あたしは五粒、お皿に取っといたんだよ?!でもお父さんが!シャインマスカットが食べてくれっていうからって!!!」

「おいしすぎた」


 安定の展開がですね?!


 あったって、話ですよ!!

 ムッキイイイイイイイイイイイイイ!!!


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