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ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


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3/4 ☆雲パン

 何やら雲パンなるものがバズっているらしい。

 フワフワで…まるで雲を食べているような気分になれるのだとか。


「とにかくめっちゃふわふわらしいよ!!!」

「マジか!!」


 美味しいもの大好きな娘は、ずいぶん興味がある様子だ。


「つくってみたい。」


 料理全般が好きな息子は、食べるというよりも作る方に興味があるようだ。


「よし、作るか!!」


 思い立ったら吉日ってね!


 我が家はやりたいと思ったら躊躇せずに手を出す一家なのだ!

 失敗しがちなのはまあ…、成功した時の喜びをより味わうためのスパイスでしてね。

 うん、やらかしがちなのは良い事だってね、何事も経験さ、ポジティブなタイプなんで。


 かくして準備されたのはたまご四つとコーンスターチ、砂糖。

 むむ…、材料だけ見ると、コレはパンというよりも…ケーキなんじゃあるまいか。

 まあいいや。


 フワフワ系のお菓子はさ、ちょっと注意が必要なんだよね。なんか分厚いふわふわパンケーキが流行った時に食べに行ったんだけど、大変な目にあったことがありましてですね。

 中が生でさ、小麦粉も生でさ。でも、トロトロなのが正解らしくて…生卵で蕁麻疹のできる私は食べることができなかったという。よく焼けてそうな表面を食べたんだけど、粉っぽいし完全に自分的にアウトだったのだな…。

 あとは半熟チーズケーキ、半熟カステラ。こいつらも中が生で…うん、わりかし嫌な感じの思い出だぞ。


 メレンゲかあ。これは良く焼くみたいだから大丈夫かな?

 ダメだったらなんでもパクパク食べる娘にささげよう。彼女は非常に屈強な胃袋を持っているので、安心感が違う。


「じゃ―まずメレンゲ作るよ、卵割ってね。」

「はい。」


 卵を割って、黄身をよけておく…、これはプリンに使おう。こっちは卵六個に生クリーム、牛乳、砂糖…。黄身多めだから濃厚になるはず、多分。

 しかし卵の使い過ぎだな…、まあこういう日があってもいいか、うん。幸い卵は旦那が買い込んで古くなってるやつが大量にある。奴は新しく買ってきたやつから消費していくという癖があって実にこうめんどくさいというか腹立たしいというかまあいいや。


 ぶぃいーん・・・!!!


 このハンドミキサーもかれこれ三十年ものか…。よくもまあ動いてるもんだ。

 すっかり私の手になじんだハンドミキサーは、今は息子の手になじんでいる。右利きの私になじんだハンドミキサーは、左利きの息子にもなじんでくれた模様。


「うわ!!いつ見てもなんか怖い!!」


 なお、右利きの娘の手には一切なじんでいないらしい。


「あわだったよ。」


 フワフワの生地を天版に乗せて丸く成形し…200度のオーブンで25分。

 焼いてる間に、プリンを準備。材料を混ぜ合わせてフライパンで湯煎して…。シリコンケーキ型で作ったからちょっと長めに火を通すか。




 ピーピ―ピ―!


 おお、雲パンが焼けたみたい。


 オーブンを開けると…うは!!


「なんかめっちゃでかくない?!」

「何これ!黒い!ウケる!!」

「できてる!」


 出来立ての雲パンをお皿に乗せて…テーブルへ。

 娘と息子のまなざしがすごいんですけど。

 さすが話題騒然のスイーツはレベルが違うな…。旦那が作ったシャビシャビの善哉には見向きもしなかったというのに。


「ねえ、食べてもいい?!」

「たべよう!」


「いいけど…まだ熱いんじゃないの。」


 ちょうどプリンもできたから、粗熱を取っておかなければ…そう思ってキッチンでいろいろとやってたらですね。


「わー!!めっちゃふわふわ!!あち、あち!!!」

「ふわふわ!!!あち、あち!!!」


 大喜びの声が聞こえてきたぞ!!

 これは急いで食べに行かねばなるまい!!


 フライパンやらなんやらを手早く片付け、手をふきふきテーブルに向か…げえ!!!


「ちょっと!!なんで全部食べるのさ!!!」


「ごめん!なんか手が止まらなかった!!!」

「おいしすぎた…。」


 空っぽの皿がー!!

 一口くらい食べたかったのに!!!


 かくしてせっかく作った雲パンは…空に浮かぶ雲のようにですね、儚く消え去ってですね!!!


「こんどはひとりでつくってみる。」


「はいはい、その時は半分下さいね!!!」


「あたしも食べたい!」


 次に作った時も食べられる気がしない。

 なんでこう、毎回毎回…!!


 …まあいいや、まだプリンがある。

 夕食後に冷えたプリンを食べよう、うん。


 粗熱の取れたプリンを冷蔵庫に入れた私は、気を取り直しましてですね。


 いつまでもね、食べられなかった悔しさを…噛みしめる必要はないのですよ。

 おおらかな心で、次を見据えて…ウキウキラララ展開をですね。


 雲パンを食べられなかった悲しみは、プリンで相殺したらよろしいのです。


 私の作るプリンはそりゃあ美味くてね、ふふ、今日の夕食はプリンがあるから少し少なめに食べよ!!

 めいっぱいプリンを楽しむんだ~♪


 気を取り直した私は、夕食の買い物に出かけましてですね。


 …卵十個も使っちゃったし、牛乳もなくなっちゃったし。ああそうだ、生クリームやコーンスターチも買っとかないと。今度は生クリームトッピングやカスタードクリームトッピングもいいかもね。

 いろいろ考え始めたら、買うものが増えてしまってですね。…ちょっとだけ、買い物に時間がかかっちゃったわけですよ。


「ああ、ヤバイ、もう六時だよ…。急いで帰らないと晩ご飯遅れちゃう!」


 急いで帰宅したわけなんですけれども。


 仕事を終えて帰宅した旦那が、冷たい物でも飲もうと冷蔵庫をあさってプリンを発見し…、息子と娘ともども食べつくしてしまっているという悲劇がですね?!


 待ち構えていたっていう、お話なんですけどね……。

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