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ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


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9/27 ☆肉じゃが食べたい、食べたいの。

 今日の晩御飯は、肉じゃが。


 私、肉じゃがって大好きなんだよね。


 牛肉に、白滝とにんじん、ジャガイモ、玉ねぎ。

 砂糖多めの甘いのが私流。


 うちはみんな大食漢だから、でっかい寸胴鍋にみっちり作るんだ。


 牛肉800gに白滝二本、にんじん三本、ジャガイモ一キロ、玉ねぎ三個。


 皮をむいて炒めて煮込んで。

 うん、今日もめっちゃおいしくできた!!

 さすが!!私!!


 出来立ての肉じゃがは、味を良くしみこませるために火から降ろして鍋ごとテーブルへ。


 程よく冷めた肉じゃががおいしいのさ。

 いや、熱くてもおいしいけども!!


 お米を研いで、炊飯器にセット。

 ただいまの時刻18:00、炊きあがる頃にみんな帰ってくるな、よし準備OK !


 さて、この隙に……。

 私は干してある洗濯物を取り込むために、二階へと駆け上がった。


 洗濯物を取り込んで、たたんで、お風呂のタオルのセッティングに、明日の準備をしてと。


 キッチンに戻ったら、付け合わせの大根サラダを作らないとね。


 きゅうりと大根をスライサーで薄くカットし、さらに千切りにしてからホタテの缶詰をほぐし入れて、マヨネーズで和える。隠し味にちょっぴりお醤油。鰹節をトッピングして完成。


 ピ、ピピピ、ピピピピピ…


 ああ、ちょうどご飯も炊けた。

 よし、ごはん食べる用意をしようとリビングへ向かうと!!!


「ねーねーこれおいしいね!!」

「先食べちゃった!!」

「おいしかった。」


 いつの間にやら帰宅していた旦那と娘、息子が鍋を囲んで…!!!

 寸胴の肉じゃがが食い荒らされてるんですけど?!


「なんであんたらは…ご飯の時間まで待てないんだ!!!」


 ご丁寧にとりわけ用の器じゃなくて小さめのボウルに移して食っとるやんけ!!!


 しかも、よく見ると…!!!


「肉!!肉がないじゃん!!ジャガイモしか残ってない!!!」


「おいしいとこ選んでたらイモしか残んなかった!ごめん!!」

「あ、ごはん炊けてる、おかずないからふりかけ出して!!!」

「おにぎりたべたい。」


 なんというフリーダムな一家なんだ!!

 私も一員のはずなのに、この疎外感はどうだ!!!


 肉のなくなった寸胴をキッチンに引いて、サラダとふりかけをテーブルの上に置いてやる。


「ええー?!サラダじゃ腹ふくらまないな!!!」

「散々食っただろうがああああ!!!」


 私は怒り狂いつつ、炊きたてご飯を握っておにぎりを作り、息子に渡してさしあげる。


「ありがと。」


 てのひらサイズのおにぎりを頬張っているこの子もいつかは…この大食漢家族のフリーダムの流れに飲まれてしまうというのか…くっ!!


 怒りの収まらない私は、寸胴に残るジャガイモを大きめのボウルに移し替え!!

 マッシャーでひたすらつぶしにつぶしてッ!!

 くっそー!!

 食い物の恨みぃイイイイ!!


 コロッケを作って、テーブルにもっていくと。


「わー!!コロッケキター!」

「いただきまーす!!」


「「あちっ!!あちあち!!!」」


 私はいやしい人たちにやけどを食らわせることに成功した!!


 フフフ!!

 天罰だ!!


「熱くてもうまい!!ハフハフ!!!」

「ほくほくだ!!うまうま!!」


 ダメだ!!

 全然…効いてない!!!


 テーブルの上にはサラダが少し。

 こっちもほぼ食い尽くされている……。


 私は大きな寸胴鍋を購入することを決めた。

 …もちろん旦那のお小遣いからその費用は捻出します!!!


 …コロッケもなくなりそうだ!!

 あわてて自分のお皿にコロッケを二つのせる。


 ようやく落ち着いて腰を下ろすことができたよ…。


 げっそりしつつ、晩御飯を食べ始めた訳だけれども。


 …。


 息子がコロッケを見つめている。

 この子は言葉が遅いので、なにかを言うのを待っていては食いっぱぐれてしまう恐れがある。


 半分に切って、ふうふうしてから、息子の口へ。


「おいしいねえ。」


 息子にコロッケを分け与えている間に、避けて置いた自分のコロッケはすべてなくなり…、私はふりかけでご飯を食べる事になってさあ!!!


 ……ずいぶん時間がたった今、肉じゃがを作る機会は減少している。


 なぜならば、私の味を引き継いだ息子が、肉じゃがを作っておりましてですね。


 いやあ、作ってもらうとごはんってホントに美味しいね!

 息子から、二杯目のおかわりをよそってもらいつつ、ふくらんだおなかを、ひと撫で、ふた撫で。


 老いてなお増え続ける体重を気にしつつ、私は肉じゃがに箸を伸ばしたのだった。

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