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アヴァロン〜世界を賭けた神々の戦い〜  作者: 大猩猩和
第四章 箕川自由学園襲撃事件

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不穏な視線

 学校へ向かった冬夜はいつもは四人で歩く道を一人で歩く。


 たまには静かなのもいいかなと思いながらも三人がいないと少し寂しいとも思う。


 冬夜は珍しく一人で登校をしていると、自分へ向ける視線があることに気がつく。


 その視線が気になった冬夜は体を伸ばすふりをしながら視線のする方へ視線を向けると、そこには黒い外套に身を包んだ怪しい人物が物陰に隠れていた。


 物陰に隠れていた怪しい人物は冬夜のことを監視しているのか視線を向けており、その視線からは悪意のような負の感情を感じ取れる。


 冬夜は何か不味い連中に目をつけられたのではないかと不安に思いながら気にしないふりをして学校へ向かう。


 学校へ向かっている最中も冬夜は怪しい人物は彼の監視を続けており、さらに新たな視線も加わって大人数の者たちが冬夜に視線を向けていた。


 その怪しい人物たちは周りを歩く冬夜へ熱い視線を向けている女性たちに紛れるようにしており、先ほどよりも分かりにくい。


 冬夜は創に言ってもっと稽古をつけて貰えば良かったと後悔しながらも彼らへ悟られないよう自然体で歩く。


 そうして、冬夜が自分へ向けられる視線を警戒しながら歩いていると、


「よお!冬夜!今日も相変わらず不機嫌そうだな!やっぱり周りの視線が気になるのか?」


 いつの間にかやって来た佐藤に肩を叩かれながら話しかけられる。


「ああ、そうだな。周りの視線が鬱陶しい。早く学校行こうぜ?」


 佐藤に話しかけられた冬夜は面倒臭そうな様子で返事する。


「確かに、相変わらず人目が凄いな。これは俺でも同情するわ」


「だろ?モテるってのも良いことばかりじゃないんだ。俺には彼女もいるしな」


「それはそうだな。それじゃあ、早く学校行こうぜ?なんか早く来るように召集されてるしな」


 佐藤はそう言うと、冬夜を連れて早歩きで道を進み始める。


 冬夜は佐藤について行くように学校を目指して歩いていく。


 いつもは鬱陶しくて仕方ない女性からの視線も、今の冬夜にとっては気にするにも値しない。


 今はただ自分へ向けられる悪意の視線のみが冬夜の心を掻き乱している。


 このまま学校に向かうのは危険ではないかとも冬夜は考えたが、気づいていることがバレてしまったら逆に危険ではないかとも考える。


 どうすれば良いかと悩みながらも冬夜はいつもの様子を変えずに佐藤と雑談に明け暮れる。


 そうして、冬夜は学校に辿り着くと、佐藤と共にそそくさと校舎の中へ入る。


 冬夜も校舎の中に入ってしまえば相手の追跡も止むだろうと思っていた。


 だが、冬夜は校舎の中にいるというのに悪意の視線が向けられ続けている。


 冬夜は周りに視線を向けてみるが、校舎内には怪しい人物は見つからない。


 そうなると外から自分のことを監視していることになるが、壁に囲まれた校舎内にいる冬夜からは視認できない。


 冬夜を監視している者たちは壁越しに彼のことを監視し続けているのだ。


 ただの人間がそのような芸当ができるかと言われれば、不可能だ。


 冬夜のいる世界には魔術というものが存在しない。


 冬夜自体は創たちのおかげである程度使えるようになったが、この世界には元々ない力である。


 そのため、外界からやって来た者にしか魔術は使用できない。


 そして、壁越しに感じる視線からは微量ではあるものの魔力が感じられる。


 そのことから、冬夜を監視している者たちは冬夜がいる世界とは別の世界から来たことが分かる。


 本当に不味い連中に目をつけられたと思った冬夜は今日一人で行動するのは危険だと判断する。


 教室に着いた冬夜は紫音へメールを送る。


『ごめん、今日迎えに来てくれない?』


『別に良いけど、いきなりどうしたの?』


『理由は後で説明する。今日は一人で帰るのは危ないんだ。迎えに来てくれると嬉しい』


『分かった。それじゃあ、迎えに行くけど何時くらいに行けばいい?』


『何時までか詳しくは分からないから終わりそうになったら連絡するよ。後、紫音ちゃん一人で来てね?流石に三人とも来られると説明が難しいから』


『分かった。それなら私一人で迎えに行くね』


 何とか紫音に迎えに来てもらえることになった冬夜は安堵のため息をつく。


 今日、あの道を一人で帰れるほどの胆力を冬夜は待ち合わせていない。


 冬夜は創たちに多少鍛えられてはいるものの、彼はただの人間だ。


 生物として根本的に違う創たちとは比べ物にならないほど弱い。


 そのため、冬夜はあまり目立たないようにしていたはずだが、今回はなぜか狙われてしまっている。


 特に目立つようなこともしていなければ、人間社会に紛れて身を隠していた。


 何処から自分の情報が漏れたのか疑問で仕方なかった。


 そもそも冬夜は自分が狙われる理由が分からなかった。


 確かに、如月家の関係者ではあるものの彼には特に狙われるような要素はない。


 紫音たちの婚約者ではあるものの、彼女たちは如月家の中ではまだ生まれたばかりの子供であり、世界で幅を利かせているわけでもない。


 それに、紫音たちはまだ世界的に如月 創の娘として公開されておらず、知っているのは一部の者たちだけである。


 そんな彼女たちよりも更に情報が出回っていない冬夜が狙われるのは少々気がかりである。


 一体どのような目的で自分が狙われているのかも分からない冬夜はただただ不気味であった。


 そうして、冬夜は不安を感じながらも文化祭の予行演習を行ったのだった。








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