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アヴァロン〜世界を賭けた神々の戦い〜  作者: 大猩猩和
第四章 箕川自由学園襲撃事件

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実家に帰る三人

「創くん?紫音たちが来たよ?中に入るね?」


 アイナはそう言いながら創の部屋の扉を開ける。


 創はワカティナから帰ってきてからと言うものの、部屋に引きこもって外に出てくる気配はない。


 彼は力こそ強いが、メンタルの方はとても脆く、何か辛い出来事があったらすぐに精神を病んで部屋に引きこもってしまう。


 今回はワカティナの多くの民を救えなかったのに加え、老若男女関係なく無惨に殺された様子を見たことで精神を病んでしまった。


 もしも、それが敵ならば創が精神を病むことはなかったが、大切な国民であったために精神に大ダメージを負ってしまった。


 そんな創の部屋にアイナが入ると、彼は真っ暗な室内でベットの上で三角座りをしていた。


 創は顔を下にしているため、彼の表情は見えないが、それでも元気がないことは分かる。


 アイナが部屋の電気をつけると、そのまま中に入って行く。


 そして、紫音たちもアイナについて行くように部屋の中へ入る。


「お父さん大丈夫?」


 部屋に入った紫音は創の方に近づきながら心配そうな声で話しかける。


「ああ、大丈夫じゃない…… 」


 そんな紫音に対し、創は大丈夫ではないと小さな声で答える。


 大丈夫ではないと答える父に何と声をかければいいのか分からない紫音は言葉に詰まってしまう。


 紫音が言葉に詰まってしまったため、代わりに凪が創に話しかける。


「お父さん、明後日に冬夜の学校で文化祭があるんだけど、私たちの代わりに行ってきてくれない?冬夜のお父さんもお母さんも行けないみたいだから冬夜も寂しいと思うんだ」


「分かった…… 気分が良くなったら行く…… 」


「それじゃあ、当日は冬夜のことよろしくね?」


 凪は元気のない父に優しく微笑みかけながら頼み込む。


「お父様、こちらが文化祭のパンフレットです。このパンフレットにある入場券がないと当日校内に入ることができませんので、お忘れなく持っていってください」


 玲華はそう言いながら創に箕川自由学園の文化祭パンフレットを渡す。


 そうして、紫音たちが少し創と話した後、彼の部屋から出て行く。


「創くん、電気はつけて行くからね?」


 アイナはそう言うと、創の部屋から出ていき、部屋の扉を閉める。


 創の部屋から出てきたアイナを見た紫音は少し不安そうに話し出す。


「アイナ母さん。今回のお父さん、凄く心にダメージを受けてるみたい。立ち直れるのかな?」


「創くんなら大丈夫。いつも最後には立ち直ってるから。それで、三人は夕食は食べて行くの?」


「うん、その予定だよ。久しぶりにお母さんに会ったからね」


「確かに、凪に会うのは久しぶりだよね。冬夜くんとの話もいっぱい聞きたいし、ゆっくりしていってね」


 アイナはそう言うと、三人と共に食堂へ向かう。


 そうして、食堂にやってきたあいなたちであるが、珍しく彼女たち以外の家族が一人もいなかった。


 今の時間帯であれば、他の家族がいてもおかしくないが、珍しいことも起きるものだ。


 紫音たちは久しぶりに実家の食堂で夕食を食べるため、どのメニューにするのか楽しそうに談笑しながら決めている。


 そんな三人を見たアイナは姉妹仲が良いことを微笑ましく思う。


 例外なく如月家の者たちは仲が良い。


 喧嘩していたりしてもそれは威張り合いであり、実際は普通に仲が良かったりする。


 だが、それでも人数が多いため、アイナはどこかで仲が悪い子たちが出てきてもおかしくないと考えている。


 そのため、仲が良さそうな三人を見て安心したのだ。


 そうして、アイナは紫音たちと話しながら夕食を食べていると、


「そう思えば、今日は冬夜くんは一緒じゃないんだよね?彼は夕食どうするの?」


「冬夜さんなら、友達と夕食を食べて帰ると言っていました。どうやら、美味しいラーメン屋を見つけたようです」


「冬夜くんってラーメン好きだよね。創くんも中華大好きだし、やっぱりあの二人ってどこか似てるよね」


「だけど、冬夜はお父さんと違って女癖悪くないよ?」


「やめて。私、この前半年間家に帰らないし、連絡もしないし、他のところで女の子と遊んでたせいで嫉妬心が爆発してメンヘラ発動したばかりなの。そのことを思い出して自分が恥ずかしくて死にそうになる…… 」


「それはお父さんが悪いと思う。アイナ母さんは気にしなくて大丈夫だよ」


 紫音は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら手で隠しているアイナのことを慰める。


 実際、創は愛に生きる男だと言って自分を正当化しているが普通に女癖の悪い最低野郎だ。


 アイナが嫉妬から少し束縛が強くなったり、監視の目が強くなってしまうのも仕方ない。


 創はつい最近新しい女性を嫁に迎え入れたばかりである。


 そのように、久々の家族との時間を過ごした紫音たちであるが、明日も学校があるからと家に帰ることにする。


「今日くらい泊まって行っても良いと思うんだけど、やっぱり冬夜くんと一緒にいたいよね」


「それもあるけど、冬夜は朝起きれないタイプだから心配なんだ。私たちとの生活が長くて一人だったら寝坊しそうだし」


「冬夜くんは相変わらず朝が弱いんだね。三人とも、冬夜くんに優しくするのは良いけど、あんまり世話を焼きすぎるのは良くないからね?その辺り分かってる?」


 アイナが帰ろうとしている三人にそう質問すると、ピタッと三人の動きが止まる。


 冬夜は紫音たちに全ての世話をやってもらっている状態だ。


 完全にダメ人間にされている。


 そのことを指摘された三人は無言を貫き通すことしかできない。


 無言で固まっている三人を見たアイナは何となく彼女たちの事情を察し、


「冬夜くんをこれ以上ダメ人間にしたらダメだよ?」


 帰る前にもう一度釘を刺したのだった。










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