ワカティナ防衛作戦(創視点)百二十一
黒騎士の巨人が構えている盾に付与されている魔法陣に気を取られていた創は己の思考に一旦の区切りをつけ、再びロンギヌスと激しい攻防を繰り広げている黒騎士の巨人本人の方へ意識を戻した。
黒騎士の巨人の方へ再度意識を向けてみると、彼の盾が展開していた透明の壁の二枚目がすでにロンギヌスによって突破されており、現在は三枚目に当たる透明な壁とロンギヌスが激しくせめぎ合っていた。
そして、三枚目の壁とせめぎ合っているロンギヌスは先ほど見た時よりも格段に威力が落ちているようであり、先ほどまでは漆黒の超巨大彗星であったのだが、現在は彗星部分を担っていた漆黒のオーラが大幅に消えており、ロンギヌスを包み込む程度のオーラしか残っていなかった。
創「あのままの勢いじゃあ、三枚目の防壁を突破するのは無理そうだな。俺の想像以上に防壁の防御力が高かったから、仕方ないか。まあ、ロンギヌスの方はあくまでも防御力の確認のためだったし、二枚も防壁を突破してくれたのはだいぶアドが取れたから悪くないな」
創は透明な壁と激しい攻防を繰り広げているロンギヌスを見ながら、このままロンギヌスが透明な壁に向けて攻撃を仕掛けていても威力の衰退具合から突破することは不可能に近いと踏んでおり、想像以上の防御力を誇っている防御魔術に少し感心していた。
そして、今回のロンギヌスの攻撃は黒騎士の巨人が展開している防御魔術である透明の壁の防御性能を確かめるために放った攻撃であったため、二枚も壁を突破したことは大きなアドバンテージが取れたので、そこまで悪い結果ではないなと判断した。
そんな風に創がロンギヌスの成果はそこまで悪いものではないなと考えていると、三枚目の透明な壁に大きな亀裂を入れたところで勢いが止んでしまったロンギヌスがこのまま攻めても意味がないと創の元へ撤退してきた。
この頃にはロンギヌスの勢いもなくなっていたため、先ほどまでのように砂煙が舞ってはおらず、多少は砂煙が残っていて視界は悪かったが、それでもだいぶ視界はクリーンになっていた。
黒騎士の巨人から撤退してきたロンギヌスを創はキャッチすると、黒騎士の巨人の方へ再び視線を向けるのではなく、黒騎士の巨人のはるか上空へ視線を向けたのであった。
創「さあ、ロンギヌスにも時間を稼いでもらったんだ。重い一撃をくれてやろうじゃないか!!龍滅剣技 三式 龍滅断頭斬ーーー!!!」
創がそう叫びながら左手を力強く振り下ろした。
次の瞬間、黒騎士の巨人の左右に遥か上空まで続く黒騎士の巨人が霞むほど巨大な漆黒の柱のようなものが二本どこからともなく召喚され、その遥か上空まで続く二本の柱は大気圏外まで伸びており、明らかに規格外の代物であった。
そんな明らかに規格外の代物である二本の漆黒の柱に挟み込まれた黒騎士の巨人はこのまま漆黒の柱に挟まれていると危険であると判断し、二本の柱から逃れるようにその場からバックステップして退避しようとした。
しかし、
黒『何っ!!!!???!?!?!?』
黒騎士の巨人がバックステップで距離を取ろうとした瞬間、彼の周りに空間を埋め尽くすほどの魔法陣がなんの前触れもなく召喚され、その魔法陣から紫色のオーラを纏う漆黒の鎖が黒騎士の巨人へ向けて放たれた。
突然の奇襲に加え、魔法陣から放たれた漆黒の鎖は左右上下全ての方角から大量に放たれていたために黒騎士の巨人は回避することが出来ず、漆黒の鎖によって全身をがんじがらめにされてしまった。
漆黒の腐りによってがんじがらめにされてしまった黒騎士の巨人は鎖を無理矢理引きちぎろうと全身に力を入れたのだが、黒騎士の巨人が力を入れた瞬間、先ほどよりも漆黒の鎖はより強く彼のことを縛り上げ、漆黒の鎖を覆っている紫色のオーラも一段と強い光を放ち始めた。
漆黒の鎖を覆っている紫色のオーラがより強い光を放ち始めてから数秒が経過した時、
黒『ぐっ!?!?!?』
漆黒の鎖から黒騎士の巨人の全身に紫雷が走り、黒騎士の巨人は全身に激痛が走った。
全身に激しい痛みが走った黒騎士の巨人は最初のうちは抵抗していたのだが、あまりの激痛に加え、この紫雷の効果かは不明だが、全身の力が抜けていってしまったため、黒騎士の巨人はその場に膝をついてしまった。
黒騎士の巨人がその場に膝をついてしまうと、先ほどまで激しい光を放っていた紫色のオーラは大人しくなり、黒騎士の巨人の全身に駆け巡っていた紫雷は収まったのだった。
全身に駆け巡っていた紫雷が収まった黒騎士の巨人の全身からは焼き焦げたような匂いと煙が立ち上っており、その様子から先ほどの紫雷は黒騎士の巨人に相当なダメージを与えたことが分かった。
黒騎士の巨人が大きなダメージを喰らってしまい、その場に身動きが出来ずに膝をついていると、頭上から金属と金属が擦れるような音が微かにだが聞こえてきた。
その不穏な音に気づいた黒騎士の巨人は力が抜けきった体に力を入れ、不穏な音が聞こえてきた頭上へ視線を向けた。
そして、視線を頭上へ向けた黒騎士の巨人は目の前に広がっている光景に言葉を失ったのだった。




