黒滅龍レイルアルマが親になったわけ二十三
レ「私からのもう一つのお願いはグラン・ガイウス姉さんの行方を捜査してもらうことです」
黒滅龍レイルアルマのバハルリアへの滞在ともう一つの願いは本来のベルヘイムの育ての親であった黒滅龍レイルアルマの姉である滅戒龍グラン・ガイウスの行方の捜査であった。
黒滅龍レイルアルマは姉である滅戒龍グラン・ガイウスとずっと連絡がつかないことをとても不安に思っている。
そのため、少しでも早く滅戒龍グラン・ガイウスのことを見つけ出すためにも黒滅龍レイルアルマはバハムートの手を借りようと思った。
だが、
バ「グラン・ガイウスさんにはたくさんお世話になったら捜索の手伝いをしてあげたいんだけど、少しリスクが高いのよね......」
バハムートは行方不明になった滅戒龍グラン・ガイウスの捜索にはリスクが高いため、手伝うことは難しいと黒滅龍レイルアルマに伝えたのだった。
確かに、行方不明になった滅戒龍グラン・ガイウスの捜索には多大な時間がかかるのに加え、バハルリアの警備隊などを出動させる必要があるため、多大な労力もかかってしまう。
そのため、滅戒龍グラン・ガイウスの捜索が難航し、最終的に滅戒龍グラン・ガイウスを見つけ出すことが出来なかった時、大量の損失だけが出てしまう。
これはバハルリアからすると大きな問題であり、大量の損失を補うためにもこの街に住む民から多くの税を取り集めなければならなくなってしまう。
そうなれば、この街に住む民たちはバハムートたちに多大な不満を持つようになってしまい、最悪の場合、暴動が起きてしまう可能性もある。
だが、滅戒龍グラン・ガイウスの捜索に伴うリスクはこれだけではない。
黒滅龍レイルアルマから聞いた話から推察するに滅戒龍グラン・ガイウスの失踪にベルヘイムのことを連れ去ろうとしていた敵対組織が関わっている可能性は高い。
そうなれば、滅戒龍グラン・ガイウスの捜索を行っているバハルリアの警備隊の龍たちがベルヘイムのことを連れ去ろうとした敵対組織と鉢合わせるだろう。
その場合、厳しい訓練を乗り越え、数々の戦場で名を挙げた歴戦の戦士であるバハルリアの警備隊の龍たちであったとしても未知数な敵との戦闘は危険だ。
黒滅龍レイルアルマは考えないようにしているが、バハムートは行方不明になった滅戒龍グラン・ガイウスはその敵対組織の手によって始末されてしまったと考えている。
もし、このバハムートの予想が当たっているとなれば、その敵対組織には古龍の英雄と呼ばれている黒滅龍レイルアルマよりも強い滅戒龍グラン・ガイウスに勝てるほどの手練れがいることになる。
そうなってくると、その滅戒龍グラン・ガイウスをやった敵対組織の者以外にも龍種を屠ることが可能な者たちがいてもおかしくない。
そんな敵とバハルリアの警備隊の龍たちが鉢合わせてしまった場合、滅戒龍グラン・ガイウスが勝てなかった相手になど警備隊の龍の中でもほとんどの龍が手も足も出ずにあの世に葬られてしまうだろう。
バハムートでも滅戒龍グラン・ガイウスを葬り去った相手となれば、九割以上の確率で負けてしまう。
そんな危険な相手がいる可能性が高い敵対組織が絡んでくる案件など、黒滅龍レイルアルマからのお願いであろうが、バハルリアへの損害を考えると受けることは出来ない。
なので、バハムートは黒滅龍レイルアルマからの二つ目の頼みである行方不明になった滅戒龍グラン・ガイウスの捜索を受けることは難しいと伝えたのだった。
このことを黒滅龍レイルアルマに伝えると、彼女も最初から断られることは分かっていたようだが、いざ断られてみると案外心に来たらしく、とても悲しそうに笑みを浮かべていた。
そんな黒滅龍レイルアルマの姿を見たバハムートも心が痛くなってしまったが、ここで自分の気持ちに正直になってしまったら、バハルリアの統治者として皆に顔向け出来ないため、黒滅龍レイルアルマを助けようとする心を押さえつけた。
黒滅龍レイルアルマには辛い選択かもしれないが、今後のことも考えると行方不明になった滅戒龍グラン・ガイウスの捜索には力を貸さない方針で行こうとバハムートは考えている。
そうして、黒滅龍レイルアルマは行方不明になった滅戒龍グラン・ガイウスの捜索の助力は諦め、ベルヘイムのことを迎えに行こうと思った時、
?「それならば、バルたちがバハムート姉さんたちの代わりにグラン・ガイウスさんの捜索に助力しましょう」
黄金の大扉の方からバハムートと黒滅龍レイルアルマのどちらでもない声が聞こえてきた。
そして、その聞こえてきた声からは行方不明になった滅戒龍グラン・ガイウスの捜索の助力するという黒滅龍レイルアルマが聞きたかったキーワードが入っていた。
そのキーワードを聞いた黒滅龍レイルアルマは目にも留まらぬ速さで首を黄金の大扉の方へ向けた。
バハムートも黒滅龍レイルアルマと二人きりだと思い込んでいたため、びっくりするように顔を黄金の大扉の方へ向けたのだった。
二人が黄金の大扉の方へ顔を向けると、先ほどまで閉まっていたはずの黄金の大扉は開いており、その真ん中には一匹の龍が立っていたのだった。




