黒滅龍レイルアルマが親になったわけ九
黒滅龍レイルアルマがワープホールの出口である光の中に飛び込んだ時、ベルヘイムはあまりの光量に自然と目を閉じ、両手で目を押さえた。
そして、ベルヘイムはその可愛らしい手で目を必死に押さえて眩い光から目を守っていたのだが、
レ『ベルヘイム?もうワープホールからは完全に抜け出したので、目を開けても大丈夫ですよ』
黒滅龍レイルアルマからのワープホールから抜けたから目を開けても大丈夫と言われたため、恐る恐る手を目から外し、ゆっくりと目を開けた。
そうすると、ベルヘイムの視界には先ほどまでいた深淵のような暗闇ではなく、美しい風景が入ってきた。
どこまでも続くような草原が広がっており、その草原には様々な龍種たちが気持ち良さそうに休んでいる。
そして、草原の先には芸術的なデザインの大きな壁が立っており、ベルヘイムの目ではあまりの大きさに壁の全長を確認することは出来なかった。
壁とは反対側の先には背がとても高い木々が生い茂っており、目を凝らしてみると、その大きな木々の上で休んでいる飛龍種たちの姿を捉えることが出来た。
それに加えて、木々の下の方へ視線を向けてみると、そこには土龍種たちの地下にある巣に繋がるであろう大きな穴がポツポツと空いている。
ベルヘイムは目の前に広がる光景と黒滅龍レイルアルマ以外で初めて見る大量の龍種たちに興奮を隠せず、慌ただしく頭を振り回していた。
そんな初めてのものに興奮を隠せないベルヘイムの姿を見た黒滅龍レイルアルマは心の底からベルヘイムのことをとても愛らしいなと思った。
黒滅龍レイルアルマはこのまま興奮を隠せないベルヘイムのことをずっと眺めていたいと思ったが、ここに来たのには理由があったため、仕方なく目的地に向けてゆっくりと飛び始めた。
どうして、ゆっくり飛んでいるのかと言うと、少しでも長く興奮するベルヘイムのことを眺めていたいと言う理由もないことはないが、この龍界には指定されている速度以上で飛行してはいけないと言うルールがある。
これは好きな速度での飛行を許してしまった場合、衝突事故やひったくりなどの事件が大量に発生してしまうからである。
これはこの龍界に住む龍たちはもちろん外からやって来た龍たちにも適応される。
そのため、このルールを無視して超高速飛行などした時にはこの龍界で警察のような役目を担う龍たちによって、龍たちの英雄である黒滅龍レイルアルマであろうと捕まってしまうのだ。
なので、黒滅龍レイルアルマは郷に入れば郷に従えと言うことわざ通り、今いる龍界のルールに素直に従っている。
まあ、黒滅龍レイルアルマの場合、この飛行速度違反で捕まったところで、この龍界を治める龍と仲が良いのに加えて龍たちの英雄であるため、注意されるだけで何の罰則も受けないんだが。
そうして、黒滅龍レイルアルマがベルヘイムを連れて優雅に空を飛んでいると、前方から明らかに戦闘慣れしている龍たちが黒滅龍レイルアルマの方に向けて飛んできている。
黒滅龍レイルアルマは飛行速度違反も起こしていないし、前に何回かこの龍界には来ているので、警戒されることもないのに警備隊の龍たちが自分たちの方へ飛んで来ている理由が分からなかった。
もしかしたら、この龍界には新しいルールが出来ており、そのルールを知らずのうちに破ってしまったのではないかと黒滅龍レイルアルマは不安になっていった。
一方、ベルヘイムは前から迫って来ている龍たちのことには気づいてはいたが、初めて見る風景に釘付けになっていたため、全く気にしていなかった。
そんな風に黒滅龍レイルアルマが自分は何かしてしまったのではないかとビクビクしているうちに警備隊の龍たちが彼女の目の前までやって来た。
黒滅龍レイルアルマの元へやって来た警備隊の龍たちは軽装ではなく完全武装をしており、黒滅龍レイルアルマは気づかないうちに何か大きな罪を犯してしまい、自分はこの龍界で指名手配されているのではないかと思い始めた。
そんなことを考えていると、先ほどまで壁の方へ向かっていたのに黒滅龍レイルアルマがいきなり止まったことを不思議に思ったベルヘイムが質問して来た。
ベ「ねえねえ、レイルアルマお姉ちゃん?どうして、止まっているの?あの壁の方に行かなくても大丈夫なの?」
ベルヘイムは不思議そうにどうして、黒滅龍レイルアルマが止まっているのか分からなかったため、ベルヘイムは本人に直接質問したのだった。
ベルヘイムから質問された黒滅龍レイルアルマが彼女からされた質問に答えようと思った時、黒滅龍レイルアルマはあることに気づいたのだった。
レ(もしかして、本来のベルヘイムの育て役であるグラン・ガイウス姉さんではなく、私がベルヘイムのことを勝手に生まれた場所から移動させたことが問題あったのではないでしょうか?)
黒滅龍レイルアルマはベルヘイムのことを勝手に生まれた場所から連れ出したことが何らかの罪に触れてしまい、警備隊の龍たちが自分のことを捕まえようと集まって来たのではないかと考え始めた。
そうして、黒滅龍レイルアルマが顔色を真っ青に染めながら、ブルブル震えていると、警備隊の龍の中でも他の者たちよりも明らかに強いこのチームのリーダーと思われる龍が口を開いた。
リ「レイルアルマ様、バハムート様がお呼びですので、お迎えにあがりました」
どうやら、この警備隊の龍たちはただ出迎えに来ただけであった。




