黒滅龍レイルアルマが親になったわけ八
ベルヘイムは黒滅龍レイルアルマに連れられて物凄い勢いでワープホールにいきなり突っ込み、その勢いとワープホールに突っ込んだ驚きにより再び固まってしまった。
ワープホールの中は深淵のように暗く、このワープホール内は四次元空間になっているため、ベルヘイムの方向感覚が完全に麻痺してしまい、自分がどこにいるのか分からなくなってしまった。
視界を奪われただけでなく、方向感覚まで奪われてしまったベルヘイムは孤独を感じ、暗闇に恐怖を覚えてしまい、目から涙が溢れ出しそうになってきた。
だが、ここで泣き出してしまったら黒滅龍レイルアルマにまた迷惑をかけてしまうかも知れないと思ったベルヘイムは恐怖に押し潰されそうになりながらも必死に我慢した。
しかし、ベルヘイムは頑張って我慢しようとしたのだが、まだ生まれたばかりと言うこともあり、すぐに我慢出来ずに目からは涙が溢れ出してしまった。
その瞬間、
レ『大丈夫ですよ、ベルヘイム。貴女は一人ではありません』
泣き出してしまったベルヘイムの頭の中に黒滅龍レイルアルマの優しくて愛のこもった声が響き渡った。
レ『この空間は暗いために世界に自分しかいないと錯覚してしまい、孤独感に襲われてしまいます。ですが、ベルヘイム?貴女は一人ではありません。貴女には私がいます。だから、安心して下さい』
黒滅龍レイルアルマは暗闇の中にいることで、孤独感を感じてしまい、その孤独感から不安になって泣き出してしまったベルヘイムのことを慰めようと必死に頑張った。
黒滅龍レイルアルマは今までに一度も泣いている子供を慰めたことがなかったため、何と声をかけるのが最適解か分からない。
だから、黒滅龍レイルアルマは過去に姉である滅戒龍グラン・ガイウスにかけられて安心した言葉を思い出し、あの時の姉のように自分もベルヘイムに同じ言葉を投げかけた。
そうすると、ぷるぷると震えながら啜り泣いていたベルヘイムの震えが止まり、少しずつ泣き止み出した。
黒滅龍レイルアルマは少しずつ泣き止み出したベルヘイムの様子を見て、自分が投げかけた言葉は今のベルヘイムにとって最適な言葉であったなと思った。
そして、黒滅龍レイルアルマはベルヘイムが泣き止んだことに安心すると同時に姉である滅戒龍グラン・ガイウスの言葉でしかベルヘイムのことを慰められなかった自分がとても情けないと思った。
このまま姉である滅戒龍グラン・ガイウスが見つからなかった時、自分が姉の代わりにベルヘイムのことを育てることになるだろう。
なので、黒滅龍レイルアルマはベルヘイムの頼りになる姉に少しでも近づこうと努力していくことを心の中で誓った。
一方、ベルヘイムの方は先ほどまで暗闇に怖がっていたのに、今は全くと言っていいほど暗闇に怖がっておらず、今向かっている場所が楽しみでニコニコしていた。
これは黒滅龍レイルアルマがベルヘイムにかけた言葉のお陰で自分が一人ではないことを再認識することができ、孤独感を感じることがなくなったため、ベルヘイムは元気を取り戻すことが出来たのである。
そして、黒滅龍レイルアルマはベルヘイムが元気を取り戻したのは姉である滅戒龍グラン・ガイウスのお陰だと思っているが、ベルヘイムが元気を取り戻したのとはあまり関係ない。
何故なら、ベルヘイムが元気を取り戻したのは大好きな黒滅龍レイルアルマが自分のことを慰めようと必死に声をかけてくれたためであり、その内容はあまり気にしていない。
まあ、このことを黒滅龍レイルアルマに言ったところで彼女は完璧主義者なので、今回のことについて反省することは免れないのだがな。
そうして、ベルヘイムが今向かっている目的地にワクワクし、黒滅龍レイルアルマがベルヘイムのことを一人だけでは慰めることが出来なかったと反省していると、前方に微かだが、光が見えてきた。
前方に光を確認した黒滅龍レイルアルマはあの光の先がワープホールの出口であるとすぐに分かった。
ワープホールの出口が見えてきたため、黒滅龍レイルアルマはベルヘイムのために少しでも早くワープホールから抜け出そうと飛行速度を更に上昇させた。
ベルヘイムは黒滅龍レイルアルマが飛行速度を上昇させたことにより、その勢いで吹き飛ばされてしまいそうになったが、黒滅龍レイルアルマがしっかり掴んでいたため、吹き飛ぶことはなかった。
高速飛行の勢いで吹き飛ばされそうになったベルヘイムであったが、彼女は高速飛行が楽しいらしく、とても楽しそうに笑みを浮かべながら両手を振っていた。
そして、飛行速度が更に上昇したことにより、ワープホールの出口である光へと目にも留まらぬ速さで近づいていき、あっという間に黒滅龍レイルアルマはワープホールの出口まで目と鼻の先のところまで来た。
レ『この先が目的地です!さあ!行きましょうか!』
黒滅龍レイルアルマはベルヘイムにそう言うと同時にワープホールの出口である光の中へ突っ込んだのだった。




