ベルの本性
創たちは大盛りの料理を全てテラスのテーブルに運び終わったので、料理が乗っていないテーブルにある椅子に腰をかけた。
創「これで俺たちの仕事は終わりだな。あとは全員が揃うのを待つだけか。そう思えば、この時間にベルがいないの珍しいな。ベルは十分前行動しているのにな。あいつ、今何してんだろ?」
ベ「あら、呼びましたか創さん?」
創「うわぁぁぁぁぁああああ!?!?!?!?!?!?!?」
ベルはいつの間にか創の後ろに立っており、後ろから創に話しかけた。
ベ「創さん?私を呼んでおきながら返事をすれば驚くとは、とても失礼だと思いますが?」
創「いや、いきなり後ろから話しかけられたら誰だって驚くだろ!それにしてもどうやって俺の後ろに回ったんだ?一切の気配を感じなかったのだが?」
ベ「別にたいしたことはしてませんよ?私はただ、創さんの後ろに歩いて行っただけですよ。」
創「それはあれか?連載休止が多い、某有名週刊誌の漫画のやつか?」
ベ「いえ、別に私は『クセになってんだ、音を殺して歩くの』ではありませんよ。それと某漫画の作者は腰痛が酷いので休載するのは仕方ないことです。」
創「そうだな、腰痛があるから仕方ないか。まあ、俺たち読者はいつまでも待っているから完結だけはさせてくれ。大猩猩和にもちゃんと完結まで書かせるように言っておかないといけないな。」
ベ「彼はまだ心配しなくても大丈夫だと思いますよ。まだまだモチベーションは高いようですし、なにより趣味でやっておられるので。」
創「それなら良いが、あいつがライトノベルを投稿し続けてくれないと、人界での俺の知名度補正が下がるからな。これ以上、知名度補正が下がったら、人界に降りた時の制限が増えちまう。今度、さらにモチベーションを向上させるために、高級焼肉店にでも連れて行ってやろうかな。」
リ「ちょっと、二人たも話から脱線し過ぎじゃない?」
創「そうだな、少々、脱線してしまった。それで話を戻すが、ベルはどんな方法で俺に気づかれずに背後に回れたんだ?」
ベ「私はそこまで大したことはしていませんよ。ただ、認識阻害の魔術を使って背後に回っただけです。」
創「えっ?マジで?ベルの認識阻害の魔術、めちゃくちゃレベル高くね?」
ベ「普段から認識阻害の魔術を使っているので、そのおかげで精度が向上したのでしょう。」
創「あれ?ベルって普段から認識阻害の魔術を使う場面ってあったっけ?」
ベ「はい、ありますよ。」
創「それってどんな時だ?」
ベ「それはですね、創さんが本当に仕事に行ったのか確認するために、創さんにバレないようにつけて行ったり、誰かとお出かけになる際には、その方が女性ではないか調べたりする時ですね。あと、創さんにバレないように部屋に入って、可愛いお顔を眺める時ですね。」
創はベルの回答を聞いた途端、顔を真っ青にし、冷や汗を掻き出した。
創だけでなく今、一緒にいるメンバーのほとんどがベルの発言に少し引いていた。
創「ははは、ベルは冗談がうまいな...........。」
ベ「いえ、冗談は言っていませんよ。」
創「じゃあ、ベルが言ったことはーーー」
ベ「はい、紛れもない真実です。何か問題でもありますか?」
創「いや、問題しかない気がするんだが...........。」
ベ「私は創さんの妻として当たり前のことをやっているだけですよ。お出かけの際に事故に巻き込まれないか心配ですし、創さんは方向音痴なところがあるので道に迷わないか心配ですし、創さんに変な虫がつかないか心配なので。なので問題はないと思いますが?」
創「ウン、ソウダネー。オレハイイヨメサントケッコンデキテヨカッターー。」
ベ「ふふっ、喜んでもらえて何よりです。それと、創さんに言い寄った虫たちは全員リストアップし、今後、一切創さんに関わらないように言っておりますので、同じ虫から声をかけられることはないので安心してください。」
創「ヤッター!コレデアンシンシテデカケラレルナーー!!!それでリストアップとかはベルが一人でやっているとのか?」
ベ「はい、私が全て一人でやっております。虫どものリストアップから、虫たちの駆除とその後の処理に、もう二度と創さんに近づかないようにと脅迫など、全て私が一人でやっております。他の方の手を借りるのは迷惑だと思いますので。」
創「なあ、今処理って言わなかった?なあ、今処理って言ったよな!?!?お前らいったい何をやってるんだ!?法律に引っかかることはしていないよな????」
ベ「そこは安心してください。罪を犯した者にそれ相応と裁きを与えているだけなので。法律には一切抵触していませんよ。」
創「オレ、ベル、スゴクコワイ...........。」
創がそう言うとベルは後ろから創に抱きつき、耳元で創にだけ聞こえる声で囁いた。
ベ「そんなに怖がる必要はありませんよ..........私たちは創さんのためにやっていることなんですから..........それに創さんを束縛するつもりはありませんよ?これからも気にせずお出かけください。ですがーーー」
ベルが次のことを言おうとした瞬間、創に抱きつく力がとても強くなった。
ベ「私たちの知らない女性の方と遊ぶのは許しませんからね?」
そう言うベルの声はとても冷たく、狂気を感じた。
創は横を向いて抱きついているベルの顔を見てみると、ベルと目があった。
その時のベルの顔は口元は笑顔を浮かべていたが、目が全く笑っておらず、眼孔がガン開きになっていた。
創「は、はい..........分かりました...........。」
創はあまりの恐怖に声を震わせながら答えた。
ベ「これで私だけでなく、皆さんも安心出来ますね。」
ベルはそう言いながら創の向かいの席に座った。
創の向かいの席に座った時のベルはいつもの優しい笑顔を浮かべていた。
創「みんなが来るまで雑談でもして待つか!!」
創は何とかこの場の空気を変えるためにみんなで雑談をすることにした。




