十四話
しばらくすると体も温まってくる。しかし服が乾いた様子もなく、屋根を叩く雨の音だけが室内に響いていた。
その中でゴソゴソという音が聞こえてきた。室内を探ってるんだろうけど、振り向くこともできないので詳細はわからない。
「イツキさん、寒くありませんか?」
メリルが申し訳なさそうに訊いてきた。たぶんこの状況で、俺だけが後ろを向いていることに後ろめたさを感じてるんだろう。
「多少は寒いけど少しずつあったかくなってきた」
「毛布、いりますか?」
「あるならもらいたいな。背中にかけてくれればいいから」
「はい、わかりました」
ペタペタという足音が俺のそばまで近づいてきて、ふわりと毛布がかけられた。
「ありがとう」
「いえいえ」
また、ペタペタと足音が遠ざかる。おしい状況ではあるが、振り向くことができないこの甲斐性のなさが恨めしい。
俺は毛布を掴み、前の方にかけた。背中はだいぶ温かいので、毛布は前にかけることにした。
全身が温かくなったせいか、少しずつ眠気がやってきた。しかしここで寝てもいいものかという疑問もある。
「イツキ、眠いの?」
そう言ってきたのはフレイアだった。頭がかくかくと動いていたのに気づかれたのかもしれない。よく見てるな。
「うん? まあこの雨に打たれたしなあ」
「じゃあ横になって寝たら? あと毛布被ってるからこっち向いてもいいよ」
「そういうのはもっと早く言ってくれよ……」
反対側を向いた。女性陣は膝を抱えて毛布を被っている。俺の正面にはフレイア、右にはメリル、左には双葉だ。
メリルも双葉も恥ずかしそうに俯いているが、俺も恥ずかしくて顔を伏せてしまった。向いていいって言ったから振り返ったのに下着は見えるところに干してあるのだ。
「フタバちゃんとメリルも眠っていいよ。私が見張ってるから」
「でもお前だけに任せるわけにもいかないだろ」
「じゃあ二時間経ったら誰か起こす。そしたらまたその人が二時間後に誰か起こす。この位置だと私はメリルを起こした方がいいかな。時計回りで見張りを代わるってのでどう?」
「まあ、それならいいか」
「おっけー、じゃあおやすみなさい。ちゃんと寝ておかないと体力も回復しないからね」
「わかった。お言葉に甘えさせてもらうかな」
「じゃあお願いします、フレイアさん」とメリルが言った。
「お先に失礼しますね」と双葉が横になった。
毛布にくるまって横になると一気にまどろみがやってきた。豪雨ってこんなにも体力を奪うもんなんだな。そんなことを考えながら、俺は眠りに落ちていった。




